2009年11月21日土曜日

日本の新型インフルエンザ疫学情報

日本の厚生労働省の皆様は、新型インフルエンザ対策を限られたマンパワーと予算で、なんとか踏ん張って取り組んでいただいております。

そんな、厚生労働省の皆様がまとめた新型インフルエンザの日本の疫学情報のまとめがネット上で公開されました(PDFファイル)。下記URLをご参照ください。


冒頭部分のみ、下記にはりつけます。この部分のみ読んでも十分に価値のある内容です。

2009 年 11 月 20 日 1 / 5 新型インフルエンザの発生動向 ~医療従事者向け疫学情報~

厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部

4月に発生した豚由来A/H1N1の新型インフルエンザは、瞬く間に世界に拡大しましたが、それとともにウイルスの特性についても徐々に明らかになっています。国内でも、医療機関や各自治体の協力によりサーベイランス体制が維持されており、その報告に基づき疾患の性状が明らかとなっています。

今回、主に医療従事者に活用いただくことを目的として、これまで厚生労働省が収集した情報を整理いたしました。
臨床における参考資料としていただければ幸いです。
過去の新型インフルエンザの経験からも、流行が拡大するにつれてエビデンスが刻々と変化する可能性があります。
また、ウイルスの変異による病原性の変化や薬剤耐性ウイルスの発生についても注意が必要です。
本報告はあくまで現時点の知見をまとめたものですので、今後も最新の情報に注意しつづけていただきますよう、お願いいたします。
ポイント

○ 11月中旬までに国民の14人に1人程度がインフルエンザで医療機関を受診したと推定され、受診者の1200人に1人が入院し、入院患者の16人に1人が重症化し、受診者の14万人に1人 が死亡したものと推計される。

○ 全入院のうち基礎疾患を有さない方が約64%を占めているが、基礎疾患を有する頻度が低い年代に入院患者が集中していることが、全体として基礎疾患のない方の入院の割合を押し上げている可能性がある。

○ 50名の死亡者の分析によると、発症から死亡までが平均5.6日(中間値3日)であり、早い経過で亡くなっており、入院を要すると判断されてから死亡するまでの期間も平均で3.7日(中間値2日)と短期間である。

○ 主治医の報告に基づく直接死因として、20歳未満では急性の心筋炎や脳症、肺炎などが報告されている。20歳以上では、急性肺炎が死因の20%を占めている。

○ 推定受診者当たりの入院率と重症化率を週別でみると、それぞれ0.08%、0.006%程度で横ばいに推移している。

日本の新型インフルエンザ診療が非常にうまく行っていることが、上記疫学データからも推測されます。

日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインも、いろいろと批判されておりますが、限られたマンパワーと医療資源の範囲であることを考慮すると十分に対応できているのではないかと思っております。

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