2010年9月15日水曜日

多剤耐性菌を正しく理解するためのQ&A~日本感染症学会

日本感染症学会の中の先生方がいろいろと頑張っておられます。

「一般の方へ情報提供:多剤耐性菌を正しく理解するためのQ&A」
http://www.kansensho.or.jp/topics/100913publicqa.html
(上記URLで日本感染症学会WEB SITEに接続いたします)

が日本感染症学会公式WEB SITEに掲載されておりました。


著者の署名入りで、一般市民の皆様むけに説明が詳細にされているかと思います。

以下WEB SITEからの引用です。

「はじめに」
最近、報道が続いている多剤耐性菌の感染事例を受けて、日本感染症学会では一般の方向けに情報提供をさせていただきます。多くの耐性菌の名前が出て、死亡例も報告されていることから、多くの方々は混乱や不安をお感じのことと思います。ただし大切なことは、正しい知識を持って対応することであり、不必要に恐れたり、過剰な反応を示さないことです。耐性菌に関する状況はこれからも変化する可能性はありますが、現在の状況と今後の対応を踏まえて、Q&A形式で解説を加えさせて頂きます。なお、個々の多剤耐性菌の解説は本学会ホームページの該当する項目をご参照ください。」


大事なので、以下も引用させていただきます。

Q:多剤耐性菌による院内感染は病院の責任なのでしょうか?
A:多くのマスコミは多剤耐性菌による院内感染が起った場合、病院側の医療ミスという前提で報道されるパターンが多いと思われます。ただし“院内感染”という言葉のとらえ方自体が医療関係者と一般の方々とではもともと異なっているので、まずはその違いを明確にしなければいけません。“院内感染”の一般的な定義は、入院後48時間以降に起こった感染、というものであり、何らかの病気を持った方が入院後に起こした感染というとらえ方を医療関係者はしています。院内感染の原因となった菌は、入院後に病院内で感染した場合もありますが、患者さん自身が菌を保菌した状態で入院してこられる場合もあります。つまり入院後に多剤耐性菌による感染症が起こったとしても、全てが病院内で新たに感染したとは限らないのです。また医療行為を行う上で、感染症のリスクが高まることは避けられないことですので、入院後に起こるいわゆる“院内感染”はどんなにがんばってもゼロにすることはできません。
 ただしごくまれにしか分離されない多剤耐性菌による感染者がひとつの病院内で多数発生した場合、感染者が全員保菌状態で入院してくる確率は頻度的にかなり低くなりますので、このような事例では病院内で多剤耐性菌が広がってしまった可能性が高くなります。院内での多剤耐性菌の流行(アウトブレイク)が起こらないように医療機関では常に感染防止策の徹底を心がける必要があります。しかしたとえ十分と思われるレベルの感染防止策を実施していたとしても、目に見えず、何ら症状を示さない多剤耐性菌による院内での流行は完全に防げるわけではありません。もし不幸にして院内での流行が発生してしまった場合には、病院としてどのように耐性菌による感染防止策に取り組んでいたのかを検証し、問題点が指摘されればすぐに改善する必要があります。


以上引用させていただきました。
「”院内感染”はどんなに頑張っても「ゼロ」にすることはできません」


と上記引用文にも記載されております。
ただし、院内感染症のリスクをある程度低減することは可能と考え、少し前にCDC 12STEPSをご紹介させていただきました。
耐性菌問題は「患者」⇔「医療従事者」双方の努力なしでは解決できないかと思います。
なんらかの理由で、病院・医療機関に長く「入院」「通院」することそのものが耐性菌暴露のリスクとなるものとブログ作者は考えております。
患者さんにお願いしたいことは、「もう少し入院させておいてください~」などということを言わずに、退院可能な病状なら即退院!という原則をお守りいただくこと(入院期間がながければ長いほど耐性菌暴露・院内感染のリスクはそれだけ高くなります)。「抗生物質もください!」などということを言わないこと」逆に「ホントウに抗生物質必要なんですか?」と医師に質問してみるくらいが良いかと思います。ホントウに必要なら医師がしっかり説明してくれるはずです。
→ホントウに必要なら必ず処方されたとうりに飲み切ること(いい加減な抗菌薬の使い方は、耐性菌を生み出すリスクにつながる可能性があります)
医療従事者の側も、「標準予防策」「接触感染予防策」「感染症診療の基本原則を守った診療」などの基本事項を徹底すること。
双方の不断の努力が、耐性菌問題・院内感染問題を解決に導くのではないかと考えております。


何か起こったときに考えれば良い~という発想では何時まで経っても改善できないのが耐性菌・院内感染問題なのかと思います。何か起こってからでは遅すぎるのです・・・

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