2006年12月16日土曜日

ノロウイルス

最近日本中を騒がせている病気「感染性胃腸炎」の原因であるノロウイルス感染症が大流行しております.さいたま赤十字病院も例外ではなく外来患者様や当院スタッフの中にも多数のノロウイルスによると思われる感染性胃腸炎の症状が出ている人がいます.さいたま赤十字病院呼吸器内科医も4人中2人が感染性胃腸炎でお仕事お休みいたしました(実に感染率50%).実際に感染性胃腸炎になった感想を述べますと,まず全身のだるさが生じ,その後に激しい頭痛,頭重感が生じたと思ったら水様の下痢便が大量に発生しました.また腹部全体に移動する鈍痛や嘔気などがありました.
安静と補液(点滴んもことです)で軽快しましたが,かなり辛かったです.
ところでノロウイルス感染症の診断はどのように行なうのでしょうか?ノロウイルスは文字どうり「ウイルス」による感染症ですから,検体を一般細菌培養検査に出しても検出されません.そのため検体(たとえば便や吐物)をノロウイルスの遺伝子(RNA)を検出する検査を検査専門の会社に提出して検査を行います.しかしこの検査はまだだれでもできる検査ではありません.健康保険が適応されないため「自費」での検査になってしまいます.また検査会社に検体を提出して数日立たないと結果がわかりません.結果が返ってきた頃にはもう治っていることが多いです.
ここまで日本中で問題となっている「ノロウイルス」感染症ですから検査の健康保険適応など行政側の迅速な対応が必要かもしれません.

2006年12月9日土曜日

治らない病気①

呼吸器内科にかかる患者様には、非常にいいにくいことですが「治らない病気」の患者様が非常に多くいらっしゃいます。「治らない病気」の代表として「気管支喘息」が挙げられます。気管支喘息はアレルギー体質などが元となるアレルギー疾患であり、気管支喘息がまったく治ってしまうということは考えにくいです。これは別にずーっと病院に通わなくてはいけないとか薬をずーっと使用しなくてはいけないということではありません。小児期に気管支喘息で通院されていた方が大人になって全く病院に通わなくてすんでいる人など病状が落ち着いている人は多くいらっしゃいます。しかし病状が長期にわたって落ち着いているからといって治っているわけではありません!!眠っている気管支喘息はいつ悪さをするかわかりません。常に気管支喘息を自分は持っているという自覚が大事です。長期間にわたり病状が落ち着いていても必ず病院受診時や薬局で薬を買うときなど気管支喘息があることを医療従事者に伝えましょう。今苦しくなくても、例えば「痛み止め」や「湿布」などの使用を機に喘息症状が悪化するいわゆる「アスピリン喘息」や、呼吸器の病気以外で受診して「造影剤」を使用する場合などに眠っていた気管支喘息が突然暴れだし呼吸困難に陥るといったことがあります。以前に気管支喘息を指摘されたことがある患者様は必ず申し出てください。

2006年11月25日土曜日

狂犬病

最近フィリピンからの帰国者で立て続けに狂犬病の患者が2人発生し,亡くなったというショッキングなニュースがありました.狂犬病は狂犬病に感染している動物との接触により感染するため,ヒトからヒトへの感染はないとのことです.しかし,今全世界的にヒトやもの,動物などの交流が盛んであり,植物,動物,昆虫など以前なら日本に存在しなかった生物が多数日本に住み着いています.また近年,世界的に温暖化の影響で気温の上昇が続いています.こうなるとこれまで日本での発生はなく海外からの輸入感染症のみであったマラリアやデング熱などの感染症も日本国内での感染事例なども出てくるかもしれません.地球温暖化が人類の健康を脅かす時代がすぐそこまで迫っている感じがしました.

2006年11月14日火曜日

肺炎球菌ワクチン

インフルエンザがそろそろ流行を迎える季節になりましたが、この時期に是非接種しておきたいワクチンとして肺炎球菌ワクチンがあります。インフルエンザワクチンは毎年接種ですが、肺炎球菌ワクチンは日本では一生に一回というしばりがあるため注意が必要です。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は文字どうり肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンです。肺炎球菌は市中肺炎の原因菌として常に第一位の座を占める非常に重要な細菌です。またひとたび肺炎を起こすと、病状によっては敗血症、急性呼吸不全となり残念ながら抗菌剤や集中治療を行っても助からない方がいらっしゃいます。当院でも毎年肺炎球菌肺炎で患者様が亡くなる例が後をたちません。また肺炎球菌肺炎はインフルエンザ罹患後に発症する場合がありこの場合は特に注意が必要です。このためさいたま赤十字病院呼吸器内科では慢性呼吸器疾患の患者様や高齢患者様にインフルエンザワクチンだけではなく肺炎球菌ワクチンの接種も推奨させていただいております。ただしほとんどの患者様は肺炎球菌ワクチン接種は保険診療ができないため自費での接種となります。この点はご注意ください。肺炎球菌ワクチンをご希望の方は、さいたま赤十字病院呼吸器内科にご相談ください。

2006年11月3日金曜日

インフルエンザ

冬の時期は呼吸器内科はとても忙しくなります。とくにインフルエンザや肺炎の患者さんが沢山呼吸器内科外来を訪れます。インフルエンザに関してはなってから対応するのではなく、やはりワクチンで予防することが大切です。インフルエンザワクチンは、WHOが毎年世界で流行するインフルエンザ株を予想し、これを元に日本国内での流行株など考慮して十分考えて作られています。「ワクチンなんてうってもきかないよ!!」ということを言うヒトもいますが、慢性呼吸器疾患を患っている患者さんは是非ワクチンを打っていただきたいと思います。インフルエンザワクチンを打っていても残念ながら100%インフルエンザを予防できるというわけではありませんが、症状や病状が軽度で済むことがわかっています。しかし、ワクチンを打つ時期については注意が必要です。10月中などあまり早い時期にワクチンを打つと流行時期が2月~3月くらいと比較的遅い場合には抗体価が下がり残念ながら有効でなくなってしまう可能性があります。一回打ちであれば11月下旬から12月中旬頃がよいのではないかと思います。できれば一回目にワクチンを打ってから約1ヶ月後に2回目のワクチンを打つことで、比較的長い間ワクチンの効果を維持できることがわかっており、可能であれば2回打ちでしっかりインフルエンザを予防することがよいと思います。

2006年10月29日日曜日

2006年11月の学会活動

さいたま赤十字病院呼吸器内科では各種学会にも積極的に参加しております。

2006年11月は2つの学会に当院呼吸器内科として参加させていただきます。

2006年11月11日 日本呼吸器学会関東地方会
     ”胸腺腫術後8年経過して発症したGood症候群の一例”

2006年11月16~17日 日本赤十字社医学会総会
     ”多房性嚢胞性変化をきたした肺腺癌の1手術例”

今後もさいたま赤十字病院呼吸器内科は積極的に学会活動を行ってまいります。

2006年10月26日木曜日

日本感染症学会東日本地方会

10/26と10/27は新宿で日本感染症学会東日本地方会があります.呼吸器疾患は細菌性肺炎をはじめ,感染症による疾患が非常に多いため,こういった学会に参加して新しい感染症関連の知識を取得していくことも大切ですね.

2006年10月25日水曜日

呼吸器カンファンス

呼吸器疾患は呼吸器内科医だけでは診療困難です。特に肺癌などの悪性腫瘍などでは呼吸器外科、病理部の先生の協力がとても大切です。このためさいたま赤十字病院呼吸器グループでは週一回火曜日に、呼吸器内科・呼吸器外科・病理部のDr.が全員集まって、症例検討会(カンファレンス)を行っております。先日も肺癌を疑い、気管支内視鏡検査で診断が困難であった症例で手術療法施行。術後病理診断で結核であったことがわかりました。こういった情報を共有することで自分たちの診療レベルのUPを図っていくことが大切ですね。

2006年10月23日月曜日

呼吸器内科のお仕事

さいたま赤十字病院呼吸器内科は、呼吸器内科医4人で、外来診療と病棟診療に従事しております。しかし、人間1人ではなにもできないのと同様に呼吸器内科医だけで対応できる患者様は限られております。例えば肺癌患者様で手術療法が必要な場合は、呼吸器外科のDr.にコンサルテーションし手術を行っていただきます。また、重症~超重症肺炎などの場合は救急医学科Dr.に依頼し集中治療室(ICU)で治療していただいたりします。なにごとも協力が大事ですね。

2006年10月21日土曜日

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ開設!!

2006年10月21日.本日よりさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ開設いたします.

現在の当科スタッフ
   部長1人,副部長2人,医師1人
の体制で診療に従事しております.
また必要時には呼吸器外科常勤Dr2人にも適宜協力いただいております.
今後,ブログで多くの方と情報交換できればよいと思います.

また当科では一緒に呼吸器疾患の診療に従事してくれるレジデントの先生を募集いたしております.
現在初期研修中や,初期研修終了後で呼吸器専門医目指して勉強したいというヤル気のある先生からの
応募をお待ちいたしております.希望者は下記メールアドレスまでご連絡ください!

          srcrespiro@gmail.com

当科研修で得られる資格は?
  ・日本呼吸器学会:呼吸器内科専門医(当然)
  ・日本呼吸器内視鏡学会:呼吸器内視鏡専門医
  ・日本内科学会:認定内科医,内科専門医
  ・日本感染症学会:感染症専門医(現在認定施設として申請中)
などがあります.