2009年12月31日木曜日

2009年終了!ありがとうございました

本日は、2009年12月31日、いわゆる「おおみそか」とか「おおつごもり」とかいう日に当たります。

2009年は、医療業界にとって「新型インフルエンザ」というとても影響力の大きな疾病の流行がありました。

さいたま赤十字病院呼吸器内科でも、「新型インフルエンザ」には様々な形で影響を及ぼされました。

ただし、「新型インフルエンザ」という呼称は2009年12月31日で終了してはいかがでしょうか?

来年=2010年には、新たな「新型インフルエンザ」が流行する可能性がゼロとは言えません。

「新新型インフルエンザ?」とか呼んでいては、混乱するだけかと思われます。

以前より、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、「パンデミックインフルエンザ2009」という呼称を提案しております。

これなら、毎年パンデミックインフルエンザが出現しても、年数を記載すればいくらでも対応可能です。

まあ、1年に2種類のことなるタイプのパンデミックインフルエンザが出現するような大変な事態には対応出来ないかもしれませんが、これまでの歴史からは、1年に2種類のパンデミックインフルエンザウイルスが出現する確立は極めて低いと言えそうですから、この「パンデミックインフルエンザ2009」という呼称を皆様で広めていただけましたら幸いです。

「パンデミックインフルエンザ2009」では長い!と言われる方は「パンフル2009」なら短いですね。

今年は、いろいろとブログ作者の「イイタイコト」をさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログで書かせていただきました。

ブログ読者の皆様も、上記の「パンデミックインフルエンザ」のような戯言にお付き合いいただきまして大変恐縮致しております。

私、本ブログ作者は、ヒトの真似事は大っキライですので、あまり他人のかかれた文章を読まないようにしております。読むと影響された「意見」ばかりが出てきてしまう気がしているからです。

自分のアタマで考えて、出てきたモノがたまたま他人と同じような考え方だったことはしばしばありますが、そういう時はそういう時でなんだか「嬉しい」感じも致します。
自分の考え方・思考過程もそれほど社会から「ズレていない」ことの証になるからです。

でも、やはり他の人々が考えもつかないことを思いつくこと・考えつくことの方が数倍嬉しいですので、今後も自分の足りない知恵を最大限使っていろいろな事柄を常に「考える」ことをしていきたいと思います。

はるか昔、「天動説」が時代の趨勢だったときに、「それでも地球は回っている」と「地動説」を唱えたガリレオ(これが真実かどうかはブログ作者は知りませんが)のように、大多数の人々が「真実」と信じていることが実は「大きな誤り」であることは医学の世界でも非常によく見かける事象です。

新しい「発見」というのは、これまでの「常識」と相反するものであることがよくあります。
自分の持っている知識・経験だけから他者の言っていることを「誤り」と判定してはいませんか?

あんな「変」なこというやつは「相手にしない」とかいう「発想」では、いつまでたっても「進歩」の無い「世界
」の広がらない「小さい」人間になってしまうのではないでしょうか?

もちろん、突拍子もないことばかりいうヒトを全て「信用」するなんてことは、難しいのですが、少なくとも「聞く耳を持つこと」はしてもいいのかと、ブログ作者は考えております。

ブログ作者が「思考」の結果導き出されれたモノを文章にして広く読者の皆様にお伝えすること。

それが、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログを書いている真の理由です。

なにも言わない、なにも書かないというのは一番ラクなのです。
もしくは、自分の周囲の人々のみに伝わる形での、発言もあまり多くの責任を伴わず卑怯かと思います。

また、他人の言っていることのみを「批判」するだけで自分の意見を言わない方々もなんだかズルイなあと思います。

自分の「意見」=「イイタイコト」を、しっかりと「公の場」=「WEB上のブログの形」で公開することが、自分の発言にしっかりと責任をもっていることの証拠ではないかと考えております。

2009年最後に、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様に「イイタイコト」を書かせていただきました。

最後になりましたが、本ブログ読者の皆様にとって、来る2010年がスバラシイ年となりますように!心から願っております。
来年も変わらぬご愛読の程よろしくお願いいたします。

                          さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者より

2009年12月30日水曜日

大正富山メディカルシンポジウムin埼玉2009のご案内

大正富山メディカルシンポジウム in 埼玉 2009 の開催案内が届きましたため、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでもご案内させていただきます。

それにしても、2010年2月開催でも、”2009”なんでしょうかね?2009年度ということなのでしょうか?

前座ですけれども、ブログ作者も10分~15分程度発表させて頂く予定です。

大正富山メディカルシンポジウム in 埼玉 2009
 β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤 ゾシン 発売1周年記念講演会

主催:大正富山医薬品株式会社

日時:平成22年2月6日土曜日 17:00~
場所:パレスホテル大宮 4階 「ローズルーム」
    さいたま市大宮区桜木町1-7-5

      プログラム
製品説明:β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤 ゾシン 大正富山医薬品(株) 学術部

開会の挨拶 獨協医科大学越谷病院 臨床検査部 教授 春木宏介先生

一般演題 座長 埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授 前崎繁文先生

1「PK/PDを考慮した抗菌薬の投与設計-主に呼吸器感染症を中心に-」
               さいたま赤十字病院 呼吸器内科 小田智三先生
2「TAZ/PIPCが著効した骨髄移植後PRSP肺炎の一例」
               防衛医科大学校病院 血液内科 渡邉純一先生
3「real-time PCR法を用いた起因病原体の同定法、肺がんと肺炎」
               埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器内科 平間崇先生

コーヒーブレイク:症例をパネルで展示いたします。←今回の講演会の工夫されたところでしょうか?

特別講演    座長 埼玉医科大学 呼吸器内科 教授 金澤實先生

「新型インフルエンザにおける感染症危機管理」
               東北大学大学院 感染制御・検査診断分野 教授 賀来満夫先生

特別発言    防衛医科大学校 感染症・呼吸器内科 教授 川名明彦先生

閉会の挨拶  自治医科大学付属さいたま医療センター 呼吸器科 教授 小山信一郎先生

            上記講演会終了後に意見交換会も予定されているようです。

上記講演会に興味の有る医師の皆様は、担当の大正富山医薬品MRの皆様にお問い合わせください。

2009年12月29日火曜日

仕事納め

昨日、2009年12月28日はさいたま赤十字病院の仕事納めの日でした。

しかし、ブログ作者は日をまたいでの仕事をさせていただいているため、「仕事納め」の実感はあまりありませんが。。。

さいたま赤十字病院呼吸器内科に、本年も多数の患者さん・ご家族の皆様にお越しいただきまして大変ありがとうございました。

私どもの診療内容は、患者さん・ご家族の皆様のご期待に添えたのでしょうか?

病院に「何」を求めていらっしゃるか?によりますが、多くは、「呼吸器専門診療」をお求めになり、

さいたま赤十字病院呼吸器内科を「選択」していらっしゃっているのではないかと思います。

その「期待」に応えるのが私どもの「使命」なのですが、7人皆それぞれ、得意分野、診療経験、勉強内容など異なるため、全ての患者さんに「同じ」診療レベルで対応できるかというとなかなか難しいところもあります。

しかし、さいたま赤十字病院呼吸器内科のスタッフ皆がレベルアップをはかっていく「努力」をすることにより、解決可能な問題も多数あるのではないかと考えます。

来年も、さいたま赤十字病院呼吸器内科はさらなる飛躍を遂げるように日々精進いたしてまいります。

2009年12月26日土曜日

命の値段

「命の値段」なんて、付けられるわけ無いだろ!

というお叱りの言葉をいただきそうな、タイトルですが、実際に人間はあらゆる「命」に値段をつけております。

例えば、ペットショップでは、「犬」や「猫」や「ウサギ」などの動物に「値段」がついております。

高い「値段」のついたペットから、それこそ、安い「値段」のついたペットまで様々です。

動物に限らず、植物にだって「値段」をつけております。ちょっと前には、クリスマスツリーなんかも店頭に値段をつけて並んでおりました。

ヒトはあらゆる「生命」に「値段」を付けているようです。

では「人間」に「値段」を付けることはどうでしょうか?

実は、ブログ作者も含めて多くのヒトが他人に自分の「値段」を付けられているのではないかと思います。
ようはアナタというヒトの「値段」です。

どのような形でヒトの「値段」が決められているのか?

それはいろいろな方法があるのではないかと思いますが、日本では多くの方々が「給料」という形で自分の「値段」を付けられているのではないかと思います。

自分の一年間の「値段」が、その年の総収入となるのかと思います。

ただし、これをヒトの「命」の「値段」と考えるのは、ちょっと無理が有るのかもしれません。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、「命の値段」が実際に付けられているのが、最近話題になった「診療報酬」なのではないかと考えます。

まさに、ヒトの命を救うときの「値段」が、エライお役所の方々、皆様が選んだ「国会議員」によって決定されているのです。

医療機関では、毎日多くのヒトの「命」が助けられております。

さいたま赤十字病院でも毎日、このままほうっておけば「死」が訪れるであろう人々の「命」を多数救っております。

文字道理「救命」がなされている所となります。

喘息重積発作、急性心筋梗塞、くも膜下出血、大動脈解離、腹膜炎、多発外傷などなど。

ありとあらゆる、眼前に「死」が迫っている人々の救命に力を尽くしております。

でも、その救命という医療行為の「値段」はどれくらいなのでしょうか?

皆様考えた事ありますか?おそらく皆様が思っているより断然「安い」費用かと思われます。

ヒトの命の「価値」がとても高いもの、値段も付けられないようなものなのなら、ヒトの命を救う仕事をしている医療従事者の報酬はもっと高くても良いのではないかとブログ作者は考えております。

一流のスポーツ選手が「億」単位の「お金」をもらえるのなら、救命に携わるお医者さんは、それよりもっともらえて良いのではないでしょうか?

スポーツ選手は目の前の瀕死のヒトを救うことができませんが、医師は救えるかもしれません。

ただし、日本の国民の皆様が、ヒトの命の価値を「安い」ものと判断されているのであれば、当然、医療従事者の報酬も、もっと「安く」してもいいのかもしれません。日本人の「命」の価値がその程度のものと判断されるのであれば。

日本では、過去数年間、ヒトの「命」の値段=「診療報酬」は年々「安く」なっていっておりました。

それが、来年度はようやくほんのちょっとプラスになるかもという報道がなされております。
日本中の景気が悪いのに、診療報酬が上がるなんてケシカランという方々もいらっしゃるのかもしれません。

日本の景気に左右されるのが日本人の「命」の「値段」なのでしょうか?

自分の大切なヒトの「命」が助かったら、自分の全財産を費やしてもいいというようなものではないのでしょうか?

「ヒト」の「命」の価値をどう考えるのか?日本人皆が真剣に考えるべきことではないかと思います。

2009年12月21日月曜日

E-TEST

E-TESTって何?

もしかしてe-mailでテストするの?とか思われた方々。残念ながら不正解です。

E-TESTとは、細菌に対する抗菌剤の検査室での有効性の指標となる、MICを測定するための検査方法です。

さいたま赤十字病院でも少し前からMRSAの菌血症の治療にバンコマイシンの詳細なMIC測定の為に院内導入致しました。

まだまだ聞き慣れない先生方も多くいらっしゃるようですので、実際の検査写真を上に掲載致しました!

培地上に置いてある短冊みたいなのがE-TESTのスティックです。スティックに数字が書いてあり、一定時間培養後にMICの数値を読み取ります。

なんでさいたま赤十字病院でMRSA菌血症に詳細なMIC測定が可能なE-TESTを導入したのか?

日本の多くの病院と同様に、MRSAのバンコマイシンに対するMICは以前より測定しておりましたが、そのMIC最小値は”2以下”というかなり大雑把な結果しか出ませんでした。
近年、MRSAの治療に際して、”バンコマイシンのMICが2以下”という大雑把な測定結果では、治療が上手くいかないという症例が多数報告されるようになってきました。

そこで、もっと詳細なバンコマイシンMIC測定が必要ではないか?

バンコマイシンでMRSA菌血症を治療するには、MIC1以下である方が良いのではないか?

バンコマイシンはAUC/MICというPK/PDパラメータで有効性の判定ができると言われており、このAUC/MICが350-400を超えないとバンコマイシンでのMRSA菌血症の治療は難しいといわれております。
このAUC/MICの分母にあたらバンコマイシンのMICが2以上ではもはやこの"350-400"という数値は越えられない壁となってしまうため、実はそれ以下のどのくらいのMICなのかを詳細に測定する必要性がありました。

このため、このたび、MRSAが血液培養で培養差れた場合に、バンコマイシンの詳細なMIC測定のために”E-TEST"を導入させていただいたというわけです。

実際には、0.5刻で、0.5、1.0、1.5、2.0。。。とかなり細かく判定できるようです。

実際に、ブログ作者もバンコマイシンE-TESTを使用して、MRSA菌血症の治療をすでに始めておりますが、従来のバンコマイシンMIC2以下という結果よりも、より自信をもって治療の望むことができております。

まだまだ、MRSA感染症は院内感染症の大御所といった感がありますから、今後も注意深く診療してまいりたいと思います。

2009年12月15日火曜日

平成21年度院内感染対策講習会勉強内容(その①)

①院内感染関連微生物:舘田一博先生:東邦大学医学部微生物・感染症学

・勉強させていただいたことのポイント

 ・セラチアやエンテロバクター、シトロバクターなど腸内細菌群の一部は低温(1~4℃)でも発育する!
  輸液を事前調整して、冷蔵庫に保存していても輸液中で増殖してしまう恐れアリ!要注意。

 ・緑膿菌は大問題!特にカルバペネム、アミノグリコシド、フルオロキノロンの3剤に耐性を獲得している  多剤耐性緑膿菌”MDRP”の拡大

 ・緑膿菌:水回りに注意!乾いた環境では生存困難。
    コンタクトレンズ保存液、モップ、スニーカー、野菜・果物、加湿器など
    内視鏡の先端、シャワーヘッドなども死角

 
 ・健常人の便中に緑膿菌保菌:2.6~24%:腸管からのBacterial translocationに注意!

 ・細菌の抗菌剤耐性化機構
    ・抗菌剤の不活化酵素の産生:βラクタマーゼなど
    ・作用点の変異:PBPの変化など
    ・抗菌剤の排出:Efflux機構
 ・pre-MDRP:2剤耐性菌に注目!
 ・カルバペネム+キノロン耐性菌の増加!→MDRPへ
・Bacterial translocation:腸管→門脈を介して肝臓へ:その後全身性敗血症:内因性感染
   ・感染源が不明な時は上記を常に考慮
   ・カンジダ、マイコバクテリウムアビウム:HIV、MRSA、腸内細菌の一部
   ・監視培養
   ・選択的腸管内殺菌:Selective Digestive Decontamination
・ムコイド型緑膿菌:アルギネート:菌体外多糖産生:貪食抵抗性、補体殺菌感受性あり、全身感染は起  こしにくい(慢性感染):敗血症にはなりにくい?
 ・細菌の要塞:”バイオフィルム”形成:カテーテルの抜去が必須
・アシネトバクター
   ・ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌
   ・自然界に広く分布
   ・乾燥に抵抗性、低温でも増殖
   ・VAPの重要な病原体
   ・多剤耐性菌の増加:カルバペネム耐性のアシネトバクターに注意
・市中感染型アシネトバクター:今後、脅威になってくる?
   ・東南アジアで蔓延?
   ・日本でも発症あり。
・CA-MRSAの増加
   ・「とびひ」増加CA-MRSA 51%
・VRE:バンコマイシン耐性腸球菌

 ・VRE:鶏に成長促進剤:アポバルシン投与:バンコマイシンとアポバルシンが構造似ている
 ・プラスミドを介した耐性遺伝子の伝播
 ・環境(食肉・魚)への抗菌剤の使用が新たな耐性菌をもたらすのか?

今日はここまでにします。また明日勉強させていただいた内容とともにご報告いたします。

上記文章は、講習会での勉強内容を記録させていただきましたが、ブログ作者の聞き間違いなどあるかもしれません。実地臨床で活用される場合には、必ず教科書などでご確認の上、自己責任でご利用いただけますようお願いいたします。
内容的に間違いのご指摘や、ご意見ご要望はコメント欄に記入いただけましたら幸いです。

平成21年度院内感染対策講習会

今日と明日は、日本感染症学会が主催されている、平成21年度院内感染対策講習会に参加させていただいております。

さいたま赤十字病院では、院内感染対策に全病院スタッフが日々取り組んでおりますが、新しい知見を取り入れて更なるレベルアップを図る為に、診療業務を休ませていただき、講習会に参加させていただいております。

今日と明日勉強した事項は広く院内だけでなくブログ読者の皆様にも還元させて頂く予定ですのでよろしくお願いいたします。

2009年12月11日金曜日

EGFR遺伝子変異検査の重要性

昨日、2009年12月10日木曜日、さいたま新都心にある、ラフレさいたまで開催された

”Astra Zeneca Lung Cancer Workshop”

に参加させていただきました。

総合司会が、さいたま赤十字病院呼吸器内科松島秀和先生

基調講演が帝京大学医学部腫瘍内科の関順彦先生でした。

関先生のご講演をベースに、非小細胞肺癌の治療方針についてディスカッションするという画期的な企画かと思い、参加させていただきました。

初めて、関先生のご講演を拝聴させていただきましたが、スライドの構成、プレゼンテーションなども非常にポイントが明快でわかりやすく、非小細胞肺癌治療とくに”EGFR-TKI"治療とその周辺についての豊富なエビデンスをご教授いただけました。

非小細胞肺癌の治療は、他の腫瘍領域と同様に、治療効果の予測因子としての「遺伝子検査」の重要性がますます高まっております。

非小細胞肺癌の治療方針を決定するのに、現時点でかかせない検査が「EGFR遺伝子変異」検査です。

この「EGFR遺伝子変異」の「有」or「無」(もしくは「不明」)が最初のステップで、これに基づき、内科的な治療方針を決定する時代となっていることを実感いたしました。

もちろん、手術療法が可能な場合には、今でも、「非小細胞肺癌」の治療の第一選択は「手術切除」です。しかし、非小細胞肺癌の病状の進行により、手術困難な症例や、術後の再発症例については、「内科的治療」=「抗悪性腫瘍剤の選択」が大切になります。

「手術療法困難」=「内科的治療」の適応となる非小細胞肺癌では、「EGFR遺伝子変異」の有・無が治療方針の決定に重要なのですが、その理由は、この遺伝子変異があることにより、”EGFR-TKI”という抗悪性腫瘍剤による治療が「全生存期間」=”Overall survival"を延長することがわかってきたからです。

以前、三井記念病院の國頭先生のご講演内容を、本ブログに記載させていただきましたが、肺がんの治療成績の評価の客観的な指標となるのはやはり「全生存期間」=”Overall survival"(OS)ではないかとブログ作者も考えます。

近年、新しい非小細胞肺癌の治療薬が多数登場してきていますが、「イレッサ」や「タルセバ」というような”EGFR-TKI"という作用機序の薬剤については、この「EGFR遺伝子変異」が「明確な有効性の指標となるバイオマーカー」となることがわかってきました。

「EGFR遺伝子変異」が「有」なら、EGFR-TKIといわれる「イレッサ」「タルセバ」を選択することが妥当である可能性が高いということになります。

逆に、「EGFR遺伝子変異」が「無」の場合には、「イレッサ」「タルセバ」の有効性は低下してしまうということになります。

ただし、どのような検査にも「感度」「特異度」の問題があり、この点を抑えずに、上記検査結果を鵜呑みにしての議論はナンセンスです。

最近は、EGFR遺伝子変異の検出「感度」の高い検査方法での、検査が普及してきているため、「偽陰性」の問題は非常に頻度が低なっているようですが、それでも絶対に「ゼロ」になることは考えにくいかと思います。なので、どのような検査でもそうですか、常に「感度」「特異度」の問題は考慮して検査結果を解釈しなければいけないことは十分に心してかかることが必要ですね。

関先生は、ご講演の最後に非小細胞肺癌診療においてのEGFR遺伝子検査について
「測定できない理由を探さず、検体を積極的に採取し、何とかしてEGFR遺伝子変異検査を行うように」

というようなメッセージで締めくくられておりました。

非小細胞肺癌患者さんの「全生存期間」=”Overall survival"を延長すること。

この明確な「目的」を達成するための検査が「EGFR遺伝子変異」検査です。

この検査に使用できる検体についても、ディスカッションで議論されておりましたが、
手術やTBLB組織検体は理想的だが、細胞診レベルでも、おそらく”Class4”以上が検出された検体であれば、EGFR遺伝子検査は可能?というようなコメントもいただきました。
その場合には、気管支洗浄液やブラシや生検鉗子の洗浄液を、-20℃程度で凍結保存しておけば、必要な時に検査が可能というような事をお聞きいたしました。
(上記内容は非常に臨床上重要な内容のため、各施設で検査を依頼する検査会社に必ずご確認ください)

発売からしばらくの間、「イレッサ」は新聞やニュースでかなり「マイナスイメージ」での扱われることが多い時期がありました。

もちろん、「イレッサ・タルセバによる薬剤性間質性肺炎」の問題は、重篤な副作用として常に考慮していかなくてはならないのは事実かと思います。

医学は常に進歩していて、発売当初は全く判明していなかった有効性の指標となる「バイオマーカー」=「EGFR遺伝子変異」の発見は、世の中から消えかかっていた「EGFR-TKI」をまさに「復活」させた偉大な功績なのではないかと思います。

新薬の登場は、ときにこれまで治療が困難な病気を治療可能な病気に「変化」させますが、同時に「未知の副作用」についても十分に注意することが必要です。

ただし、「副作用」ばかりに注目して、「真の有効性」を見失ってはいけないとも思います。

今後も多数の薬剤が開発されていくであろう「肺がん治療薬」。

今後も「より有効」で「より安全」な薬剤の開発が望まれます。     

2009年12月10日木曜日

カウンター10000突破!ありがとうございます

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは、読者の皆様の御愛読に支えられまして本日ついに、カウンター設置後、約2ヶ月で10000ページビューを超える事が出来ました!

一月にカウンターが約5000回っている計算になります。

ページビューと言うのは、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログのどの記事を表示して頂いてもカウンターがカウントされる仕組みのため、そのように呼ぶようです。

最近は、各方面の皆様より、ブログ見たよ!とお声がけいただくことも以前より増えてまいりました。
これからも皆様により訪れていただけるように努力をしてまいりますので、これからも変わらず御愛読の程よろしくお願い申しあげます!

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ管理人より

2009年12月8日火曜日

肺機能勉強会

本日、2009年12月8日、埼玉県立循環器呼吸器病センターの呼吸器内科より石黒先生をお招きして、肺機能検査の基本的な考え方と症例に基づいた、肺機能検査の有効な使用方法についてご講演をいただきました。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、「肺がん」と「呼吸器感染症」に偏った診療を行っているため、肺機能検査をあまり重視していない診療姿勢でこれまで臨んでおりました。

本日、石黒先生のご講演を、聴かせていただき、改めて「画像」や「採血」検査などでは、分からない、肺のダイナミックな「動き」をリアルに表現できる「肺機能検査」の重要性・活用の仕方を学ばせていただいた気が致します。

ただし、肺機能検査のみで診断学が成り立つわけではなく、肺機能検査を活用する基本的な姿勢としては、病歴・身体所見を重視した診療姿勢が基本で、それに基づいて必要な画像・肺機能検査などを活用するということが大切なのではないかと思います。

また、石黒先生の「目の前の患者さんが訴えていることに素直に耳を傾けられている姿勢」もスバラシイと思いました。

患者さんが「苦しい」と言っているときに、パッと見のバイタルサインや身体所見、胸部レントゲンで異常所見がないからといって、患者さんの訴えを「心因的なもの」と決めつけずに、きちんと考えて「自分の分からない・知らない病態で苦しんでいるのではないか?」という視点で、患者さんの病態生理を細かく解明して行かれる臨床思考過程は、とてもスバラシイと思いました。

呼吸器内科には「息苦しい」という、ほんとうに切実な主訴でいらっしゃる患者さんが大勢います。

ひとりひとりの患者さんの「訴え」に素直に耳を傾けて、その背景に隠れている「病態生理を考える事」。

今回の、石黒先生のご講演で勉強させていただいたのは、肺機能検査の理解だけでなく、そんな石黒先生の真摯な診療姿勢だったのかもしれません。

また、お話をお聞きする機会をぜひ頂きたいとブログ作者は願っております。

2009年12月7日月曜日

研修医だより第3号のご紹介

さいたま赤十字病院の初期研修医の皆様が、鋭意作成されている

「研修医だより」の最新第3号が、さいたま赤十字病院公式WEB SITEで公開されておりました。

上記URLで研修医だより第3号のPDFファイルに接続します。

毎回、研修医の皆様が、大変熱心に作成されているのが、とてもよく伝わってくる研修医だより。

第3号も熱い思いが伝わる作品となっております。

研修病院を探されている、医学部学生の皆様は是非、ご参照いただけましたら幸いです。
(ブログ作者はまったくかかわっておりませんが)

内容については、皆様のご評価を待ちたいと思いますが、以前も本ブログで書かせていただきましたが、できれば、さいたま赤十字病院での研修での「デメリット」の部分に焦点をあてた記載があれば、とてもすばらしいと思いましたが、残念ながらさいたま赤十字病院での研修はすばらしいという視点の文章ばかりだったように思われます。

どのような研修病院・施設でも当然「良い点」「悪い点」あって当然です。

「良い点」をアピールすることは、もちろん大切なのですが、実際に研修される学生の皆様は、「悪い点」についても知りたいのではないでしょうか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでも、ブログ作者の個人的な研修病院としての「良い点」「悪い点」は過去記事で記載いたしております。
興味ある皆様は是非ご参照ください。

2009年12月6日日曜日

医学用語変換にお困りですか?~Google IMEの紹介~

毎日毎日、多数の書類や、病歴要約などで、医師もパソコンで文字を入力する機会の多い職業です。

医療業界で働いている方々は、ご理解いただけるかと思いますが、医学用語などの「専門用語」の変換には日々ご苦労されているのではないかと思います。

そんな中、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログも大変お世話になっている、Googleが「日本語入力変換」ソフトをネット上で無料公開し始めました!!

下記URLよりダウンロード可能です。(まだβ版とのことです。皆様の自己責任でお願いいたします。)

(上記URLでGoogle IMEダウンロードサイトにつながります)

早速、この”Google IME”を自分のパソコンで使用してみました。

使用した感じは、ケータイ電話とかの変換で慣れている「予測変換」機能の充実に驚かされました。

ためしに「びょう」と入力すると?変換候補がナント95個もでてまいります!!
「病理組織学」「病院情報」「病院ランキング」「病理部」なんてのまで変換候補にでてきますから驚きです。
ただし、「がんか」と入力すると?→「眼科エルセーヌミスパリスピードラーニング」なんてものまで候補に出てきますので、まだまだ未完成のβ版なのかもしれません。

ほかにも「しんぞう」と入れると?→「新造人間キャシャーン」とかでてきたりとちょっと面白いです。

臓器単語をひとこと入力すると、それに付随する単語がたくさん変換候補として現れることは、とても便利な反面、その人の判断で正しい変換語彙を選ぶ必要があるため、勉強しておかないと、とてもおかしな日本語入力になってしまうかもしれませんね。

そうはいっても、医療業界用語についてだけでも、恐ろしいほどの語彙を収録しているGoogle IME。
その他の業界用語なども含めると相当使える日本語変換システムなのではないかと思います。

おそらく、Google検索で入力された言葉を元に作成されている”Google IME"。
業界用語や専門用語の変換で困っている皆様は試してみてはいかがでしょうか?
(しつこいようですが、まだβ版ですので、トラブルの可能性も十分にあります。自己責任でお願いいたします)

第19回IDATENインタラクティブケースカンファレンス勉強内容その①

昨日は、第19回IDATENインタラクティブケースカンファレンスで勉強させていただきました。

非常に盛りだくさんの内容でしたが、なんとか全部とうして勉強することができました。

それでは恒例?の、勉強内容をupしてまいります。

①「新型インフルエンザA(H1N1):これまでの日本の対応と今後の課題」
  東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野:押谷 仁先生

・日本における新型インフルエンザA(H1N1)をめぐる「安全神話」の形成と崩壊

・学校・学級閉鎖は新型インフルエンザ感染拡大防止(遅延)にはかなり有効だったのか?
 アメリカはじめ諸外国では行われていなかった学校・学級閉鎖。日本独自のインフルエンザ感染拡大予防策。ただし、その代償として新型インフルエンザ感受性者は多数残存してしまう。

・多くの国で、感染蔓延期から遅れて最初の死亡者が発生。

・12月3日現在で日本の死亡者数94名

・人口10万人あたり死亡者数は各国で大体3~10程度。日本は10万人あたり0.2人(11月時点で)。

・(死亡者の)年齢の中央値が諸外国では20~30才.日本は8歳!(感染の拡大が若年層に偏っているためか?)。

・日本でなぜ死亡率が低かったのか?
    ・タミフル・リレンザ早期治療?
    ・入院管理などの早期対応?
    ・疫学的特長が違うだけ?

・日本では、これまでは罹患者が5歳から14歳程度がほとんどをしめている。

・オーストラリアでは、各年齢層満遍なく入院患者がいた。

・アメリカでは若い成人が例年より入院している。

・メキシコでは30-40才台の重症症例が多い。

・オーストラリアで亡くなっているのは40歳~50歳代以降が多い

・日本でも死亡率は30歳代以降で高くなる!

・日本でも、成人層の入院患者は致死率が高い?

・若年層は罹患率は高いが死亡率は低い。40歳以上特に高齢者では罹患率は低いが重症化率は高い。
  ↑上記については、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでも以前、季節性インフルエンザのグラフを提示させていただきました!!
若年層は罹患者数は多いものの死亡率は低い。逆に、高齢者では罹患率は低いものの死亡率が高いというものでした。同じようなことが今回のパンデミックインフルエンザ2009(ブログ作者はパンフル2009と呼ぼう!と提唱しております)でもいえるのかもしれません。この点は歴史が証明してくれるでしょうから、あまりイイカゲンなことは言えないのですが。

・日本では積極的に学校閉鎖をしている数少ない先進国のひとつ。

・学校閉鎖で、地域や家庭への感染拡大が防げたのか?

・地域での感染拡大防止により高齢者施設への感染拡大を防げた?遅らせた?

・しかし、11月以降、0-4歳の層の感染拡大→家庭での感染拡大期に入っているか?
・5歳~14歳の層の新規感染者数は頭打ち。
・子供から親が感染する時期になっている。成人層への感染拡大が今後生じてくるのか?
・これまでは、未成年者の感染者が多かった。→学校閉鎖・学級閉鎖が関係している?

 押谷先生はおっしゃっていませんでしたし、フロアの皆様も言及されておりませんでしたが、日本は諸外国よりマスクの使用率が高いのでは??と思っております。

これも成人層での感染拡大を遅延させた一機序なのではないかと個人的に「思っている」ことです。あくまで思っているだけで、だれも肯定も否定もできないのですが。

・これからは、ワクチン接種と感染拡大の競争!!
・重症症例では、ICUのベット確保と人工呼吸器不足の問題。
 ↑これに加えて、しっかりとした「呼吸管理」が可能なスタッフの確保も大事でしょう!!
  いくら、「場所」と「モノ」があったって、それを使いこなす「ヒト」がいなければ宝の持ち腐れですよね?

・H1N1Aソ連型は駆逐されるか?H3N2A香港型は残る?
・高齢者へのワクチン接種不足の問題:季節性も含めて!
・妊婦へのワクチン接種の考え方
・日本は感染症の疫学者・公衆衛生専門家が少ないことが問題。臨床家と疫学者がコラボレーションすることが大事。
・タミフルの二次感染予防に有効なのか???

とりあえず、長くなったので、新型インフルエンザについての押谷先生の御講演を元に、ブログ作者の文責で上記記載させていただきました。

不確実なことは書くな!!と言われれば其れまでなのですが、みなが不確実要素しか知らない時点では、そういった情報も公開することに意義があるのではないかと思っております。

2009年12月5日土曜日

メモをとってはいけません!~勉強のコツその2~

以前、勉強のコツと題して、真の「勉強」とやらされてやる「お勉強」のお話をかかせていただきました。


今回はさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者が、研修医の皆様に常々お話している、勉強のコツその2をお送りいたします。

あらかじめお断りしておきますが、今回の内容はいろいろと異論があるかと思いますので、「私はこう考える」というのがありましたら是非コメント欄にお願いいたします。

「メモをとってはいけません!」。

唐突になに書いているんだかと思われるかもしれませんが、興味ある方は是非お付き合いください。

初期研修中は覚えることがいっぱいで、特に仕事を始めて半年くらいは、見るもの、やることすべてが新しいことです。

そういう中で、研修医の皆様は非常にマジメに、メモ帳などで、指導医や周囲の方々の「ありがたいお言葉」を必死にメモ帳に記入していらっしゃるお姿を拝見いたします。

非常に丁寧に、聴いた言葉を逐一書いている姿は、実に「勉強している!」という雰囲気です。

また、勉強会・学会などでも、演者のお話を必死にメモしているお姿も非常にしばしばお見かけいたします。

ブログ作者のように、ある程度年をとっていて、これ以上記憶力の限界を感じている世代はメモを取らざる終えない状況もあります。また、ブログの記事にさせていただく場合もあるため仕方なくメモを取っていることもあります。

でも、初期研修医・レジデントの先生方には、あえて「メモをとってはいけません!」といわせていただきます。

それはなぜか?

メモを「書く」ことに集中しすぎて、残念ながら非常に勉強になるお話を十分に理解して聞くことができなかったりすることがあるからです。

もうひとつは、「メモ」を取っている時間があったら「その場で記憶しなさい!」と言っております。

初期研修で何も知らない(失礼!)状況ではすべてのことを吸収して体得することが求められます。
「メモ」なんか書いているヒマあったら、「記憶」してしまったほうが手っ取り早いのです。

また、もうひとつ「メモ」を取らないでいい理由があります。

それは、「重要なことは必ず繰り返し聞かされる!!」ということです。

これは重要だ!!と思ったら、その場で記憶する。忘れそうになっても、とても大事なことだから完全に忘れてしまう前にまたその知識・情報が必要になり、記憶の定着が図られる!!ということです。

もし、1年に一回も必要でないような情報・知識であれば、その知識・情報が必要なときに「記憶」している必要はなく、「調べる」ことをすればよいのです。

一度でも、「情報のありか」を調べておけば、「記憶」していなくても現在のインターネット社会では簡単に情報にアクセスできてしまうのです。

もう一度いいます。「メモをとってはいけません!」

メモなんて取っている時間あったら、少なくとも初期研修中くらいは書いている時間を使って、是非その情報・知識を「記憶」する努力をしてみてください!!

あなたが書いたそのメモ、ちゃんと利用されていますか?
もう二度と見ないメモなんて「意味ないよ。。。」という状況になっていませんか?

忙しい研修中だからこそ、効率のよい勉強というのも必要なのかもしれませんね。

2009年12月4日金曜日

X'mas ツリー

世の中はクリスマス気分を盛り上げようと様々な飾り付けがされております。

街中で見かけた綺麗なクリスマスツリーの写真です。

病院という所は毎日多くの苦しんでいらっしゃる患者さん方が集まる場所です。

スタッフも患者さんもたまには病気と闘うことを忘れる時間も必要なのかな?と思いますが皆様如何でしょうか?

ブログ更新遅延のお詫び

いつもさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログをご覧頂きまして大変ありがとうございます。

最近何かと忙しく、なかなかブログ更新が出来ない状況が続いております。

今夜くらいからは再びさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ更新が可能となる予定ですので、どうか皆様これからも本ブログをよろしくお願いいたします。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ管理人

2009年12月2日水曜日

12月のアンケート:来年はどのような年になりますか?

2009年も残すところあと1ヶ月となりました!!

早いもので、もう少しで、クリスマス、その後大晦日→お正月です。

さて2009年を締めくくる12月のさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログアンケートテーマは?

「来年はどのような年になる?」

にさせていただきました。

なにかと暗い話題の多かった2009年、来年は明るいとしになるのか?
もしくはさらにどん底のお先真っ暗な年になるのか?
はたまた、大どんでん返しが起こるのか?

まあ、未来の予想なんてものは外れてナンボというものです。

未来のことがなんでもわかるなんてヒトは、つまらない人生送ってらっしゃるのかもしれません。

人生、先のことがわからないから楽しいなんてところもありませんか?

それでは、今月も皆様のご協力でブログアンケート開始させていただきます。

右側ガジェットで投票可能ですので、皆様気楽に投票よろしくお願いいたします。

2009年12月1日火曜日

11月アンケート結果発表!!

2009年11月のアンケートテーマは?

「本ブログで取り上げてほしい話題は?」でした。

では結果発表です!!

・肺癌・呼吸器感染症       11票:27%

・肺炎・呼吸器感染症       17票:42%

・気管支喘息・アレルギー疾患  8票:20%

・肺線維症・間質性肺疾患    3票:7%

・新型インフルエンザ       9票:22%

・医療問題・社会問題       11票:27%

・一般NEWS            3票:7%

・医療NEWS            9票:22%

・さいたま赤十字病院の紹介  14票:33%

・その他               4票:10%

総投票数 40票(重複投票可能)

「肺炎・呼吸器感染症」と「さいたま赤十字病院の紹介」が比較的多数を占めていたでしょうか?

今回のアンケート結果を参考に、今後もさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様にご支持いただけるような内容を充実させていまいりたいと思います。

これからもさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログのご愛読をよろしくお願い申し上げます。

マウスとキーボードから自由になる!

感染症診療では

「熱・白血球・CRPから自由になる!!」by Dr.青木 が大事です。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、これからのコンピューターには、「マウス」と「キーボード」から自由になる!!ことが重要なのではないかと考えます。

私が、医師になって、数年が経とうとしていたころ、WINDOWS XPのタブレットPC Editionが発売されました。

その当時、ペンで自由に画面上に文字や絵が描ける、タブレットPCとはどのようなものなの

か?非常に興味深く販売店の店頭で触らせていただいた経験がありましたが、当時のPCの性能ではなかなかスムースに文字や絵を描くことができませんでした。(ただ単に使いこなせなかっただけかもしれませんが)

それから、だいぶ時間が経ちましたが、ついにWINDOWS 7で、WINDOWSタッチが標準搭載される時代となりました。

早速、販売店でタッチパネル搭載機種を触ってみましたが、今回は非常にスムースな動きに「これならイケル!」と確信し、上記写真のもでるをこのたび購入いたしました。

どのようにタブレットPCを使用していくのか?

ひとつは上記写真のように、画像をペンで描画する使い方を考えております。

ブログ作者がもっとも有効な使い方と考えているのは、パワーポイントプレゼンテーションでの使用です。

画面を指先でタッチすることにより、ポインターのように指し示すことが可能です。また、タッチペンで画面に文字や絵を書くとそれが、そのままプロジェクターで投射されるため、ホワイトボードのようにも使用可能なのではないかと思います。

若手医師セミナーなどのインターネットでの勉強会などでも力を発揮するのではないでしょうか?

しつこいですが、これからのコンピューターに求められるもののひとつが

「マウス・キーボードから自由になる!!」

ことではないかと考えます。バリアフリーの視点からも非常に期待をしているタブレットPC。

今後の発展が楽しみですね。

どのような「最後」を迎えるか?~自分の「死」について考える~

生物は生きている限り必ず「死」を迎えることとなります。
「ヒト」も生物の1種であるわけで、必ずだれでも一度は「最後」=「死」を迎えることとなります。

それがいつかは人それぞれです。

本ブログをごらんいただいている皆様の中には、遠い未来に「死」を迎えることを予想されている方もいらっしゃれば、いろいろな病気などでそれほど遠くない時期に「死」が現実のものとなることを実感されているかたもいらっしゃることでしょう。

あまり実感がわかないかもしれませんが、予期せぬ「死」が突然襲ってくる場合だってあります。

健康に過ごしている若い方でも、いつ交通事故にあうかわかりませんし、物騒な事件で突然、他者に命を断たれる可能性だって否定できない世の中です。

だれにも「死」は避けられない切実な問題なのです。


では、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様はどのような「最後」=「死」を迎えたいでしょうか?

せっかくですから、皆様、考えられるうちに自分の人生の「最後」について考えておかれてはいかがでしょうか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は人生の最後を飾るのが「死」ではないかと考えます。

「死」を否定的に捕らえるのではなく、絶対に避けられないものである以上、肯定的に捕らえてみてはいかがでしょうか?

人生の最後を、家族や友人に見守られて旅立つこと。

一人でおだやかに最後を迎えること。

病院で最後を迎える場合、自宅で最後を迎える場合、いろいろな状況が考えられます。

病院で最後を迎えられる場合には、延命処置などについても、元気なうちに家族や周囲の方々と相談しておくことは現在の高度医療時代には必須のことかもしれません。

万が一のときに延命処置を希望するのかしないのか?

人工呼吸を希望するのかしないのか?

家族も含めて自分以外の周囲の方々が判断するより、自分自身で前もって決めておくことが、実は家族や周囲の方々にとっても非常に助けになることが多いとブログ作者は考えております。

患者さんが重篤なときに、ご家族に「延命処置・人工呼吸など希望されますか?」ときいても、ご家族が患者さん御本人の意志を知らないと、

「そんな重大なこと決められません!!」

と言われる方々をしばしばお見かけいたします。
たしかに、そんな重大なこと、自分たちの意見だけで決めるのは非常に苦痛なことではないかと思います。もし、そんなとき、患者さん御本人の意志を知っている方がいらっしゃれば、それは非常に有意義なことではないかとブログ作者は考えます。

最近では病院以外に在宅で最後を迎えられる方々も徐々にふえつつあります。

在宅での往診に積極的な医師も増えてきており、自宅で自分の好きなように・自由に余生を過ごして、だれからも束縛されることなく最後を迎えられる方も徐々に増えている状況です。

あなたは、どのような最後を迎えたいですか?

「私はまだまだ死なないよ!!」と思っていらっしゃるそこの「あなた」ほど、自分の人生の最後について家族や周囲の方々と十分今のうちから相談されておくことをお勧めさせていただきます。

ブログ作者も、自分の家族や周囲の者とゆっくりとした時間の中で、自分の「死」について考える時間ができたらよいなあと思っております。

2009年11月30日月曜日

オブジェ

だいぶ前から、公共施設やショッピングセンターなどで、上記写真のようなアルコール製の手指消毒材が置かれているのを散見するようになりました。

皆様、各施設に置かれたアルコール消毒剤使用されていますか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、様々なところに設置されているアルコール消毒剤が適切に一般市民の皆様方が使用されているお姿を拝見したことがアリマセン。

みな見て素通りされております。

ああいった物は、各施設がうちはインフルエンザ対策してますよ!とパフォーマンスで置いてあるものだと思っておりましたが、

なんとさいたま赤十字病院夜間入口に、上記オブジェ、イヤアルコール消毒剤が設置されていてビックリ!?しました

2009年11月27日金曜日

葉酸と癌の微妙な関係

世の中、たくさんの方々が「サプリメント」という栄養補助食品を摂取いたしております。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、あまり「サプリメント」などは普段とらない(普段の食生活で十分に栄養取れていると思います)生活をしているため、詳細はわかりませんが、「葉酸と癌」についてのニュースがありましたため紹介させていただきます。

「葉酸強化は癌リスクを高める」
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20091126hj000hj
(NIKKEI NET WEB SITEより)

ポイントは?
・葉酸服用群で癌発症リスク21%増大

・葉酸を服用した群で癌を発症した患者:341人中136人死亡
  →葉酸を服用しなかった群と比較して死亡率が38%高い。

・葉酸と関連が推定された癌種
   ・大腸(結腸・直腸)がん
   ・肺がん
   ・前立腺がん
   ・血液悪性腫瘍

コメンテータの方もおっしゃっていますが、この結果だけから、「葉酸が悪い」とは必ずしもいえないと思います。今回の研究で摂取された葉酸の量は米国での通常摂取量よりはるかに多いとのコメントがされており、やはり「適量」摂取するのが大事で、「過ぎたるは及ばざるが如し」というところでしょうか?

サプリメントでも健康食品でも、そればっかりを大量に摂取することは、控えたほうがいいのかもしれませんね。

何事もバランス感覚が大切ということなのでしょうか?

救急医学科

さいたま赤十字病院を初期研修先として選択する先生方に

「どうしてさいたま赤十字病院を選んだの?」

とたずねると、多くの先生方が「救急医学科があるから」と答えます。

果たして救急医学科にはどのような魅力があるのでしょうか?

ブログ作者も、実はさいたま赤十字病院救急医医学科で、初期研修中に3ヶ月間勉強させていただきましたが、重症・救急患者さんの診療に真摯に取り組んでいる指導医の皆様のお姿を間近で見ながらの勉強は非常に役立った気がします。

また、救急外来での3次救急医療から、ICUでの集中治療まで一貫して自分たちで診療しているという、充実感も人気の秘密のようです。

そんな、とても研修科として大人気の「さいたま赤十字病院救急医学科」の公式WEB SITEには、救急医学科での研修内容などが、多数の画像とともに紹介されております。

皆様是非、さいたま赤十字病院救急医学科WEB SITEを訪れてください!!

http://www.srcqq.com/index.html
(上記URLでさいたま赤十字病院救急医学科WEB SITEにつながります)

内因性の細菌性眼内炎

最近、細菌検査室でいろいろと新たな発見があり、興味深い時間をすごしております。

皆様の医療施設には細菌・微生物検査室があるでしょうか?

さいたま赤十字病院の細菌検査室は毎日3~4人のスタッフの皆様が、プロフェッショナルな仕事をこなしていらっしゃいます。
2年前くらいから、血液培養の採取本数が右肩上がりで増加傾向で、現在月に400~500セット採取していただいております。
血液培養検体数が増加していっても、文句ひとつ言わず?!に頑張って日々細菌検査業務に従事していただくスタッフの皆様がいらっしゃるから、ブログ作者も安心して感染症系の診療に従事することが可能となっております。

そんな、さいたま赤十字病院の細菌検査室の皆様といっしょに、現在眼科領域感染症の勉強をさせていただいております。

いわゆる”Mandell:Principles and Practice of Infectious Diseases"の
”ENDOGENOUS BACTERIALENDOPHTHALMITIS”のまとめです。

・内因性の細菌性眼内炎は菌血症により眼に細菌感染が生じることにより生じる。
・通常は、菌血症の病巣がある:感染性心内膜炎、腹腔内膿瘍など。
・内因性眼内炎の感染病巣となるもの
   ・消化管や肝の膿瘍
   ・尿路感染症
   ・髄膜炎
   ・感染した留置カテーテル
   ・感染性心内膜炎
   ・消化管内視鏡
   ・静注薬物使用
・台湾、シンガポールなど東アジアでは?
10%の内因性眼内炎患者の感染病巣として、Klebsiell penumoniaeによる化膿性肝膿瘍が報告されている

・細菌性眼内炎は急性に発症する。
・多くの患者で、急激な視力低下、眼の痛みなどの症状を呈する。
・当初、症状が上記眼症状のみの場合もあり、菌血症の原因病巣の症状は当初現れないこともある。
・ある報告では、約半数の患者が眼科を最初に受診している。
・細菌性+真菌性内因性眼内炎27症例の検討では、20%以下の症例のみ発熱を呈していた。40%以上の症例で一般的な身体所見を認めなかった。
・診断の遅れはしばしば認められるが、急性経過の前房蓄膿や硝子体炎の患者をみたら眼内炎の化膿性を必ず考慮すべきである。
・感染性心内膜炎患者では、視力の訴えを必ず聴取し、眼科医にそのことを伝えて診てもらう。

・診断は、硝子体液培養または血液培養で行う。
・血液培養は、硝子体培養と同様に約3/4の患者で陽性となる。
・北米・ヨーロッパでは?
   ・レンサ球菌(肺炎球菌、アンギノーサスグループ、A群B群レンサ球菌):30%~50%
   ・黄色ブドウ球菌:約25%
   ・グラム陰性桿菌(大腸菌、クレブシエラ、セラチア):33%程度(約1/3)
・アジアでは?
   ・ある報告では、グラム陰性桿菌のうち60%がKlebsiella penumoniaeが占めていた。
   ・台湾では、クレブシエラ肝膿瘍と眼内炎症候群の記載があり、糖尿病患者で、ムコイドタイプのクレブシエラが関連しているのでは?

上記、ざっと書きましたが、内容が間違っていたらだれか教えてください。

ブログ作者が、研修医1年目の頃、この”Klebsiella pneunmoniae”眼内炎の症例を実は経験いたしております。その症例もKlebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍から内因性眼内炎となった症例でした。

その当時、何も知らないブログ作者は、「メロペン」という抗菌剤を長期にわたり使い、そのご「ファロム」という抗菌剤を処方した遠い記憶が残っております。

なぜ眼内炎のお勉強を突然はじめたのか?それは、また別の機会にかかせていただきます!!

2009年11月24日火曜日

今月のアンケート投票残り1週間!

2009年11月のアンケート回答締め切りまで、残り7日間となりました!!

今月のアンケートテーマは?「本ブログで取り上げてほしい話題は?」です。

これまでの中間結果は以下のとおりです。

肺癌・呼吸器悪性腫瘍
10 (28%)

肺炎・呼吸器感染症
14 (40%)

気管支喘息・アレルギー疾患
8 (22%)

肺線維症・間質性肺疾患
3 (8%)

新型インフルエンザ
8 (22%)

医療問題・社会問題
10 (28%)

一般NEWS
2 (5%)

医療NEWS
6 (17%)

さいたま赤十字病院の紹介
12 (34%)

その他
4 (11%)
投票する
現在までの投票数: 35 投票終了までの日数: 7

まだまだ、投票を受け付けておりますので、右側ガジェットをご参照いただき、投票をお願い致します。

皆様の投票結果を参考に、これからもさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ内容を充実させてまいります。

2009年11月22日日曜日

インフルエンザワクチンのお値段

新型インフルエンザワクチンが世間で大人気・絶賛接種中でありますが,実は新型インフルエンザワクチンは非常にお安く接種できるワクチンになっております.

さいたま赤十字病院呼吸器内科でおこなっているワクチンは主に下記になります.

①季節性インフルエンザワクチン:1回4200円+消費税(65歳以上の方など公費負担制度あり)

②肺炎球菌ワクチン”ニューモバックス”:1回8000円+消費税

③新型インフルエンザワクチン:1回3600円(消費税込)

という価格です.

これが高いか?安いか?人それぞれの考え・思いがあるかと思いますが,さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者としては格安なのではないかと思います.

もし,インフルエンザにかかるとどれくらいのお金がかかるのか??

さいたま赤十字病院呼吸器内科に初めてインフルエンザを疑われてかかると?

  ・特定療養費:3150円(紹介状持たないで来院した初診患者さん全員にかかります)
 
  ・診察料:2700円:問診・身体所見など医師の技術料に相当するものです

  ・インフルエンザ迅速診断検査:1500円
  
  ・免疫学的検査判断両:1440円
  
  ・処方料:420円(院内)
 
  ・調剤料:90円(内服)

  ・タミフルカプセル75mg:2C×5日間:620円×5=3100円

  ・カロナール錠300mg:3錠×5日間:30円×5=150円

  ・合計:12550円

上気明細は私がA型インフルエンザで受診した際のデータをお聞きして,一部改変して作成させていただいたものです.
インフルエンザになって,診断が順調にいっても合計12550円ものお金がかかるというわけです.

12550円のうち,3150円は保険が使えない料金.残り9400円のうち,3割負担なら約2820円,
自己負担合計は?:3150円+2820円=5970円となります.

どうですか?インフルエンザにかかると意外とお金がかかりませんか?

しかも,インフルエンザにかかった場合には,その間仕事ができなかったり,家事ができなかったりと思わぬ人出や出費がかさむこととなります.

そのコストまで考えなければなりませんから,実際には5970円ではすむわけありませんね.
しかも,私も実体験いたしましたがインフエンザはなによりも「ツライ」です.

辛い思いをして,おまけに出費もかさんで人にも迷惑をかけるインフルエンザ.

ワクチンの値段がとても「安い」ものに思えませんか?

ただし,新型も季節性もワクチンを接種したからといって必ずしもインフルエンザにかからないというわけではないことは十分考慮しなければいけませんが.

さいたま赤十字病院呼吸器内科では以前より,上記ワクチン接種を非常に積極的に進めてまいりましたため,もともと「肺炎球菌ワクチン接種率」が非常に高くなっており,こういった状況でも慌てることなく対応できました.

ただし,新型・季節性ともにインフルエンザワクチンに関しては供給量不足は致し方ありません.

ワクチンはコスト的にも十分に見合う代物かと思いますので,接種可能な状況であれば是非,ワクチン接種を積極的に受けてください!!
  

2009年11月21日土曜日

European Antibiotics Awareness Day

日本の皆様は、「抗生物質・抗菌剤」をどれだけ「大切」にしているのでしょうか?

抗生物質・抗菌剤は、皆様やその周囲の方々の命を救うことに相当貢献しているはずです。

直接的には、「肺炎」や「尿路感染症」などの治療で「抗菌剤・抗生物質」が使用されますし、間接的にも、たとえば、癌や外傷の手術などでも、手術部位感染症を防ぐ目的で「抗菌剤・抗生物質」が使われたりしております。

こんな、身近な抗菌剤に対して皆様は日頃から「感謝の心」を抱いて使用しているでしょうか?

「抗菌剤・抗生物質」なんていくらでもあるし、チョットカゼ引いたら近くの医者いって抗生物質もらって飲んじゃえばすぐ治るよ!なんて気持ちではないでしょうか?

そのように「抗菌剤・抗生物質」を「イイカゲン」に使用しているからもうすでに「大変なことになっている!!」ということを啓蒙する活動がヨーロッパで行われていたようです。


「抗生物質の多用で耐性菌が増加!」

(上記URLでAFPBB NEWSサイトにつながります)

日本でも、日本感染症学会や化学療法学会などが率先して、「抗菌剤・抗生物質」の大切さを啓蒙する一般市民の皆様むけ活動を是非行って欲しいものです。

日本の新型インフルエンザ疫学情報

日本の厚生労働省の皆様は、新型インフルエンザ対策を限られたマンパワーと予算で、なんとか踏ん張って取り組んでいただいております。

そんな、厚生労働省の皆様がまとめた新型インフルエンザの日本の疫学情報のまとめがネット上で公開されました(PDFファイル)。下記URLをご参照ください。


冒頭部分のみ、下記にはりつけます。この部分のみ読んでも十分に価値のある内容です。

2009 年 11 月 20 日 1 / 5 新型インフルエンザの発生動向 ~医療従事者向け疫学情報~

厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部

4月に発生した豚由来A/H1N1の新型インフルエンザは、瞬く間に世界に拡大しましたが、それとともにウイルスの特性についても徐々に明らかになっています。国内でも、医療機関や各自治体の協力によりサーベイランス体制が維持されており、その報告に基づき疾患の性状が明らかとなっています。

今回、主に医療従事者に活用いただくことを目的として、これまで厚生労働省が収集した情報を整理いたしました。
臨床における参考資料としていただければ幸いです。
過去の新型インフルエンザの経験からも、流行が拡大するにつれてエビデンスが刻々と変化する可能性があります。
また、ウイルスの変異による病原性の変化や薬剤耐性ウイルスの発生についても注意が必要です。
本報告はあくまで現時点の知見をまとめたものですので、今後も最新の情報に注意しつづけていただきますよう、お願いいたします。
ポイント

○ 11月中旬までに国民の14人に1人程度がインフルエンザで医療機関を受診したと推定され、受診者の1200人に1人が入院し、入院患者の16人に1人が重症化し、受診者の14万人に1人 が死亡したものと推計される。

○ 全入院のうち基礎疾患を有さない方が約64%を占めているが、基礎疾患を有する頻度が低い年代に入院患者が集中していることが、全体として基礎疾患のない方の入院の割合を押し上げている可能性がある。

○ 50名の死亡者の分析によると、発症から死亡までが平均5.6日(中間値3日)であり、早い経過で亡くなっており、入院を要すると判断されてから死亡するまでの期間も平均で3.7日(中間値2日)と短期間である。

○ 主治医の報告に基づく直接死因として、20歳未満では急性の心筋炎や脳症、肺炎などが報告されている。20歳以上では、急性肺炎が死因の20%を占めている。

○ 推定受診者当たりの入院率と重症化率を週別でみると、それぞれ0.08%、0.006%程度で横ばいに推移している。

日本の新型インフルエンザ診療が非常にうまく行っていることが、上記疫学データからも推測されます。

日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインも、いろいろと批判されておりますが、限られたマンパワーと医療資源の範囲であることを考慮すると十分に対応できているのではないかと思っております。

新型?インフルエンザA体験記

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、外来で毎週多数のインフルエンザA(おそらく新型)の患者さんを診療させていただいております。

でも、最近までインフルエンザに感染することなく仕事に従事してまいりました。

おそらく、病院での診療では「発熱・咽頭痛・鼻汁・頭痛・咳」などの症状があると、「もしかしてインフルエンザかも」と疑って、診療の際にマスク着用や手洗いなど非常に気をつけるから感染しないですんでいたのかもしれません。

しかし、昨日、非常に頑固な痰を伴わない咳(乾性咳嗽)、激しいのどの痛み、どんどん湧き出てくる鼻汁症状で、「もしかしたらインフルエンザかも?」と判断し、呼吸器内科部長にインフルエンザ検査をしていただき、見事?!「A型インフルエンザ陽性」の結果がでました。

そのときは、体温37.5℃程度でしたが、タミフル、うがい薬、アセトアミノフェンなど処方され帰宅。
帰宅時の体温は38.8℃と上昇。少しボーっとする感じとなっていました。

熱そのものも多少ツラかったのですが、なによりも「咳」と「鼻水」の症状がひどく、インフルエンザが周囲お人に感染力が強いのも納得の状況でした。

すぐに、タミフル(75)1カプセル、カロナール(300)1錠、ピーエル1p内服。
アセトアミノフェン換算で450mg内服したので、解熱するかな?と思いましたが、全く熱は下がらず、その後も38℃台での変動をしておりました。

ムリに解熱させる必要性はないため、アセトアミノフェンの追加はせずに、熱型を観察いたしておりましたが、朝10時にようやく37.4℃まで低下いたしました。
ただし、体温はもともと朝低い傾向があるものですので、今日の夜になってもそれほど熱が上がらなければ、治癒傾向と判断使用かと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、10月中に「新型」も「季節性」も1回ずつ「ワクチン」を接種いたしております。
頭では「ワクチン接種していてもインフルエンザ感染する可能性は充分にある」とはわかっているはずですが、それを身をもって体験させていただくことができました(体験しないに越したことはないのですが)。

はたしてワクチンは、効果があったのでしょうか???

今回、ブログ作者は「ワクチン接種後」であること、「タミフル内服」をしたことで、どちらが有効であったかを客観的に評価する方法は知りません。
しかし、推論としては、ワクチンによって、免疫記憶が形成されていて、感染後早期に免疫応答が得られ、翌日にはだいぶ症状が改善したという仮説。
また、早期よりタミフルを内服開始したため、インフルエンザウイルスがそれ以降複製されなくなり、翌日には症状改善にむすびついたという仮説。

どちらの仮説が正しいのか?正直よくわかりませんが、ひとつわかったのは「ワクチンを接種していても、感染するときは感染する!」という当たり前のことではないかと思いました。

日本中で、「新型インフルエンザ」のワクチン接種に殺到されている光景をマスコミで毎日のように、拝見いたしております。「ワクチン打てば大丈夫」ではゼッタイにありませんので、皆様その点は十分にご注意ください!!

2009年11月18日水曜日

医学部学生むけ病院説明会のお知らせ

さいたま赤十字病院公式HPに、医学部学生むけ病院説明会のご案内がありましたので、掲載させていただきます。

「さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログを見てきました!!」と言っていただくと、ブログ作者はとても喜びます(ちなみにブログ作者は研修医採用に全くかかわっておりません)。


医学部4・5年生対象病院説明会の開催について

医学部4・5年生を対象とした病院説明会を、下記のとおり開催いたします。

               記

1.開催日時    平成21年12月29日(火) 14:00~
2.会  場     さいたま赤十字病院 会議室
3.対  象     医学部4・5年生
4.内  容     ①初期臨床研修プログラムについて
            ②当院研修医との質疑応答
5.申込方法    以下の内容を記載にうえメールにてお申し込み下さい。
            *件名を「病院説明会参加申し込み」としてください
①氏名(ふりがな)
②大学名(学年)
③現住所
④携帯電話番号
6.連絡先     

さいたま赤十字病院 人事課
℡  : 048-852-1111(代表)
Email: jrc.sh-jinji@jcom.home.ne.jp

皆様是非見学にいらしてください!!


さいたま赤十字病院研修医だより

つい最近まで、知らなかったのですが、さいたま赤十字病院の研修医の皆様が主体で、

「さいたま赤十字病院研修医だより」というのを作成されていたようです。



上記のNo.1、No.2がこれまでに発行され、WEB上でPDFファイル形式で参照できるようです。

さいたま赤十字病院で初期・後期研修を考えていらっしゃる皆様には、とても参考になるかと思います。

ただし、チョット持ち上げすぎな感じは、否定できないかと思います。

「研修医だより」だけを、ご覧になってさいたま赤十字病院を研修先に選ばれることはないでしょうが、非常によくできた作品かと思います。
こんな紹介記事をかいていただけるってことは、研修医の皆様に愛されている病院なのだということはとても伝わってくるのではないかと思います。ありがたいことです。

こんなさいたま赤十字病院では、初期研修医だけではなくて、「呼吸器内科」を含め、多数の診療科で後期研修医(レジデント)を毎年募集させていただいております。

夏から秋にかけての、採用試験、マッチングの時期は終了いたしましたが、見学については随時受け付けております。(初期研修についてはさいたま赤十字病院人事課にお問い合わせください。

呼吸器内科については、いつでも見学可能です。

たまに見学にいらっしゃる方で、「ブログ作者に会いたい!」といてくださる方がいらっしゃいますが、その場合には火曜日か金曜日に見学にいらしていただけると会える確率があがります。
もちろんその他の曜日でも、呼吸器内科見学は可能です。
お気軽にいらっしゃってください。

2009年11月17日火曜日

臨床研修病院の評価方法

さいたま赤十字病院は、日本の厚生労働省が定めた医師臨床研修指定病院です。

そのため、毎年一定数の初期研修医・後期研修医の皆様が研修に励んでいらっしゃいます。

さいたま赤十字病院のような臨床研修病院は、「臨床研修病院としての評価」はどのようにして行われるのでしょうか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、

「すべての臨床研修病院は、その施設から世に送り出した医師によって評価される」

と考えております。

どういうことかというと、その研修病院がいくら「有名」であってもなくても、「倍率」が高くても低くても、排出された医師をみればその病院の研修の「中身」がわかるということです。

いくら有名研修病院で研修された医師でも、その人がイマイチな評価の人物では、排出した医療機関の臨床研修病院としての評価も下がるというわけです。

さいたま赤十字病院は、医師臨床研修指定病院としての歴史はまあまああるものの、病院独自の研修医を採用するようになってからはまだ日が浅く、世に送り出した若手医師の皆様の数はまだまだ少ない方かと思います。

今後、さいたま赤十字病院で初期研修された「先生」方が、その道のプロの医師となり、医療業界のリーダー的存在となって、初めてさいたま赤十字病院が医師臨床研修病院として「一流」の評価を得られるのかもしれません。

そんな時代がいつやってくるのか?

ブログ作者にもわかりません。

でも、これまでの研修医の皆様のがんばっている姿を拝見すると、そう遠くない未来に「一流」の研修病院と評価される時代がやってくるのかもしれません。

そんなことを期待しながら、日々修行に励む研修医の皆様を指導医一同暖かく見守っております。

2009年11月16日月曜日

季節性インフルエンザワクチン予約受付終了のお知らせ

さいたま赤十字病院呼吸器内科に通院、もしくは受診予定の皆様に緊急連絡です。

本日、季節性インフルエンザワクチンの在庫が極めて少ない状況で、かつ次回入荷量も未定のため、

本日より、さいたま赤十字病院呼吸器内科では季節性インフルエンザワクチンの予約受付を終了させていただきました。

慢性呼吸器疾患の患者さんなどで、季節性ワクチンが必要な皆様方は、近医でのワクチン接種をお願いいたします。

また、「新型」インフルエンザワクチンにつきましては、近日中の埼玉県でも接種可能となる見込みですが、さいたま赤十字病院では、「妊娠中・小児」の患者さんを優先するため、呼吸器内科での接種はなかなか困難課と思われます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科通院中で、新型インフルエンザワクチンが必要と主治医が判断いたしました患者さんについては、「優先接種証明書」を発行させていただきまして、お近くの医療機関での接種をお願い申し上げます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科では、今後もワクチン接種などの予防医学に十分力を入れてまいりたいと考えておりますが、「ワクチンが足りない」状況は日本国中での問題であり、さいたま赤十字病院での努力だけでは困難な問題です。

皆様のご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

                      さいたま赤十字病院呼吸器内科一同

2009年11月13日金曜日

アメリカの新型インフルエンザ惨状

日本国内でも、毎日、毎日新型インフルエンザ騒動で、「頭」や「心」を痛めている皆様が多いかと思いますが、医療先進国(といわれている)アメリカではどのような状況なのでしょうか?

新型インフル、米の死者3900人 当局者「前例ない」
NIKKE NETより
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091113AT2M1300Q13112009.html

「米保健当局の疾病対策センター(CDC)は12日、新型インフルエンザの米国内での死者数が10月17日までの約半年間で3900人に達したとの推計を発表した。感染者数は全米で約2200万人、入院患者数は9万8000人にのぼるとしている。CDCのシュカット医師は記者会見で「前例なき(感染)状況だ」と警告した。 
 推計死者数3900人の内訳は、0~17歳が540人、18~64歳が2920人、65歳以上が440人。オバマ大統領は10月24日、新型インフルの流行を深刻な自然災害などに準じる国家非常事態に指定すると宣言。米政府は国民に早期のワクチンの接種を呼び掛け、対策にあたっている。」「」内上記WEB記事です。

なかなか、大変な状況が生じていることが推定されるアメリカ。

推計死亡者数を見ると、

0-17歳:540人
18-64歳:2920人
65歳以上:440人

との推計です。やはり、乳幼児や小児のみの対策では、新型インフルエンザの死亡者数の増加を食い止めることは困難なことがアメリカの事例からも想定されます。

各年代に合った新型インフルエンザ対策を、行っていく必要がありますね。
(というか、すでに各地域で、可能な限りの対策が行われているので、

「もっとがんばれ!!」

といわれても、「もうがんばれません。。。」と言われてしまいそうですが。

上記アメリカの状況は、日本よりも流行開始が早い時期であったことも頭においておく必要があります。

日本では流行が幸い少し遅れて発生したため、相対的に新型インフルエンザのワクチンの恩恵にあずかれる方々の割合が多くなりました。

また、世界中の国々からの報告に基づいた「抗インフルエンザ薬」の使用方法の最適化などなど、多数の皆様の努力により、現在の日本での新型インフルエンザワクチン対策の成果が上がっているのではないかと思っております。

前からしつこく記載しておりますが、いずれはほとんどの日本人が免疫力を獲得する「インフルエンザ」になることが確実です。それまでの辛抱ですので、なんとか乗り切っていきたいものです。

新型インフルワクチンワクチン10mlバイアル

新型インフルエンザワクチン接種は、日本の感染症対策、ワクチン対策の様々な問題を浮き彫りにしてくれました。

この教訓を、今後のワクチン政策に生かしていただけたら良いですが。

上記写真は、今いろいろと話題の新型インフルエンザワクチン10mlバイアルです。

10mlバイアルワクチンは皆様のところでは上手く使えたのでしょうか?

第567回日本内科学会関東地方会


明日、2009年11月14日土曜日は日内会館4階会議室で


第567回日本内科学会関東地方会が開催されます。上記地図をご参照ください。


さいたま赤十字病院呼吸器内科からも1演題発表させていただきます。
今回の演者は、ベテランの先生が担当してくださいます。
「統合失調症に併発した脚気心の1例」
38歳、女性
他院にて統合失調症で外来治療中。
数か月前より両下肢の浮腫が出現し、近所の診療所と病院の2施設を受診していた。
両大腿部痛も現れ、歩行不可となり、当院緊急受診。下肢に特に強い全身浮腫、貧血、Dダイマーの軽度上昇などを認め、入院。造影CTで肺血栓症の所見はなかった。第3病日の胸部レントゲンで両側下肺野のスリガラス影と両側胸水の貯留を認めた。心不全と考え、その原因として脚気心を疑い問診したところ、この2年間、粥と豆腐とチクワのみの食事であった。ビタミンB1の静脈投与とフロセミド10mg/日の内服にて、尿は6~8L/日が5日程続き、浮腫も軽快した。ビタミンB1は19ng/mLと低値で脚気心と診断した。ビタミンB1を経口薬に変え続け、浮腫はさらに軽快し、歩行も可となり退院した。脚気心の報告は散見され、治療の遅れによる死亡例も報告されている。浮腫の診療において、右心不全、偏食、アルコール多飲、低栄養状態の有無に注意し、脚気心を鑑別する必要がある。
ご興味のある先生方は、ぜひ聞きにいらしてください!!」

2009年11月12日木曜日

新型インフルエンザワクチンは1回接種が基本(18歳以上)

以前は、かなりのペースでインフルエンザワクチンについてもブログ記事を書かせていただいておりましたが、ころころ情報が変わってしまうため、書いている矢先に記載内容が「古く」なってしまうため、「もう書かない!」と心に決めておりました。

ようやく新型インフルエンザワクチンの、日本での方針が固まってきたようです。

新型インフル:ワクチン接種原則1回 高校生以下除き

(毎日JPより。いつも大変お世話になっております)

「接種回数が1回となる対象は、健康成人▽妊婦▽基礎疾患を有する者▽65歳以上--の4区分。このうち、妊婦は実施中の治験を踏まえ見直すことがあるとしている。 2回は基礎的な免疫がない13歳未満。また、中学生と高校生は治験結果が出る12月まで当面2回とし、基礎疾患のために免疫力が低下している患者は医師の判断で2回接種も差し支えないとした。」

「」内上記WEB SITEからの引用です。

新型インフルエンザワクチンを接種したい!!という多くの日本国民の皆様がいるのに、「いや2回接種しなければダメ!」となると、接種可能な方々が減少してしまうため、どうしたものか?と内心思っておりましたが、これで多くの皆様が新型インフルエンザワクチン接種をうけていただける土台が出来上がってまいりました。

1回接種でも、これだけ「新型インフルエンザ」が蔓延していれば「ブースター効果」で、おそらく十分な免疫力が得られるのではないか?とさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は考えております。

「ブースター効果」とは?

http://ja.wikipedia.org/wiki/ブースター効果

(上記URLでウィキペディアにつながります)

要は、ワクチン接種により一度免疫担当細胞が新型インフルエンザウイルスに対する免疫力を獲得してその後に同じ新型インフルエンザウイルスに感染を来たすと、1回目より2回目、2回目より3回目・・・とどんどん新型インフルエンザウイルスに対する免疫力が高まっていくことが推定されます。

なので、一度でも新型インフルエンザワクチンで、免疫担当細胞が新型インフルエンザに対する免疫を獲得する状況を体内で作っておけば、その後に新型インフルエンザに何回も感染することにより「ブースター効果」が働き、より強い免疫力を獲得することが可能であると思われます。

これだけ流行している感染症ですので、ブースターがかかる機会は相当あるのではないかと推定されますから、やはり1回接種で、多数の方々がワクチン接種を受けられるシステムのほうがよいとブログ作者も思っております。

あとは、もし確保した新型インフルエンザワクチンが余るような状況であれば、是非「国際貢献」として、ワクチンの不足している国々の皆様に提供していただけるようならとても良いことだとおもいます。



2009年11月11日水曜日

日本感染症学会の「新型インフルエンザ」緊急提言11.5

私も日本感染症学会の一会員です。

最近の日本感染症学会の先生方の活動は、「新型インフルエンザ」など迅速に対応が必要な状況で、ほんとうに大活躍されているなあと感じております。

市中病院の末端からひそかに応援いたしておりますので、これからもよろしくお願いいたします。

時間がないので、リンク張っておきます。感染症・呼吸器内科領域に携わる皆様は必読の内用かと思います。時間が無くても読んでください!!

日本感染症学会緊急提言
「一般医療機関における
新型インフルエンザへの対応について」(第2版)
追補1「10代の患者の治療の在り方」

上記URLでHTML版

上記URLでPDF版につながります。

おまけ、「肺炎球菌ワクチン再接種ガイドライン」なんかもリンク張っておきます

日本感染症学会の先生方の活躍を今後とも期待いたしております。

ここ数年で、日本の感染症業界の「夜明け」が近づいていることを非常に感じております。



2009年11月10日火曜日

新型インフルエンザは中高年も対策を!

本日は、与野医師会の先生方のお招きで、

「感染症診療の基本的な考え方とインフルエンザの基礎知識」

という内容のお話をさせていただきました。

ベテランの先生方ばかりの会で、話してと聞き手がとても近く、非常に活発な討議の元、とても楽しく時間を共有させていただくことができました!!

この場をお借りして、与野医師会の先生方に御礼申し上げます。

さて、「乳幼児や小児が新型インフルエンザはアブナイ!!」という報道やご意見をいろいろなところで見かけております。
確かに、乳幼児、小児の領域では、爆発的な感染者の増大傾向が続いており、非常に大変な状況かと思います。
ただし、新型インフルエンザの対応は「乳幼児・小児中心」だけでは、なんだか足りないような情報が増えてきております。

上記のグラフはチョット古いですが、1996年のインフルエンザの罹患率と死亡率をグラフにしたものです。
いわゆる「季節性」のインフルエンザのグラフかと思いますが、インフルエンザの「罹患率」は乳幼児~小児が圧倒的に多数を占めております。
しかし、注目していただきたいのは、「死亡率」についての部分です。
『死亡率』については、従来より言われているように、65歳ぐらいを境目にグラフが急峻に上昇していき、80歳代がピークとなっております。
従来から「インフルエンザは65歳以上の高齢者に注意!!」と言うことを実によく表しているグラフ化と思います。

では、「新型」インフルエンザではどうなのでしょか?

当然今回の「新型」インフルエンザA ”2009H1N1”は、現在進行形の形で、世界中で広まっているわけですから、断定的なことは誰しもいえないわけですから、これまでの情報で推理していくしかないわけです。

そんな中での情報です。

JAMA(2009.11.4)に掲載されたアメリカカリフォルニア州の情報では、

入院率は乳幼児が高いものの、死亡率については、50歳以上の集団、とくに50-59歳の集団で高いことがしめされました。
ただし、この報告は、2009年4月から8月までの期間であること、日本とはことなったコミュニティでの情報であることから、鵜呑みにしてはいけませんが、これまでの季節性インフルエンザと同様に、感染者・入院患者数は、乳幼児・小児が多いが、死亡率の視点でみると、比較的高年齢層に多いという感じなのでしょうか?

もちろん、罹患率の高い集団では、死亡率が低くても、実際の死亡者数は多くなるわけですから十分に注意する必要はあります。
ただ「新型」インフルエンザの対策が、乳幼児・小児ばかりに視点を向けていては高年齢層への流行蔓延が生じた際に、大変なことになる可能性があるのではないかと思いました。

これはだれも「答え」を知らない内容なため、あくまでもブログ作者の意見です。

ただ、マスコミの報道を見ていると、「新型」インフルエンザは「こどもの病気」という風潮が非常に協調されすぎている感じがしただけです。

新型インフルエンザに限らず、「インフルエンザ」は「流行」するから「インフルエンザ」とつけられたのでしょう。すべての年齢層で、各々にあった対応をしていかなくてはいけませんね。


アバスチンついに非小細胞肺癌で使用可能に

2009年11月9日に、ようやく非小細胞肺癌への適応取得のニュースが飛び込んできた

「アバスチン」ですが、、、

「タルセバ」のときと同様に、6ヶ月の市販後調査というおまけがついてきました。

市販後調査事態は非常に大事なのですが、日頃からなんとか書類書きを減らしたいと日夜努力している臨床医にとっては、やはり負担なのも事実です。

中外製薬、抗悪性腫瘍剤「アバスチン」が非小細胞肺がんに対する効能・効果および用法・用量の追加承認を取得


「中外製薬による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出されました。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン(R)」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者さんの全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示されました。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン(R)」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン(R)」の有用性が示されました。
 なお、非小細胞肺がんにおける国内外の臨床試験では、既承認効能である「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」における「アバスチン(R)」の投与に比し、肺出血(喀血)の発現率が高いことが報告されています。このため中外製薬では、承認後6カ月間にわたり市販直後調査を実施し、適正使用の推進と副作用の把握・報告の徹底を図るとともに、扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける肺出血(喀血)に関する特定使用成績調査を実施し、肺出血(喀血)のリスク分析を行うなど、更なる安全性情報の提供と適正使用の推進に努めて参ります。」「」内引用です。

新たな肺癌治療薬が日本で使用可能となること事態はよいことかもしれません。

ただし、メリットの部分ばかりみているのではなく、副作用・コストなどの『デメリット』の部分にも十分に注意を払って新薬に向き合っていく必要があるのもまた事実化と思います。

2009年11月9日月曜日

ブログ御参照ついでにアンケート回答もご協力お願いいたします

毎月、月単位で開催しております、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログアンケート。

今月のお題は「本ブログで取り上げて欲しい話題は?」です。

ブログというのは、読んで・見ていただいてはじめて存在価値があるものになります。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様は本ブログにどのような記事・内容を求めていらっしゃいますか?

是非、本ブログを訪れていただいた記念?に右側ガジェットのアンケート回答にもご協力をお願いいたします。

アンケート結果を参考に、今後のブログ記事を書かせていただきますね。

2009年11月7日土曜日

カウンター5000突破!ありがとうございます

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは、読者の皆様に支えられて今までやってこれました。

本日なんとカウンター設置1ヶ月余りで5000カウントを突破致しました!

これからも読者の皆様に私共のイイタイコトを伝え続けてまいりたいと思います。

なんでブログなんかやっているんだ?と周囲の方々は不思議に思われているかも知れません。

誰からブログをやるように言われたわけでも無く、ブログやったからといって給料増えるわけでもアリマセン。

では何故さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログを続けて居るのか?

それはイイタイコト・ツタエタイコトがものすごく沢山有るからです!

イイタイコト・ツタエタイコトが何も無くなる時がもし来たら、その時はさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログを閉鎖しようと思います。

今のところ有り余るほどイイタイコトが山ほど有るためブログ閉鎖は遠い未来のお話ですね!?

初期研修医マッチング

先日、来年度からさいたま赤十字病院で初期研修をされる医師の初期研修病院を決める「マッチング」というものの結果が公表されました。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者が医師になったころは「マッチング」というシステムはありませんでしたので、学生時代に各病院と個別に交渉したり、選抜試験を受験したりして採用されておりましたが、数年前からこの「マッチング」システムで研修先を決定されているようです。

さいたま赤十字病院も医師臨床研修病院として、初期研修医となられる学生の皆様を8名募集させていただきました。

結果はどうだったでしょうか?

(上記URLで2009年マッチング結果PDFにつながります)

さいたま赤十字病院 募集定員8名
さいたま赤十字病院初期研修プログラムを希望順位登録された学生数38名
単純には倍率4.75倍という結果でした。
中間発表での1位希望された学生の皆様が12人という情報もいただきましたがその後どうなったのかはブログ作者はよくわかりません。

さいたま赤十字病院を選んで下さいました医学部学生の皆様、大変ありがとうございました。

さいたま赤十字病院初期研修プログラムにマッチされた皆様、来年4月よりお会いできることを楽しみにいたしております。

さいたま赤十字病院での研修を希望していただき、初期研修にマッチされなかった学生の皆様。
別に、残念がることはございません。

以前も本ブログに記載させていただいておりますが、


「どこ」で研修するかよりも「どのように」研修するか?のほうが数倍大事かと思います。

有名研修病院で研修したから、皆から尊敬される医師になるかというとそうでもないことはこれから皆様が肌で感じることとなるでしょう。
「有名」研修病院で研修されても、結局、「残念」な医師になる方々が少なからずいらっしゃいます。
逆に、「無名」と言われる研修病院で研修されても、尊敬される「名医」になられる方々もいらっしゃるのが事実です。

さいたま赤十字病院で初期研修されることになられた学生の皆様にも、上記のことを当然自覚していただかなければなりません。
正直、さいたま赤十字病院は臨床研修病院としては発展段階にある病院です。
まだまだシステムや病院に頼り切っての研修では、十分な研修ができるとは言いがたいでしょう。

でも、「良き臨床医」を育てようとする「姿勢」は、なかなかのものかと思います。

また、研修に携わっている先生方が柔軟な考え方をお持ちの皆様のため、研修医の意見を幅広く拾い上げてそれを反映することが可能で、しかもそれが実践されているところは評価されていいかなと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科では、初期研修を終了された先生方を毎年レジデントとして募集させていただいております。
もし、初期研修でさいたま赤十字病院にマッチしなかったけど、「呼吸器内科医」を将来目指しているという皆様は、是非2年後、さいたま赤十字病院呼吸器内科レジデントを目指して各研修病院で修行に励んでください。





アゾールは免疫抑制作用がある?

非常に急速な肺炎球菌敗血症の経過で救命困難な症例。

肺炎球菌ワクチンは是非皆様接種しましょう!!とはいってもさいたま赤十字病院では自費で約8000円プラス消費税という決して安くは無い費用がかかるため、接種できる人は限られてしまうことが問題ですが。

さて本題ですが、アゾール系抗真菌剤は免疫抑制作用を有するのでしょうか?それともたまたまなのでしょうか?

”Routine versus selective antifungal administration for control of fungal infections in patients with cancer(Review)"
Peter C Gotzsche,Helle Krogh Johansen.
Cochrane Database of Systemic Review,Issue 4,2009

上記文献のP.7に

The advantage of using total mortality as outcome measure is not only that it is unbiased, it may also be the most relevant one, since the drug could have important harms leading to drug relevant mortality. Ketoconazole, for example, is immunosuppressive and in all three trials in which bacterial infection were reported, these were more common with ketoconazole than with placebo:37 versus 15% of the neutropenic courses(Hansen 1987).Interestingly, this adverse effect could be a class effect related to azoles as increased incidence of bacteremias has also been reported with fluconazole,27 versus 16 patients(Schaffer 1995) and 15 versus 7(Kern 1998),and with itraconazole, 47 versus 31(Menichtti 1999).

という記載がありました。
これだけで、アゾールが免疫抑制作用があるとか、細菌感染症のリスク増大とか簡単には言えませんが、注意深く経過観察したり、可能な限りワクチン接種を行うなどの努力は必要なのかもしれません。

上記論文の引用されている文献は多くが1980年代~1990年代のもので、やや古さが否めないのが残念ですが、充分に検討する必要があるのではないかと思います。

抗真菌剤の使用については、非常に多くの相互作用や副作用、またコストの問題などいろいろと考えなければならない事柄が多数あります。抗真菌剤の適応、使用については、かなり勉強・慣れが必要ではないかと思いますので、各施設の専門家に是非相談してから使用を開始されることをお勧めいたします。(とはいっても待ってられない状況も多々あるのも事実ですが)

さいたま赤十字病院では、これからもいろいろな勉強会に参加させていいただき、いろいろとご意見をいただき、さらなるレベルアップをしてまいりたいと思います。

次回の第40回Tokyo Infection Conferenceは2010年1月8日金曜日、順天堂大学で開催予定だそうです。(予定のため、詳細が決定しましたら本ブログでも掲載させていただく予定です)


2009年11月6日金曜日

面会制限についてのおねがい

新型インフルエンザは、さいたま赤十字病院にも大きな影響を与えております。

急性期病院、癌拠点病院という性格上、多くの免疫力の低下されている患者の方々が入院、つういんされております。
こういった方々への、免疫力の獲得されていない「新型インフルエンザ」の感染は、やはり避けたいのが本音です。
そのため、さいたま赤十字病院公式HPで、「新型インフルエンザによる病棟面会制限のご案内」が掲載されました。PDFファイルのため参照できない皆様もあるかと思いますので、下記にコピーを貼らせていただきます。


ご来院の方へ

面会制限に対するご協力のお願い

新型インフルエンザが流行しておりますので、入院患者さんの安全のため、当分の間、下記に該当される方を対象に面会制限をさせていただきます。ご理解の程よろしくお願いいたします。

対象者 ◎ 体調不良の方
       (発熱・せき・痰・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感など)

◎ 高校生以下の方

※ 患者さんお一人につき面会者は2名までとさせていただきます。

※ 遠方からのご来院など、わざわざお出でいただいた場合であっても、ご面会をご遠慮いただく場合がございます。
                                     院 長

2009年11月5日木曜日

明日11/6夜 第39回Tokyo Infection Conference


いよいよ明日に迫ってまいりました、

”第39回Tokyo Infection Conference”

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者の症例呈示も、無事作成が終了いたしました。

感染症のプロの先生方にとっては、とても簡単な問題・症例かもしれません。
でも、ブログ作者の中では未だにいろいろと考えることのあった症例であるため、選定させていただいた症例です。

内容については、あえて言及を避けますが、基本的な事項と議論のある事項を盛り込んだ内容となったのではないかと思っております。

私のプレゼンテーションを通じて、フロアの感染症の勉強をしてきたプロの先生方、これから感染症診療の勉強をしていこうとする皆様のご意見を多数いただけましたら幸です。
自分の意見と異なることでも、多数のご意見・ご批判を頂くことで、見えてくる事項もいろいろとあることでしょう。
議論は「ケンカ」とは違いますので、建設的に行っていければ著明な先生方と違う意見でも別にいいのではないかと思います。医療の世界ではいろいろな視点があって当然なのではないかと思います。

答えがただひとつではないこと。これが、他の自然科学と異なる医療の最大の特徴ではないでしょうか?

日時:平成21年11月6日(金)19;00~

場所:順天堂大学医学部付属 順天堂医院
    10号館 1階 会議室(入り口左側カンファレンスルーム)
    上記地図画像の左下に10号館あります。

参加費:500円



PK/PDで売り上げUP!?-クラビット-

臨床感染症の世界は「感染症診療」の世界と「感染制御」の世界に大きく分けられております。

日本ではまだまだ、専門家の不足などから「診療」と「制御」がごっちゃになっている感じがありますが、今後は上記を明確に分けて考えていくのではないかと思っております。同じ感染症でも全く違う分野なのですが、一般の方々にはなかなか理解に苦しむのかもしれませんが。

感染症診療はひとりひとりの感染症「患者」の治療を担当する、診療科で、一方、感染制御では「集団」「社会」の感染制御・防衛を扱っていくことになります。

「集団」というのは、小さい単位ですと、各病院・病棟レベルになりますし、もう少し大きな視点で見てみると、国全体や世界全体の問題も絡んできます。

抗菌剤は、相手が「生きている」「変化する」という点が他の疾患と根本的に異なる点かと思います。

相手が「変化する」とは、同じ病原体でも、同じ治療が効かない・効かなくなるという事態が生じることを意味しております。
簡単に言うと「抗菌剤耐性菌の出現」といえるかもしれません。

この「耐性菌」の出現を防ぐ方法のひとつとし抗菌剤の適正使用が推奨されております。もちろん基づく抗菌剤の適正使用のみでなんでもうまく行くわけではないことは以前ブログでも記載させていただいているとうりですが。

そんな中で、PK/PD理論に基づいた投与設計で、これまでより売り上げを伸ばした抗菌剤「クラビット」のニュースを拝見したので紹介させていただきます。

第一三共4-9月 クラビットの売上9.3%増

(ミクスonline WEB SITEより)
「第一三共が10月30日の発表した10年3月期第2四半期(4-9月)血算では、5月にジェネリックが発売された抗菌剤クラビトの国内売上高は前年同期より9.3%増の214億円の増収となった。耐性菌の抑制効果を狙いに高用量(500mg)製剤を7月に発売し、徹底した販促をかけたことが奏効し、当初計画を4億円上回った。通期では前年より2.3%増の計画を変えず440億円を見込む。 」「」内引用です。

ジェネリック医薬品が発売開始された、薬剤は通常売上高は減少することが多いのですが、この「クラビット」についてはPK/PD理論に基づく投与設計改訂、添付文書改訂でなんと前年より売り上げが伸びているというのですから驚きです。

また、クラビットについては、静注剤型の承認申請も先月末に行ったようですので、
(上記URLで医療系剤WEB SITEにつながります)

まだまだ、フルオロキノロンの世界では巨人「クラビット」の時代が続いていくのかもしれませんね。

とても多く使用されている「クラビット」などのフルオロキノロン系抗菌剤。注意点も多々あるのも事実です(耐性菌出現、副作用、抗結核菌作用、薬剤吸収の問題などなど)
フルオロキノロンの適応については、充分に必要性を考えて使用していく姿勢は大事にしていきましょう。

肺癌治療ワクチン「スティミュバックス」

非小細胞肺癌領域の抗悪性腫瘍剤治療はここ5年くらいで、大きく進歩してきたと感じております。

以前は、非小細胞肺癌は手術療法が困難ですと、もう「どうしようもない」状況でした。

現在は「組織型」や「遺伝子変異」などの検索により、かなり「個別治療」の道が開けてきたため、手術不能非小細胞肺癌は治癒は困難でもなんとか延命が可能になってきたのかなあと思っております。

そんな中で、新しい「肺癌治療ワクチン」の開発の話題です。

【メルクセローノ】アービタックスが好発進‐第二弾として肺癌ワクチン投入へ

薬事日報WEB SITEより
(上記URLで薬事日報WEB SITEへつながります)

「スティミュバックスは、癌抗原のMUC1を標的にしたBLP25リポソームワクチン。現在、非小細胞肺癌患者を対象に、スティミュバックスの国際共同第III相試験「START」が進められている。国内では第II相試験を実施中で、海外第III相試験データをブリッジングし、国内承認申請を行う予定にしている。」
「」内上記WEB SITEからの引用です。

新しい、非小細胞肺癌治療薬「スティミュバックス」。癌抗原MUC1を標的にしたBLP25リポソームワクチンとの記載があります。実際に、どのような治療戦略になるのか?まだまだブログ作者の元にはそれほど情報がありませんので、慎重に様子を見ていきたいと思います。

もし、「スティミュバックス」についての詳細な情報をお持ちの方々(製薬会社のMRの方や治験に携わっている先生方など?)で、WEB上で公開させていただいてもかまわない形での情報提供がいただけましたら是非メール等ください。

さいたま赤十字病院呼吸器内科の主要な診療項目のひとつは「肺癌」を含む呼吸器悪性腫瘍です。

手術が困難な「肺癌」患者さん方の治療方法をこれからもいろいろと、考えて行きたいと思っております。

残念ながら「小細胞肺癌」の治療成績は、ここ数年あまり変化がないように思います。
「小細胞肺癌」の治療方法も劇的な進化が有るといいのですが、何か情報お持ちの皆様いらっしゃいましたらお願いいたします。

2009年11月3日火曜日

雪国

今日は越後湯沢に来てます。

まだまだスキーシーズンには早いですがもう街中は思わぬ雪化粧しておりました。

寒くなって湿度が下がってくると益々インフルエンザが流行するかも知れません。

皆様十分に気をつけて下さい

感染症診療の基本的な姿勢は?By Dr.三鴨

先日の、感染症学会・化学療法学会地方会で一番勉強になったのが、愛知医大の三鴨先生の御講演だったかもしれません。

抗菌剤の適正使用が叫ばれて久しいですが、抗菌剤の適正使用の目指すものはいったいどこなのでしょうか?

三鴨先生は、「目の前の患者の治療が第一」と明確に打ち出されております。

抗菌剤の使用方法の技術論や耐性菌問題ばかりを前面に出して果たしてよいのだろうか?

そもそも抗菌剤というものは眼前の「患者」を治療するための薬剤ですから、それを使用する大原則は「耐性菌の出現抑制」ではなく、「患者の命を救うこと」が大原則となります。

その中で、感染症診療の基本原則として大事なことを3点大事な順に挙げておられました。
   
    ①SOURCE CONTROL

②TO KNOW THE ANTI BIOGRAM
   
    ③APPROPRIATE ANTIBIOTIC USE

感染症診療に従事し、抗菌剤の使い方に「ウルサイ」ヒト(自分も)は感染症診療では③の「適正な抗菌剤の使い方」の部分のみ知識・経験を身につけて、何とかしようという方々がいらっしゃいますが、「感染病巣・感染源」をなんとかしない限り、抗菌剤をいくら「適正」に使用したって「なんとかならない」こともこれまた事実です。

たとえば、呼吸器内科ではよく「膿胸」の患者さんを診療させていただきます。
「膿胸」に対して、いくら「かしこい」抗菌剤の使い方をしてもおそらくそれ「だけ」では治療は困難でしょう。
そう”SOURCE CONTROL"としての「胸腔膿瘍ドレナージ」を行わなければ治療は困難です。

次に、三鴨先生は”ANTIBIOGRAM"という考え方をかなり広く捕らえられていらっしゃいました。

国別の原因菌の”ANTIBIOGRAM"。

臓器別の原因菌の頻度に関する”ANTIBIOGRAM"

各地域での市中感染症の原因菌の”ANTIBIOGRAM"

各医療機関の院内感染病原菌の”ANTIBIOGRAM"
などなどです。このように各”ANTIBIOGRAM”を充分に「知る」ことは、微生物という眼に見えない「相手」を十分に推定する手がかりになるのだということを改めて感じました。

ここまで、きてようやく「抗菌剤適正使用」が生きてくるのでしょう。

最近の感染症領域では、「サンフォード」などの米国や他国のマニュアルを参考にした感染症診療がはやっているように思います。
「サンフォード」はあくまでも「アメリカ」の”ANTIBIOGRAM"や国のさまざまな事情を参考にして作られた抗菌剤のマニュアルです。
また、CLSIの抗菌剤判定基準もこれまた「アメリカ」での使用を念頭において作成された判定基準化と思います。
こういったところも、「日本」の実情に合わせて充分に考えて使用しないといけないということも三鴨先生はお話されておりました。

また、抗菌剤の適正使用を誘導する方法として、多くの病院が行っているであろう
   「届出性」 「許可制」についても、警鐘を鳴らしておられました。

正しい感染症診療が身についているスタッフがある程度そろっていればの前提でのお話と思いますが、
抗菌剤の「使用調査制」という新たな考え方もご呈示いただきました。(ブログ作者は不勉強でこの「抗菌剤使用調査制」については全く知りませんでした)

この「抗菌剤使用調査制」は、これまでの、「届出制」「許可制」のデメリットである、医師の過剰な広域抗菌剤の使用抑制の問題を解決するシステムかもしれません。
重症で且つブロードスペクトラムの抗菌剤のゼッタイ適応というのはなかなか難しいのですが、「許可制」や「届出制」では、医師の心に無用な「抑制」が係り、本来必要な抗菌剤が使用されない自体が生じる危険性をはらんでおります。
それに対し、「使用調査制」では、実際に、使用されている抗菌剤を調査し、それがどのような「ターゲット」(臓器・原因菌)にしようされているか?また、期間は適正か?などをモニターする方法のようです。
感染症専門知識を持つマンパワーを必要とするため、なかなか大変かもしれませんが、非常にメリットも多いシステムではないかと思いました。
ただし、感染症・抗菌剤の使用能力が医師各位でかなり違うため、なかなか難しいのですが、ある一定レベル以上の感染症診療能力を見についている医師が多数いる施設では、この「使用調査制」はなかなかすばらしいシステムかもしれないと思いさいたま赤十字病院でも導入が可能なレベルまで達するように努力していきたいと考えております。

「抗菌剤の適正使用」のみで、すべてがう「うまくいく」わけではないこと。
これはやはり、感染症・抗菌剤の勉強をある程度された皆様が改めて認識すべき事項ではないかと思いました。

11月のアンケートテーマは「本ブログで取り上げて欲しい話題は?」

秋も深まり、徐々に寒さが厳しい季節となってまいりました。

最近、いろいろな方に「さいたま病院呼吸器内科ブログ見てるよ!」と声をかけていただいております。
ブログ作者としては大変嬉しく思います。皆様、大変ありがとうございます。

文章は多数の方々に読まれて初めて生きてくるものです。皆様これからもご愛読の程よろしくお願いいたします。

さて、2009年11月のアンケートテーマは?

「本ブログで取り上げて欲しい話題は?」にさせていただきました。

ブログというものは、インターネット上で公開させていただいている以上、読者の皆様にいろいろと伝えたいことがあって、書かせていただいているものなのですが、作者が勝手に書いているだけでは、皆様もご不満があるかもしれません、そこで、皆様がどのような話題についての記事をご希望されているのかをアンケートさせていただき、今後の記事選定の参考にさせていただこうと思いました。

また、月末までの一ヶ月間。皆様のご投票をお待ちいたしております。
なお今回も、複数回答OKですので、よろしくお願いいたします。

2009年11月2日月曜日

10月のアンケート結果発表

2009年10月のアンケートテーマは
「皆様のさいたま赤十字病院の認識は?」でした
それでは結果発表です!

今まで知らなかった。。。
6 (11%)
病院名どこかで見聞きしたことある
4 (7%)
よく知っている
22 (40%)
受診したことがある
15 (27%)
臨床研修病院として有名である
12 (22%)
救急病院として有名である
19 (35%)
癌拠点病院として有名である
19 (35%)
なんの特徴も無い。。。
2 (3%)
よくわからない。。。
2 (3%)

現在までの投票数: 54
投票終了

まだまだ、知名度はそれほどないさいたま赤十字病院。
今まで知らなかった方が11%いらっしゃいました。本ブログではじめて知った方々もいらっしゃるかもしれません。
よく知っている方40%、受診したことがある方27%という結果でした。
日頃のご愛顧感謝いたします。

また、さいたま赤十字病院の特徴については?

・臨床研修病院として有名→22%

・救急病院として有名→35%

・癌拠点病院として有名→35%

という結果でした。まだまだ研修病院としては発展途上なのかもしれません。

これからも、皆様の認知度をアップしていくためにも、ブログでの宣伝・広報活動を精進してまいります。

今月も新アンケートよろしくお願いいたします。


2009年10月30日金曜日

感染症・化学療法学会合同東日本地方会

本日と明日は感染症関連の学会で勉強させていただいております。

こういった勉強させていただけるのもさいたま赤十字病院呼吸器内科の他のスタッフの皆様の協力があって始めて可能なのです。

学会や勉強会に参加できる幸せを十分に認識してしっかりと勉強させていただきますね!

写真は学会会場の東京ドーム周辺の夜景です

2009年10月28日水曜日

第58回日本感染症学会東日本地方会学術集会

今週末、2009年10月30日金曜日、31日土曜日は

第58回日本感染症学会東日本地方会学術集会+第56回日本化学療法学会東日本支部総会の
合同学会開催です。

さいたま赤十字病院呼吸器内科からも1演題発表させていただきます。
さいたま赤十字病院呼吸器内科レジデントのエースが発表予定です。

演題名:Rhodotorula mucilaginosa菌血症の1例

聞きなれない菌名かもしれませんが、酵母様真菌の一菌種です。

コロニーがピンクっぽい特徴的なものなので、サブロー培地でコロニーを観察すると、プロの眼ではすぐに推定できるそうですが、ブログ作者の眼では、わかりませんでした。

担癌患者さんや、免疫不全状態の患者さんで、CVカテーテル挿入中にカテーテル血流感染症の形で発症することの多い真菌だそうです。

死亡率は12-14%程度、しかし、真菌性眼内炎を発症すると高率に失明にいたる怖い菌種です。

抗真菌薬の選択には注意が必要で、皆様がしばしば使用される「アゾール」や「キャンディン」系の抗真菌剤は無効なことが多いみたいです。

(アゾール系:フルコナゾール、ミコナゾール、ボリコナゾールなど)
(キャンディン系:ミカファンギン、キャスポファンギン、アニデュラファンギンなど)

そこで、Rhodotorula Spp.を考慮した場合には、アンホテリシンBが使用されます。
文献上も多くがアンホテリシンBで治療されており、in vitroでの薬剤感受性も良好です。
現在日本でも、リポソーマルアンホテリシンBが使用可能となっておりますので、治療薬としてはこちらが主流となるでしょうか。

注意点は、CVカテーテル血流感染での真菌感染症が多いため、エンピリックに使用される頻度の多い「ミカファンギン」や「フルコナゾール」が無効の可能性が高い点ではないかと思います。

血液培養で酵母様真菌が検出されたら、それは非常事態です!!必ず、最終菌名の同定まで心がけるように努力いたしましょう!!

興味のある方、お時間の許す方はは是非、私どもの演題発表を聞きにきてください。
皆様のご意見をいただければ非常に勉強になるかと思います。