2009年7月31日金曜日

アンケート結果発表

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様

本日でアンケート締め切りました。

アンケートテーマ「このブログで取り上げてほしいテーマは?」

 ・呼吸器疾患の解説 5 (20%)
 ・ 医療問題 10 (41%)
 ・社会問題 6 (25%)
 ・肺癌 5 (20%)
 ・感染症 4 (16%)
 ・喘息・アレルギー 3 (12%)
 ・ 間質性肺炎 2 (8%)
 ・その他いろいろ... 10 (41%)

でした。もう少し、各疾患群の選択肢が人気かと思いましたが、1番人気は
「医療問題」「その他いろいろ」でした。
まあ、もともと本ブログは「呼吸器内科ブログ」と表題はついているものの、いろいろな内容にするつもりでおりましたので、これからもアンケート結果を重視して、いろいろな内容で書かせていただきます。

次回アンケートも皆様ご協力ください。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは、読者の皆様あって成り立つブログです。

今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。

                               さいたま赤十字病院呼吸器内科一同

2009年7月30日木曜日

大雨

今日の朝は晴れていましたが、午後になりさいたま赤十字病院界隈は突然の大雨になりました。

行ったことは有りませんが熱帯地方のスコールとかってこんな感じなのでしょうか?

小学校時代に日本は亜寒帯?と習ったような気がしますが、地球温暖化でもうすでに熱帯地方のような気がしてます。

気候変動が激しいと慢性呼吸不全の方々は大変だと思いますが、ゆっくりと無理しないで過ごして下さい

2009年7月29日水曜日

性の保健室 渋谷の若者を救えるか!?

性感染症のハイリスクグループの人々はどのような人か?

正解は「性的活動の活発な人々」です。でも、このようなグループの人々は、一見「健康」な「若者」が多いため、自分の体のことはおそらくあまり心配していないのかもしれません。

と書きつつ、実は「心配」しているのだけれども、「諸般の事情」で心配していない振りをしていたり、もしくは心配していても「お金が無い」とか「健康保険証がない」とかで、医療機関にかかることすらできずにいる人が多いのかもしれません。

まあ、日本の社会ではこれまであまり触れられてこなかった世界の問題かもしれませんが、事実として、「性感染症」が日本の社会に確実に広がっていることが挙げられます。

そのような中で下記ニュースを拝見しました(YOMIURI ONLINEより)


渋谷に「性の保健室」、感染症検査や悩み相談


「性感染症や望まない妊娠の不安など性に関する悩みを抱える10代の相談に応じ、性感染症検査も行う「ティーンズルーム」が、東京・渋谷の繁華街にオープンした。主催する市民団体は「『街の保健室』として気軽に利用して」と呼びかけている。」(引用です)

非常に画期的なよい取り組みと思う反面、少し残念なのは「お金がかかること」かと思います。

医療行為は当然「コスト」がかかりますから、記載されている金額はとても「リーズナブル」なものかと思います。医療従事者からしてみれば「こんなに安くして大丈夫」という発想でしょう。

ただ対象となる人々は、おそらく「お金が無い」人々も少なくは無いのではないかと思います。
しかも、いろいろと考えた上で、市中の「病院・診療所」ではなく、こういった場所を選んで、相談・検査を受けるわけですから、できれば「無料」で行えたらいいのではないかと思います。

この取り組みをされている人々はすばらしいと思いますので、どこかの企業の方々、スポンサーになって挙げられませんでしょうか?非常にすばらしい社会貢献になるかと思いますが、皆様いかがでしょうか?

もしくは、東京都など、公的機関がスポンサーになってもいいかと思います。
こういうところに「税金」をかけることが、若者社会を救うことにつながり、もしかしたら社会を変えていく力になるかもしれません(ちょっと大袈裟か。。。)

少し感染症の話題になりますが、実は「性感染症」の原因として非常に多い「淋菌」はすでに抗菌剤が効かない(効きにくい)時代になっております。
「淋病」の治療法法がなくなるかも。。。という心配がもう目の前に来ている時代です。

「臨床分離淋菌の薬剤耐性化が著しいことと関係があるように考えられている。わが国で最も淋菌治療に賞用されていた新キノロン系抗菌剤のみでならず、新セフェム系抗菌剤に対してさえも薬剤耐性菌が増えつつある。」
(性の健康医学財団のWEB SITEより)

「性感染症」というと「エイズ」ばかりがクローズアップされてきましたが、「淋病」のほかにも、「梅毒」「B型肝炎」「クラミジア」などなどいろいろとあります(詳細は上記WEB SITE御参照ください)。この中には「ワクチン」で予防できる疾患もあったりまします。

さりげなく書きましたが、いろいろとマスコミの話題に昇ることも多い「B型肝炎」も「性感染症」としての側面をもつ感染症のひとつです。
「性感染症としてのB型肝炎」肝炎.NET(下記WEB SITE御参照ください)

B型肝炎は、一般の方々には以外と知られていないのですが「ワクチン」で予防できる疾患のひとつです。WHOは「B型肝炎ワクチン」の接種対象者を「すべての人」としております。
「すべての人」とは、医療従事者はもちろんですが、それこそ「性感染症」のハイリスクグループの人々も当然対象となっているのです。しかし、日本は「ワクチン後進国」のため、医療従事者以外の一般の方々はB型肝炎ワクチンの存在すら知らない人々は多いのではないでしょうか?

そもそも、B型肝炎の治療に莫大なお金をかけるんだったら、新たな「患者」となる人々を増やさないようにするための「B型肝炎ワクチン接種」を無料で行うような気の利いたことを「国」の責任でしてもいいのではないか?と思いますが皆様いかがでしょうか?

もし間違ったこと書いていましたら、ご意見・訂正など「コメント」欄にお願いいたします。

朝、起きて仕事の準備をしてから通勤ラッシュの電車に乗り込み大宮駅迄来ています。

大宮駅からさいたま赤十字病院迄は約10分間の散歩ですが、毎日同じ景色の中を皆淡々と歩いているように見えます。

まあそんな中でも毎日空の景色は違っていて、しかもひとつとして同じ景色は無いのかな?と思える程です。

世の中暗い話題ばかりな感じですがタマには空を見上げて気分転換もいかがですか?

2009年7月28日火曜日

さいたま赤十字病院呼吸器内科病棟から、虹がみえました。


綺麗なので、呼吸器内科の先生が写真を撮ってくれましたので画像UPさせていただきます。


さいたま赤十字病院呼吸器内科病棟から、虹がみえました。


綺麗なので、写真を撮りました。
画像をUPさせていただきます。
右端がさいたま赤十字病院の病棟の一部です。
歴史を感じさせる建物です。。。赤十字マークが一応あります。

2009年7月27日月曜日

イイタイコトを伝える方法

いろいろと人生長く生きていると、世の中のあらゆる事柄に対して物申す気持が出てくるものです。

特に自分の身近な出来事に対しては、ブログ読者の皆様もイイタイコトがいろいろと有るのでは無いでしょうか?

ブログ作者が、医師に成り立ての頃は、インターネット普及期間で、インターネットのまだまだ少ない情報を探すのに苦労するような時代でした。ですから自分から、ネットを利用して情報発信しようなんて夢にも思いませんでしたが、世の中あっという間に変わりましたね。

それほど難しくなく、ブログなどを通じて自分たちのイイタイコトを世の中に伝えたり、逆に意見を聴いたり出来る便利な時代になりました。

ブログ読者の皆様も、GoogleBloggerなど利用して自分の意見を世の中に発信してみてはいかがですか?

2009年7月25日土曜日

アンケート締め切り間近

いつもさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログをご覧いただきまして大変ありがとうございます。

ブログ読者の皆様、本ブログの左側は便利なガジェットが多数並んで居ますが、真ん中あたりにアンケートのガジェットが密かにあります。
これまでに21人の読者の皆様に本ブログで取り上げて欲しいテーマにつき回答をいただいております。

あと少しの期間でアンケート終了となりますので、皆様ご協力をお願いします。
アンケートは複数選択肢を選べるようになっておりますので皆様のご希望でいくらでも選んでいただいてOKです。

ブログアンケート結果を参考にして、更に皆様にお越し頂けるようなブログに成るよう工夫していこうと思います。

これからも末永くお付き合いの程よろしくお願いします。

感染症診療の原則 byDr.青木

結局、時間的な問題があり、事前に申し込んでおいた、「中野新橋」駅から歩いていく、傍ファイザーの営業所で「若手医師セミナー2009」を聴講いたしました。


TOPページでわざわざさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの記事へのリンクも張って頂きまして大変恐縮いたしております。ありがとうございました。

さて本題ですが、青木眞先生の「感染症診療の原則」の講義は、1回聞いただけではおそらく「よくわからない」と思います。

事前知識なしで、一度聞いただけで「オレはわかった!!」というヒトがいたら、ものすごく「偉大な人」か、もしくは「微妙な人」かもしれません。

ブログ作者は、「感染症診療の原則」のお話を聴講する前に

・「抗菌薬ガイドライン」青木眞著、三輪書店(売り切れそう?)

・「レジデントのための感染症診療マニュアル第一版」(もうそろそろ売り切れ?)

を読んでいました。
青木先生の教科書といえば、最近は「レジデント~第2版」なのでしょうが、あまりに膨大なため、初期研修医が初めて読むにはちょっとツラスギます。

ブログ作成時点ではまだジュンク堂には1冊あるようですが(2009年7月25日午前0時20分時点)
上記の「抗菌薬ガイドライン」はとても「薄い」のに、内容の「濃い」とても通読しやすい教科書です。

初版が1996年2月発行とのことですので、ブログ作者が医師となるはるか?前に出版された教科書ですが、いまだに私の本を研修医の皆様にお貸しして読んでいただいております。(最近病棟に見かけなくなりましたが、どなたかお持ちでしたらひっそりと病棟の書棚にお返しください)

この「抗菌薬ガイドライン」の冒頭部分には、「感染症診療の原則」のイイタイコトのエッセンスが凝縮されているかと思います。全部で127ページですが、おそらく多くの読者が1週間以内で通読できてしまうかと思います。ちょっと内容的に古くなっている点もあるかもしれませんが、まだまだこの内容で結構イケルとブログ作者は思っております。なにより「通読できた!!」という達成感はいいものです。

10回以上「感染症診療の原則」を聴講していると、いろいろと考えながら聞くことができるようになります(なったきがしております)。
本日は青木先生のClinical pearls=「格言」を重点をおいて聴講いたしました。

本ブログで「格言」を羅列するのは、青木先生から「著作権侵害」と言われても困りますので、ひとつだけご紹介させていただきます。

「感染症診療の力は培養が「陽性」の時よりも「陰性」のときに現れる」by Dr.青木

培養で「生えてきた」ものをターゲットに抗菌剤を選んで、治療方針を建てるのは、まあ教科書をみればある程度トレーニングを積んでいればできるかもしれません。
しかし、自分が自身をもって「肺炎」と診断し、初期治療を開始した後に、「培養陰性」となった場合、どうやってその後の治療方針、抗菌剤の選択、治療期間の決定を行っていくのでしょうか?

一番頻度の多い「肺炎球菌」の肺炎だったのか?「肺炎球菌尿中抗原」でさえ100%は信用なりません。(発病当初は偽陰性となること、また、肺炎球菌感染症後約3ヶ月程度は偽陽性となる可能性のあること)。当初の「肺炎」という診断すらはたして正しかったのか?(他の病態で胸部画像上『浸潤影』を来たす疾患は山ほどあります)。

培養「陰性」の感染症診療はなかなかヤッカイであることがご理解いただけるかと思います。

まあ、こうしたことも日ごろから「自分で考える」トレーニングを積んでこそわかってくる問題かと思います。

初期研修中にしっかりとした「自分の考え方」を身につけるためには、やはり「自分の意見」をしっかりもって、指導医にいろいろと「意見を言ってみる」ことをしていくとよろしいかと思います。
「自分の意見・:考え方」をもって診療していれば「地引網診療」にはならないような気がしております。

私のような「指導医」はその場で全部答えが出るわけではありませんが、一緒に問題解決を図ることで、指導医のレベルアップにもつながっていくのではないかと思います。

ファイザー(株)の皆様の多大なるご支援があって開催されている「若手医師セミナー」

せっかくなので、皆様参加されては如何でしょうか?

2009年7月23日木曜日

明日は勉強日和

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログをご覧の皆様

明日、7月24日金曜日は、夕立から勉強会が2つあります。
ひとつは初期研修中の医師や指導医むけの若手医師セミナーです。
今回は青木真先生自らの講義で、感染症診療の原則の基礎のお話で、臨床医を目指す全ての医師が身につけるべきお話だと思います。ブログ作者は青木先生の感染症診療の原則講義を過去10回以上聴かせていただいておりますが、そのたびに新たな発見があり,自分の役に立っております。おそらく本ブログの読者の中にも聴講された人がいるかと思いますが明日再び聴いてみるとまた違う発見があるのでは無いでしょうか?

もうひとつは、日本橋の田辺三菱製薬のビルで毎月密かに開催されている呼吸器臨床懇話会です。
今回から6ヶ月の間、さいたま赤十字病院呼吸器内科の松島先生が司会の大役を果たしてくださいます。
呼吸器専門医を目指す先生方は是非ご出席いただいて、多数の意見、質問で勉強会を盛り上げてくださいね!

ブログ作者は、未だにどちらに参加するか迷っておりますが、こんな贅沢な悩みはなかなか有りませんね!

2009年7月22日水曜日

さいたま赤十字病院呼吸器内科レジデント募集中

さいたま赤十字病院呼吸器内科では、引き続き呼吸器専門医を目指して勉強するレジデントの医師を募集中です。

来年度のさいたま赤十字病院呼吸器内科レジデントの締め切りは秋頃と思われます。病院全体のレジデント募集と連動してますのでご了承ください。

レジデント募集の詳細については過去のブログ記事をご参照ください。

なお、病院の公式ホームページでは呼吸器内科レジデント募集してないように見えますが、しっかり募集してますのでよろしくお願いします。

さいたま赤十字病院呼吸器内科レジデントに応募される先生は先に病院出はなく、呼吸器内科スタッフに連絡をお願いします。

事前に呼吸器内科部長と面談していただいてから正式にご応募ください。

皆様のご応募お待ちしております。

2009年7月21日火曜日

夏休み

世間はいつの間にか夏休みモードになっておりますが皆様はいかがですか?
さいたま赤十字病院呼吸器内科も交代で夏休みをとっております。

学生の頃のような自由な時間があるわけでは有りませんが、日常の仕事世界から一歩離れて過ごして見るのもやはり良いものです。

病院勤務医をしていると必ず入院されている患者の担当をしており、長期の休みを取るのがためらわれることも有りますが、幸いさいたま赤十字病院呼吸器内科は7人のスタッフに恵まれているため休むことができます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は休みを利用して8月20日のさいたま感染症勉強会のプレゼンテーションの内容を練ろうかと考えております。

いろいろな事をゆっくり過ごしながら考えるのもまた有意義な時間の過ごし方のひとつと思っております。

2009年7月20日月曜日

ケータイからのブログ投稿テスト終了

ケータイ電話は、カメラ機能がついているので、写真を撮って、すぐにBloggerにメールを送ることで「さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ」にすぐに公開することができました。(写真の向きはきをつけないといけませんが。。。)

これからは、いろいろな「現場」で「写真」を撮って、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログに公開していこうと思います。

「写真」の公開については、対象が「ヒト」であれば、写っている人に公開について同意をいただかなければいけないし、「個人情報」が絡んだようなものの場合には、特に注意が必要かと思います。

本ブログは「文字ばっかり」というご評価もあるかと思いますが、これからは「写真」も少しづつ取り入れて行き、読者の皆様に末永くお付き合いいただけるようにして行きたいと思います。

これからも「さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ」をよろしくお願いいたします。

ケータイからもブログ投稿出来るようになりました

ブログ作者はまだまだGoogleBloggerを使いこなしてはいません。本日試しに携帯電話からの投稿をチャレンジしました

自分の意見をしっかりと持つこと

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの読者の皆様はいろいろな、職業、立場のヒトがいらっしゃるかと思いますが、ブログの性質上、何らかの形で「医療」に関連したヒトが多いのではないかと推測しております。

例えば、「患者」だったり、「医師」だったり、「看護師」だったり、「病院事務職員」だったり、「さいたま赤十字病院を暖かく見守る地域住民の方」だったりするかもしれません。
(本ブログはインターネットを介して世界中の人々が読者となれるようにはなっていますが、残念ながら作者の勉強不足で「日本語」でしか作成していないため、読者は日本語が読める人に限定されてしまっているかもしれませんが。)

ブログ作者は、ほとんど「医師」という仕事しかしたことがありません。そのため「ものの見方」を「医師」という非常に限られた立場からしか見ることができていないことを残念に思っています。
ただ、限られた「ものの見方」しかできてはいないかも知れませんが、いろいろな事柄について自分の「アタマ」を使って、なんとか自分なりの「意見」は持つようにすることを心がけております。

ブログ読者の皆様は自分の意見や考え方をしっかりと持っているでしょうか?

対象は何でもいいですが、自分の意見を持つということは結構高度な知的作業が必要な事柄ではないかと思っております。どこかで見聞きしたことをそのまま言うことはたやすいかもしれません。しかし、ある事柄について「自分の意見を持つ」ためには、多少なりとも自分の「アタマ」を使った「思考」という知的作業の過程が必要となります。

立場上、「研修医」の先生方の「指導」(実際にはそれほどエラそうなことはできていませんが)をさせていただいていると、自分の意見をしっかりと持っている「研修医」の先生は、後日非常に実のある研修を送って立派な医師となっているような気がしております。

「研修医」という立場は、病院のなかでは非常に微妙な存在です。

一人前とは扱われずに、でも「医師免許」は持っていて「患者」となる人々を診療する立場。なかなかやりにくいところもあるかと思います。「患者」となる方々の治療方針についても、自分では勝手に決めてはいけないといわれ、それでも診療を継続しなくてはならないというのは非常にストレスのたまる状況ではないかと推測できます。

でも、自分一人では、全部の決定事項を決められなくても、少なくとも「指導医」に対して、自分なりの「意見」を言うことはできるはずです。あくまでも「自分の意見」があればの話ですが。

初期研修期間であまり成長されていないなあ。。。と思う人々は、「自分の意見」を全く言わず、指導医の言いなりになっている人に多いような気がしております。指導医の言うとおりにしておけば、「指導医ウケ」もよくなり、要領のいい研修医として重宝されることでしょう。しかし、自分の「アタマ」を使って考えることをしないとそのツケは、自分が指導する立場になったときに如実に現れてくることでしょう。

そもそも「指導医の言っていること」が必ずしも正しくないのは、多くの医師・研修医の皆様も良くわかっていることではないでしょうか?全部が全部正しいことを言えるヒトっているんでしょうか?

ブログ作者は、研修医の先生方に「自分はいつも正しいことを言っているとは限らないよ!」ということを最初に必ず言うようにしております。なので、ブログ作者の言っていることが本当に正しいのか、あとで必ず「教科書」などを読んで勉強するようにと常日頃、研修医の皆様にお話いたしております。
(ちなみに本ブログで書かせていただいている内容も必ずしも正しいことばかりではないと思っていますので、「そこは違うんじゃない?」と思われましたらコメント欄にどうぞ)

どのような「有名」な医師の指導でもゼッタイに正しいということは無いというのが、ブログ作者の意見です。緊急事態の時には、その場では「指導医」の言うことにとりあえず従って医療行為を行うしかありませんが、必ずあとで「本当に正しい医療行為だったのか?」という「疑いの眼」を持って、教科書や文献を当たることを心がけてほしいと思います。

そういう「疑いの眼」を養っていくことが、「偉大な発見」につながっていくのではないでしょうか?

「医学」は「科学」の一分野であると、ブログ作者は思っております。「科学」は今、現在「正しい」という事柄も「未来」には簡単に覆されてしまうものであるのも歴史が物語っています。

自分の意見が本当に「正しい」のか?常に「疑いの眼」を持って考えていくことが大切ではないかと思います。

現在研修中の先生方は「自分の意見」をしっかりと聞いてもらえる環境で研修されていますか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科での研修は「自分の意見」を自由に言える環境であることを保証いたします。(ただし他人を害したりしない限りは)。

「自分の意見」を自由に言える環境であることの「証明」としてさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログが存在できているのではないかと自負いたしております。

呼吸器内科を目指す、初期研修中の先生方、是非さいたま赤十字病院呼吸器内科を見に来てください。

2009年7月19日日曜日

日本内科学会 認定内科医資格試験

本日2009年7月18日(日曜日)は日本内科学会が行っている「認定内科医」の資格試験の受験日です。

「認定内科医」とは?
ブログ作者の理解では、日本の内科臨床の基本的な能力の確認のための資格試験と思っております。

日本の内科系各学会のいわゆる「専門医」制度は、この「認定内科医」の資格がないと取得できないシステムとなっております。

ただ、あくまでも「学会」が認定している資格ですので、資格がないとその道の医療行為ができないというものではありません。

日本では、ずーっと「外科」や「整形外科」の仕事をしていた人が、開業医となって、「内科」を標榜しても、法律的には何の問題もないことになっております。

ただ、「内科」というのは、非常に大切な病気の「診断」を担う重要な診療科ですので、数年でマスターできるような代物ではございません。

ブログ作者の感覚では、内科の勉強を10年程度行ってようやく一人前になれるのではないかと思っております。

この厳しい『プロ内科医』への道の第一歩が内科認定医試験となります。

ブログ作者もだいぶ昔に受験いたしましたが、どのような試験も、受験してみるとなかなか難しく感じるものかと思います。

内科認定医試験受けた皆様お疲れ様でした。

こんなに増やしてどうするの?医学部入学定員過去最多8855人に

ブログ作者は以前にも書きましたが、医師不足というのはちょっと違うと思っております。

「そんなこと言うな!!うちの病院は「医師」足りないぞ!!」とか

うちの地域には「医師」がいないので困っているから「医師増やしてくれ!!」

と思っているヒトは多いのかもしれませんが、それでも「医師不足」とは思っておりません。

ではどうして「医師不足」のように見えているのでしょうか?

医師不足なんてあまり言われていなかった、10年~20年前のほうが確実に「医師数」は少なかったはずです。
その当時から比べればかなりの医師数増加が果たされているのに何ゆえ「医師不足」なのでしょう?

それはおそらく「医師の仕事量が増えたから」かと思います。

もう少しわかりやすく言うと「医師一人が見れる患者数が減少したから」かと思います。

「病状説明」や「同意書」、「診断書」などの山に埋もれた病院生活を送っている医師も多いかと思います。また、介護保険の主治医意見書や特定疾患の書類など公的な書類もどんどんと増加の一途をたどっております。

それだけでなく、「安全な医療」の実現のために、同じ医療行為にかかる時間が、ブログ作者の感覚的には3倍くらいに増えた感じがしております。

医師の数は増えてるのに、それ以上に医師の仕事量を増やすもんだから足りないように感じているだけではないかと思います。なので、根本的には「医師の仕事を減らすこと」をしない限り、「医師不足」は解決しないとブログ作者は考えております。

そんななかでの「医学部定員増」です。


「医学部の入学定員、8855人の計画…文科省」YOMIURI WEB SITEより

「医師不足に対応するため今後10年間、増員を続ける方針。卒後も一定期間は地域にとどまる条件を課すなどして医師偏在の解消を目指す。」

地域偏在の解消で医師不足解消を目指すとのことですが、ブログ作者は「医師偏在解消」では医師不足問題の解決は無いと思っております。

まあ、決まったことなので医学部入学定員をどんどん増やしていくのかと思いますが、この医学部定員増世代の医師が一人前となる時代には相当な医師あまりになっていそうでカワイソウです。

一人前の医師になるには、卒業後およそ10年くらいかかるかと思います。
来年入学して、6年間でやっと卒業。それから10年とすると、一人前になるのは16年後です。

16年後2025年には、日本の人口はかなり減少しているのではないでしょうか?
人口が減って、医師が増える。。。どうやっても「仕事がない!!」となるヒトが多数出るような気がしてなりません。

上記のような事態にならないといいのですが。。。なにぶん「未来」のことなのでだれも予測がつきません。
だって「偉いヒト」が過去にみんなで知恵を出し合って考えた「未来」が「今」なのでしょうから。

この「今」の現状も実は「偉いひとたち」の「想定の範囲内」だったのではないのかと。。。

2009年7月16日木曜日

特発性肺線維症治療薬 「ピレスパ」

本日は、「特発性肺線維症の診断と治療」について、神奈川県立循環器呼吸器病センターの小倉高志先生のWEBでの御講演を拝聴いたしました。

インターネットの普及と発達によって、さいたま赤十字病院内の一室で、このような講義がリアルタイムで聴講できる時代になりました。よのなか便利になったものです。

特発性肺線維症というのは、なかなかヤッカイな病気で、呼吸器内科医も頭を悩ますことの多い非常に難治性の病気です。しっかりとした治療方法が確立していないため、何をやってもどんどん進行していって、ビックリするくらいに早くにお亡くなりになる方もいます。

本当にビックリするぐらい早い進行の場合もあり、病院に来て数日~1週間程度で永眠される方もいて、なんともつらい病気だったりもします。

まず「特発性」とはなにか?原因が不明もしくははっきりしない病態のアタマに「特発性」とつけることが多いです。なので、「特発性肺線維症」とは「原因がはっきりしない肺が線維化してしまう病気」となります。

症状としては、「労作時の息切れ」、「空咳」などでしょうか?かなり進行するまで自覚症状は無かったりしますので、発見される機会は「胸部レントゲン検診」だったりします。
さいたま赤十字病院でも、呼吸器内科に紹介される「特発性肺線維症」の方は、おおくは、他の病気でかかってたまたま胸部レントゲンやCTで指摘されたり、息苦しくて近くの医院・病院にかかって「レントゲン異常」を言われたりする人がほとんどかと思います。
稀に呼吸苦で救急車で来院されますが、極稀です。

この特発性肺線維症の治療方法はこれまで、「ステロイド」±「免疫抑制剤」という治療法方しかありませんでした。しかも、なんと「免疫抑制剤」は「健康保険の適応なし」という恐ろしい状況です(現在もそうか思いますが、最新情報をご存知の方はコメント欄にお願いいたします)。
しかも、治療をしても、残念ながら長生きは望めないときていますからなかなかシビアな病気です。

もっとシビアなのはこういった病気を、世間一般の人々が「知らないこと」です。
「特発性肺線維症」はまたの名を「特発性間質性肺炎」とも呼ばれます(厳密な意味では違うかも知れませんが)。
そうなると特発性間質性「肺炎」の「肺炎」の部分だけ聞きなれた言葉ですので、「肺炎」なら「抗生物質」でなおるじゃん!!といわれてしまいますが、ことはそう簡単ではありません。
特発性肺線維症=特発性間質性肺炎には抗生物質は全く「無効」です。

ステロイド±免疫抑制剤でも、使わないよりマシな程度かもしれません。いずれにしてもなかなか治癒は望めない病気であることを知っていただきたいともいます。

この治癒がなかなか望めない病気に、あらたな治療選択枝として「ピレスパ」が登場いたしました。

本日の小倉先生の御講演で「ピレスバ」の治療ポイントとしてお話されていたのは、

                  ・軽症・中等症の患者:めやすは%VCが70%以上

                  ・胸部CT(HRCT)でスリガラス陰影の比較的多いこと

                  ・副作用の胃腸障害・食欲不振や光線過敏症に耐えうるヒト

                  ・長期に継続可能な方に

とのことでした。(実際には10のポイントとしてお話されていたものを抜粋してます)

さいたま赤十字病院ではまだまだ「ピレスパ」の処方件数は少ないですが、「どんどん処方します」というスタンスではなく、呼吸器内科スタッフ皆で慎重に検討して、この人には「ピレスパ」が良いかもという方にのみおすすめしていこうかと思っております。

2009年7月14日火曜日

研修病院選びのコツは?さいたまって実際どうなの?

学生の皆様はもうそろそろ夏休みの時期でしょうか?

さいたま赤十字病院にも、いろいろな見学の方が来院されております。

つい先日も、北海道傍大学医学部の学生の方が、見学にいらっしゃっていました。

気管支内視鏡検査をブログ作者が行っているのを見学していただきました。

病院見学のいいところは、実際に初期研修や後期研修中の医師に、「実際のところどうなの?」と本音を聞けるところだったりします。

ブログ作者の考える研修病院選び・見学の「ポイント」は?
        
       ①自分の病院の「良いところ」ばかり話をする医師にダマサレナイコト。

       ②実際に研修している医師の「眼」を見て、「死んだ眼をしていないか?」見てみること

       ③募集要項にはいろいろと良い点が羅列してある(と思う)が、書かれていることが本当かど         うかじろじろ見て回ること(研修医からさりげなく聞く:給料とか、休日とか。。。)

       ④できれば、同じ病院を見学した他の見学者に意見を聞いてみること
 
       ⑤病院ばかりではなく、実際にその地域に住んでみても大丈夫かどうか?
         病院のある「街」を好きになれるか?←これかなり大事!!
 
       ⑥交通の便利なところかどうか?(東京まであまりに遠いと勉強会や学会にいくのも一苦労)

       ⑦同期の研修医がなるべく沢山いること

研修医のうちは、「遠い離れ小島」や「自然にあふれる環境」で勉強しよう!!という志は立派です。
でも「研修医」といっても一人の人間ですから「人間らしい生活」ができないようでは研修に身が入らないと思うのはブログ作者だけでしょうか?

医師は一生勉強です。イヤでもそうです。それならば、長続きする方法がいいに決まっております。

「私は自分の人生すべてを医療にささげます!!」というようなヒトなら、多少不便な環境で勉強されても「我慢」できるのでしょう。ブログ作者は「そんなのムリ」です。

長い人生の中では、いろいろな楽しいこと、つらいこと、悲喜交々です。
「恋愛」「結婚」「妊娠・出産」「子育て」「親の病気・介護」人生いろいろです。その時々で自分の置かれている状況でイヤでも全て「対応」していかなくてはなりません。「私は勉強中だからそんな問題関係ない」とは言えないのです。なかなか大変なことですが生きているとはそういうことです。

あせって「早く一人前にならないと」とか考えるよりもじっくり取り組んだほうが良い結果が得られるきがしております。

初期研修は非常に大変な時期かと思います。ブログ作者もいろいろと苦労をいたしました。
そんな中で、同期の研修医に恵まれると、こころの支えにもなりました。
また、休日に街にぶらっと散歩にでかけるのも気分転換にとても良かったです。

さいたま赤十字病院の欠点は、同期の研修医が少し少な目かと思います。また、大学病院や有名研修病院と比べるとまだまだ研修システムの確立ができていないところがあると思います。給料も近隣の病院と比べてそれほど高くないと思います。
それとなにより、建物が「古い」です。これは今のところどうしようもない事実かと思います。

研修指導スタッフについてはご自分の「眼」でじっくり観察してください。

ブログ作者が気に入っているのは、「さいたま市の立地」です。

実は、東京からそれほど遠くなく、新宿副都心にでるのも東京都心部にでるのも大宮駅から電車で約30分程度です。

「車」なら、首都高速のインターチェンジ(新都心西インター)から約2-3分程度で、車でも東京都心部から30分程度でこられます。なかなかの便利な立地です。

そのため、午前中病棟や外来やって、「ちょっと学会行ってくるね」と午後から東京方面に勉強しにいくヒトも多数います。

医師になるとわかりますが、勉強会は平日の「夜」に行われることがとても多いです。
そういう時も、交通便利な立地がとても役に立ちます。

あとは、東京の大都会と違って、少しあるけば公園があったり、大宮駅やさいたま新都心駅周辺には、いろいろな使えるお店もあります。コンパクトにまとまっていて非常に便利と思います。

私も初めて大宮に来るまではこんなに便利な住みやすい町とは思っていませんでした。
(日本中どこでも、すんでみれば良いところが見えてくるものかもしれませんが)

いろいろと迷っている学生の方、初期研修中の先生などいたら、一度さいたま赤十字病院に見学にいらしてください。
大宮という素敵な街を見るだけでも人生の役に立つと思いますよ。 

2009年7月12日日曜日

「患者さま」撲滅運動に賛同いたします

先日ご紹介させていただいた「偽善の医療」(里見清一 著)ですが、すぐに手に入れて読ませていただきました。

おそらく、多くの医療従事者が本音では思っていることで、なかなか「言葉」に出して言うことができないでいたことを「ズケズケ」と書いてくれていて非常に興味深く読ませていただきました。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは、とくに対象者を限定したブログではございません。

読者の皆様には「医師」「看護師」「薬剤師」「研修医」などの医療従事者もいれば、「一般市民の皆様」や「さいたま赤十字病院呼吸器内科のかかりつけの皆様」などいろいろな方がいらっしゃいます(と思っております)。

そのため、時には「研修医向け」に勉強会で得た知識を自分なりに解説したり、また「患者」となる人々むけに疾患・病態の簡単な解説をしたり、「一般の人々」向けに、現在の医療問題についてブログ作者の意見を書かせていただいたりしております。

当然のことながら「さいたま赤十字病院呼吸器内科」のスタッフは7人いるため、各々がいろいろな人生を歩んできており、ブログ筆者の意見と必ずしも同じではないことはご理解いただきたいと思います。

と前置きしておいてですが、この「偽善の医療」の第1章の「患者様撲滅運動」にブログ筆者は賛同させていただきます。(と書いてますが、これまでの過去のブログでは、患者「様」と記載させていただいてますし、他のスタッフはそれほど「様」づけで呼んでいませんでしたが、ブログ筆者はいつも「様」づけで読んでいました)

どうして「患者様撲滅運動」に賛同するのか?

やはり、「医療はサービス業ではない!!」とうことが挙げられます。もっと言うと「サービス業に成り下がってはゼッタイにいけない!!」のです。

こういうことを書くと「医療はサービス業なのでは?」という反論が聞かれそうですが、この点についてはさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでも以前触れております。

患者「様」と呼ぶ背景には何があるのか?おそらくそのウラには「お金」が隠れているのではないかと思います。(著者も指摘されておりますが)。そのため、「美容整形」「自費診療」の医院はおそらく「患者様」ということは正しいのではないかと思います。
要は「お金を払ってくれる『患者様』」です。

「医師」が自分の技術を、高いお金を払って買っていただける「お客様」=「患者様」にだけに提供していいのでしょうか?

多くの人々がこの意見に、おそらく”NO”ではないでしょうか?

この点に、医療が根本的に「サービス業」になれない理由があるのではないかと思います。
もしアメリカのように「医療」が「サービス業」となれば、当然「サービス業」を提供する医師は、より高い「お金」を払ってくれるヒトを対象に「商売」するようになるでしょう。(事実アメリカはそのような部分もあるようです)

「サービス業」の世界では、より「高いお金」を出していただける「お客様」により良い「サービス」を行うことで「利益」を出している業界です。高級ホテルでも、高級車の販売店でも、高級レストランでも同様なのでしょう(ブログ筆者には縁のない世界ですが...)

今現在の日本は幸「国民皆保険」の制度の下で、お金のある無しにかかわらず、ある程度一定のレベルの医療が受けられる、世界でも稀に見る高度医療社会です。これをなんとか維持してこれたのは、日本が第二次世界大戦後に、世界でも類を見ない「高度経済成長」があったからかと思われます。

やはり「医療」と「お金」はきっても切れないものであるのもこれまた事実であると思います。

今、日本経済が世界のトップクラスから転げ落ちる(かもしれない?すでに惨敗?)状況では、この医療体制を維持していけるのか?

「金持ちが自分のお金を使って、最良の医療を受ければよく、そうでない人はそれなりの医療で」

「全ての日本国民が平等な医療を受けられるようにするべき」

それを決めるのが、しつこいようですが「衆議院議員選挙」なのではないでしょうか?

ブログ筆者はどちらの意見でもよいと思っております。

ただ、患者となる国民の皆様が自分達の多数意見で決めることですから、結果が出てからゴチャゴチャ言うのではなく、しっかりと候補者や政党を見極めて投票してください。

選挙に参加しない人は論外です。

2009年7月11日土曜日

偽善の医療 里見清一著

昨日の勉強会でご紹介いただいた本がおそらく「偽善の医療」(里見清一著)かと思います。

新潮社のWEB SITEから下記を引用します。

セカンドオピニオン、ホスピス、有名人の癌闘病記、安楽死……。はびこるウソにメスを入れる。」

上記WEB SITEで「立ち読み」といって最初の部分が読めるようになっていますが、なかなかスルドイ突っ込みの入った文章となっております。
さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者も、この文章には頭がさがりました。

このような「痛快」な文章がかけるツワモノはいったい誰でしょうか?!

さいたま赤十字病院呼吸器内科でも一冊買って皆で読むことにいたしました。

また読み終わったら感想をブログに書かせていただき対と思いますのでご期待ください。
(その前に「本」をてに入れないと...)

2009年7月10日金曜日

『Think again.』 by Dr.国頭

本日(7月10日)は、「埼玉肺癌分子標的治療Academia」という勉強会に参加いたしました。

その中で、三井記念病院 呼吸器内科の国頭英夫先生の御講演を聞くことができました。

「イレッサ」(Gefitinib)を中心に、最新の肺癌化学療法の話題と、国頭先生の見解を聞かせていただきました。

本日勉強させていただいたことは
       ①EGFR mutationのある非小細胞肺癌にイレッサは有効

       ②EGFR wild typeの非小細胞肺癌にはイレッサは無効?

       ③腺癌以外の組織型(扁平上皮癌など)でもEGFR mutationがあればイレッサ有効?

       ④「タキソテール」:ドセタキセル(DOC)はAsianに効きやすい?

       ⑤肺癌治療の真のEnd Pointは?
                   ・Overall survival
                   ・Quality of Daily life
                   ・Cost

とのことでした。とくに、最後のEnd Pointをどこにおくのか?については、国頭先生のご意見に賛成いたします。病気を「治す」ことがほとんど不可能と考えられる「非小細胞肺癌進行期(StageⅢB~Ⅳ)については、いかに”QOL"を維持した状態で「生存できるのか?」が大切かと思います。
ずーっと病院のベットに縛られた状態での「生存」がはたしてよりよい選択なのか?

また世界経済の不安定な時期であるからこそ「コスト意識」も肺癌治療にも必要なのではないかと思います。肺癌治療に無尽蔵な「コスト」をかけるのも難しいかと思います。要は有意義な「コスト」のかけ方が求められているかと思います。

肺癌治療は非常にEvidence Basedな領域で、とても洗練された診断・治療方法が確立されたとても興味深い領域であると思います。日本中どこでもある程度「標準治療」がうけらられる数少ない疾患のひとつとも思っております。こういった点は「感染症」も見習うべきではないかと思います。
(「感染症」は日本中で標準的な治療が行われているとはとても思えないような状況かと思います。)

それと同時に進行肺癌は「治らない病気」の代表選手でもあります。
肺癌に人間の「知恵」と「工夫」がどれだけ対抗できるのか?
これからも「ヒト」と「肺癌」のバトルは続いていくのではないかと思います。

2009年7月1日からヨーロッパでも「イレッサ」が正式に承認されたとのこともお聞きいたしました。

ブログ作者は、イレッサ発売後数年で「イレッサは市場から消えるかも...」と本気で思っておりました。
日本の肺癌診療・研究に携わってきた人々の尽力で生き残ってきた肺癌治療薬「イレッサ」の今後の状況を注意深く見守って行きたいと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科では「薬剤性間質性肺炎」や「皮疹」「下痢」などの副作用に十分注意しつつ、非小細胞肺癌治療の選択枝のひとつとしてこれからも「イレッサ」を使用していくことになるかと思います。

2009年7月9日木曜日

勉強のコツ

いろいろとヒトにより勉強の方法は違っているかと思いますが、皆なんとか効率よく勉強したい!!と考えているのではないでしょうか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者の「勉強」に対しての意見を以下書かせていただきます。

まず「勉強」と一言で言っても、ブログ作者は大きく2つに分けて考えるべきではないかと思います。

この大きく2つに分けることが「勉強のコツ」のひとつかもしれません。

どのように分けるのか?

一つは「必要に迫られて行う勉強」です。皆様がイメージされているいわゆる「お勉強」です。小学校、中学校、などの学校で行ってきた、「国語」「算数・数学」「英語」などはこのようなグループに入るかと思います。また、各種資格試験、国家試験の類もこのグループかとおもいます。
このようないわゆる「お勉強」「しかたなく」やっているので、自分から進んでやっているとはちょっといえないかもしれません。このような勉強は「真の勉強」とはブログ作者は思っていません。テストの点で合格さえする程度にやればよいのではないかと思います。

ではもう一つの勉強とはどのような勉強なのでしょうか?

ブログ作者は「ヒトに言われなくても自ら進んで学ぶこと」「真の勉強」

と考えております。

言うのは簡単ですが、「真の勉強」はなかなかムズカシイところもあります。
なにがムズカシイのか?それは「自分にとっての『真の勉強』対象を見付ける事」ではないかと思っております。ただ、もし自分にとっての「真の勉強」の対象を見つけられたとしたら、そのヒトにとってそれはその後の人生を有意義に過ごすための大切な「たからもの」になるではないかと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者にとっての真の「勉強」対象は何でしょうか?

私にとっての今現在の興味を持って自ら勉強したい対象は「肺癌」と「感染症」です。
仕事柄、呼吸器内科の勉強は一部「お勉強」もしなければなりませんが、「肺癌」や「感染症」の領域の教科書は参考文献は読んでいても一向に退屈しません(たまに眠くはなりますが。。。)

ブログ作者の場合は、「真の勉強」が仕事に役に立つという非常に恵まれた状況にあるのではないかと思います。

「勉強」と「お勉強」をきちんと分けることをブログ作者は、予備校時代にお世話になった講師の先生から学びました。もしかしたら予備校で学んだことで最も役に立っている事柄かもしれません。

ブログ読者の皆様にとっての「真の勉強」の対象は何でしょうか?
もしまだ見つかっていなければ、じっくりといろいろな世界を見渡してみてください。

2009年7月8日水曜日

ひそかに翻訳ガジェット追加してます

左側のガジェットがいろいろと追加・変更できるのがgoogle bloggerのスゴイところだったりします。

ブログ作者がとても役に立っているのが、「キーワードニュース」のガジェットです。

指定したキーワードに関連した最新のニュースを膨大なWEB情報の中から、選択して表示してくれます。
(ニュースのキーワードについては追加・変更が簡単にできますので読者の皆様のご要望にある程度お答えできます)

そして今回新たに「翻訳」のガジェットを追加いたしました。

WEBを回覧したりしてて、多国語を日本語にしたり、日本語を外国語に翻訳したりが簡単にできます。
簡単な文章はすぐに変換してくれますが、長めの文章や専門用語ばかりの文章ではまだまだ?な翻訳も多いですが、以前からかなりレベルアップしていると感じてある程度「使える」と判断したため今回追加させていただきました。

ブログ読者の皆様のお役に立てば幸です。

これからもさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログをよろしくお願いいたします。

埼玉県も発熱外来終了へ

さいたま市内でもいわゆる「新型インフルエンザ」の患者様が、少しずつではありますが、持続的に報告されているようです。

もうすでに「新型インフルエンザ」は「普通に市中にあるインフルエンザ」になってきているようなきがしております。そんな中で、埼玉県も発熱外来を終了するというニュースが入ってまいりました。

新型インフル 埼玉県が発熱外来終了  あすから全医療機関で診療対応へ」東京新聞WEB SITEより

ここからが、内科・呼吸器内科医の実力・真価が問われる状況です。これまでは、「新型インフルエンザは特別扱い」状態だったので、それなりの警告が発せられた状態で医療機関に受診していました。

これからは、インフルエンザだろうが、敗血症だろうが、膠原病だろうがおなじ「発熱」という症状を呈する一疾患という扱いになります。こうなると、いままで以上に「しっかりとした診療と鑑別疾患」が大切になってきます。もともと患者様の顔には「私はインフルエンザです」とは書いていませんでしたが、「もしかしたらインフルエンザ?」程度の警告は「発熱外来」というフィルターを通じて与えられてきました。

もうこれからはそういった情報抜きに、全ての患者様が一緒に病院に来院されるという状況になるわけです。

さいたま赤十字病院呼吸器内科スタッフの皆様は、日ごろからいろいろな勉強・訓練の積み重ねを行ってきていますから、「発熱外来無いと診療できません」などというスタッフはいません。
ただ受診される患者様からいただく情報は非常に参考になりますので、もし周囲でインフルエンザ様の症状があるときなどは、担当させていただく主治医や看護師にその旨ご連絡いただくと診療の参考になるかと思います。(前情報ばかりにとらわれすぎずに診療する姿勢ももちろん大事ですが)

さいたま赤十字病院呼吸器内科漢方勉強会

昨日は、杏林大学呼吸器内科のKanpo-Masterこと皿谷先生をお招きして

「漢方薬の基礎と呼吸器領域での漢方薬の使い方」をテーマに御講演いただきました。

杏林大学呼吸器内科「あんずの呼吸」

内科医(というかブログ筆者)にとって「漢方薬」は「やっかいもの」のように感じている人が多いのではないでしょうか?

私のイメージでは「漢方薬」=「副作用」のような捕らえ方で、漢方薬は副作用が厄介だから近寄らないという状態を長年続けてきました。

実際に、研修医1年目で「間質性肺炎」や「肝機能障害」の原因が「漢方薬」と推定される患者様を診療させていただいた経験がとても色濃く残っているためかもしれません。

ただ、薬剤の副作用、最近の「マスコミ」の言葉を借りて言うと「薬害」はどのような薬剤でも起こりうるものです。

抗がん剤や抗菌剤などのように「生きている細胞」を障害することで効果を発揮する薬剤は、漢方薬よりももっと副作用が多いのではないか?と最近は感じるようになってきております。

「抗菌剤」は生きている「細菌」をやっつけるための薬ですし、「抗がん剤」にいたってはもともと「自分の体の細胞が変化したもの」をやっつけるわけですから副作用があって当然です。

おそらく、医師になりたてのころの自分は「漢方薬は副作用が無い(少ない)」というイメージを持っていたのに、それを覆されたというショッキングな出来事が「漢方薬」=「副作用」みたいな印象を植え付けられてしまったのかもしれません。

それに対して「抗菌剤」は「ペニシリンショック」や「抗菌剤関連下痢症」のように、医学部教育時点から「副作用があるぞ!!」という勉強をしているし、「抗がん剤」にいたっては「副作用あってあたりまえ」のような薬剤のイメージを持っているため、実際の副作用の頻度が(漢方薬と比較して)とても多いにもかかわらず、その情報が「折り込み済み」のためにあまり問題に感じなかったのかもしれません。

皿谷先生のいろいろと教えていただいたことを活かして、さいたま赤十字病院呼吸器内科でも「漢方処方・東洋医学」分野にも勉強の手を広げていこうかと思っております。

(ただしまだまださいたま赤十字病院呼吸器内科では漢方薬の修行を開始したばかりですので患者様から「漢方で」といわれてもちょっと対応できないところがあるのはご了承ください)

これからも日々努力・勉強を重ねて言って、いろいろな診療・治療方法を会得していくことが、患者様方にさいたま赤十字病院呼吸器内科を選んでいただけるものと信じております。

2009年7月7日火曜日

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログはリンクフリーです

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様。

日頃から、本ブログを拝見していただきまして大変ありがとうございます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは読者の皆様に支えられて日々更新を重ねさせていただいております。これからも末長くご愛読のほどよろしくお願いいたします。

                  さいたま赤十字病院呼吸器内科 ブログ製作者

なお、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログはリンクフリーです。

どんどんリンク貼っていただいてかまいませんが、メールやコメント欄にリンク貼っていただいた旨を記載・メールいただけましたら幸いです。

また相互リンクも大歓迎ですのでよろしくお願いいたします。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの記載内容についてのお問い合わせはコメント欄にご記入ください。コメント欄記載内容はブログ管理人が必ずチェックさせていただいております。

コメント欄に反映させるかどうかはブログ管理人にご一任いただきますようお願いいたします。

2009年7月5日日曜日

ヒトの役に立つ仕事って?

医療業界には毎年多くの新人職員が入ってまいります。

医療業界は「資格」を取るために、努力・勉強を積み重ねてこられた人々が「志」高く仕事を始める人が多いように感じておりますが、中には「ヒトの役に立ちたくてこの仕事を選びました」とおっしゃる人がいます。

「医師」をはじめ、「看護師」「薬剤師」「臨床検査技師」「放射線技師」「理学療法士」などなど、大変な勉強・努力を積み重ねて、「ヒトのために」と考えて仕事をはじめられたことは「スバラシイ」と思います。

ただそもそも「ヒトの役に立たない仕事」ってあるんでしょうか?

ブログ作者の考えでは「全ての仕事はヒトの役に立つから成り立っている」と思っております。

他人になにかを「したり」、「あげたり」、「作ったり」。その人が求めている事柄を提供することが「仕事」ですから全ての「仕事」はヒトの役に立っていると思います。

「イヤ私は『ヒトの命を救いたいんです』」というもっと高い?志を持って医療業界に入ってこられた方もいるかもしれません。でももし多くの人の命を助けたいのなら、「農業」のほうがもっともっと多くの「人」の命を助けることにつながっているかもしれません。

今でも毎日世界中で「餓死」している人がどれだけいることでしょう?

その人たちに「食料」を提供することができたらどれだけの「人の命」が救えるのでしょうか?

こんなことをブログ作者が書いているのは、新しく医療業界に入ってきた人々が徐々に現場で慣れてくると、「私は医療従事者だからなんかエライんだ!」と勘ちがいしている人々に出くわすこともしばしばあるからです。

私たち医療従事者は医療というひとつの「仕事」を提供することによって、それに見合う「報酬」を受け取って生活している人々です。どのような「仕事」でも、その仕事がなりたっている以上必ずヒトの役に立っているのではないかと思いいます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科のスタッフも、「仕事」の提供相手である「患者様」の役に立っているでしょうか?もしいろいろとご意見がございましたら「コメント」欄に記載いただけましたら幸です。

日本はもっと医療・福祉にお金をかけるべき ヒトにお金をかける国へ

日本は医療レベルは世界有数、医療費は切り詰めという、非常に医療従事者の献身的な努力のみに支えられてきた医療体制でなんとか長寿大国日本を築きあげてきました。

しかし、もうとっくの昔に、医療従事者の献身的な努力だけでは医療レベルを維持していくのは困難で、日本各地で医療崩壊がどんどんと進んでいる現状があります。

たとえば、埼玉県の傍がんセンターで「緩和ケア科」の初診の予約を取るだけで、余裕で1ヶ月以上待ちとのことです。緩和ケアですから、1ヶ月も待っていては、患者様はもしかしたらこの世にすでにいないかもしれません。しかし、現実は「1ヶ月以上待ち」です。しかも、単に外来での診療というレベルでの待ちが1ヶ月以上です。もし、緩和ケア病棟に入院となれば、もっともっと長い「待ち」の時間があることでしょう。

日本は特殊な国なのか、これが世界の「標準」と思っている人が日本の国を動かしているのか、「ヒトにお金をかける」ということをゼッタイにしない国なのではないかと思います。

立派な道路を作ったり、議員宿舎を作ったり、いろいろと「建設業界」にはお金をかけるのに、「ヒト」にはあまりお金をかけていないような気がしております。

例えば、救急医療で「救急車を断るな!!」というなら、「救急車で来る患者様を一人見たらその医師個人に1万円給付する」とかすればおそらく「救急患者」の問題も結構簡単に片付けられるかと思いますが、一向にそういった「ヒト」にお金をかけるような発想の対策がみえてきません。
「救急医療体制を充実する」ためにいくら「病院」に補助金をだしても、現場の「医師」からしたら全くいみがありません。病院の赤字の補填に使われてしまうだけです。
それよりも「医師個人」にしっかりとお金がいきわたるようにすれば、救急医療業界は今よりもっと活気づくと思われますし、多くの救急に携わる「医師個人」がやる気を出してくれるような気がします。

そもそも日本の「医療費」は世界レベルと比較して「高い」or「低い」どちらでしょうか?

「OECDヘルスデータ2009 世界の中でみる日本の状況」

「日本の2006-2007年の総保険医療支出の対GDP比は8.1%であり、OECD平均の8.9%を0.8%下回る」
しかも
「日本の保険医療支出は2000年から2006年の間に実質ベースで2.2%増加しているが、これも2000年から2007年までのOECD平均3.7%を下回っている」
世界有数の長寿大国日本。高齢者人口が急速に増加しているにもかかわらず、諸外国よりも医療費が「増えていない」現実。どこまで日本の国は「医療・福祉」にお金をかけない国なのでしょうか?

また、日本はOECD平均レベルの医療費支出をしないにもかかわらず、OECD諸国で平均寿命がもっとも長いという「とても経済的な医療」をしているということになります。OECD加盟国の中で最も経済的な医療を提供しているのにこれ以上「ムダを省け」というようなことを言ったら、いったい「どこを省く」のでしょう?

これ以上「省けるもの」をあげてみますと、「安全」「信頼」「診察時間」「衛生状態」などなどでしょうか?
もうすでにムダがなく非常に効率的な医療を、経済的な視点からも提供している日本の医療にたいして、これ以上の締め付けをすれば「危険な医療の提供」に結びつくかと思います。

日本の患者となる皆様が、「危険でもいいから医療費減らして」とか「病状説明なんてしている時間いらないから医療費減らして」といわれるならそれも結構かもしれませんが、少なくとも現時点ですでに「崩壊」している医療ですから、「今」と同じレベルの医療の提供であっても、相当な医療費の増額が必要なのはいうまでもありません。すくなくとも「OECD平均レベル」に医療費をもっていってようやく患者となる皆様が「もう少し医療よくしてよ!!」と言えるようになるのではないでしょうか?

いまの状況では、毎年毎年医療の「質」は悪化していくばかりではないかと危惧いたしております。

是非、皆様、来る「選挙」で候補者、政党を選択する際には「医療・福祉にお金かけるんですか?」という視点で選んでみてください。

患者となる可能性のある皆様が「医療・福祉にお金をかけない」人々を選択されるなら、我々医療従事者も医療を徐々に縮小していって、細々と可能な限りの医療を提供し、決してムリはしない姿勢で「防衛医療」に走らざる終えないかもしれません。

2009年7月4日土曜日

「タミフル」「リレンザ」慎重に!!

ついに「タミフル耐性新型インフルエンザウイルス」が日本で出現のニュースが飛び込んできました!!

安易にインフルエンザウイルス感染症に抗インフルエンザウイルス薬を処方することに警鐘を鳴らすことになるかと思いますが如何でしょうか?

新型インフルエンザ:タミフル耐性、国内でも(毎日WEB SITEより)

厚生労働省は2日、大阪府内の新型インフルエンザ患者から、インフルエンザ治療薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたと発表した。タミフル耐性のウイルスが確認されたのは、デンマークの患者に次いで世界2例目。患者は既に回復し、感染は広がっていないため、厚労省は「公衆衛生上の危険はない」としている。」

デンマークについで世界2例目とのことですが、日本のタミフル・リレンザ処方量は世界ナンバー1とのこともお聞きしたことがあります。

まだまだ「ワクチン」による予防ができていない「新型AH1N1インフルエンザウイルス」。

健康な成人の人々がインフルエンザになっても多くのヒトは無治療でも大丈夫なことが多いです。一部の人々(免疫力や抵抗力がなんらかの影響で低下している人々)以外は「タミフル」「リレンザ」なしでも案外インフルエンザはなんとかなっちゃうものです。

ブログ読者の皆様も忘れてしまっているかもしれませんが、ほんの10年前には「タミフル」「リレンザ」なんて日本でも使用できませんでしたし、なにより「インフルエンザ」なんて簡単に検査できませんでした。そんな時代でも、今と変わらず診療できていたわけです。

要は「抗インフルエンザウイルス薬なしでもいける人」と「抗インフルエンザウイルス薬が必要な人」を分けて診療する姿勢が求められているのではないでしょうか?

もし今後も「必要ないヒト」に抗インフルエンザウイルス薬が処方されつづけてしえば簡単に、薬剤耐性ウイルスは広まってしまうかもしれません。
薬剤耐性ウイルスで困るのは、どういった人たちでしょうか?

感染症治療薬は作用する対象が「ヒト」ではなく「微生物」である点が、他の薬剤と根本的に違う点かと思います。相手も「生きている」(ウイルスが厳密な意味で生きているかどうかの議論はちょっとおいておいて)わけですからなんとか「生き延びてやろう」と微生物なりの工夫を今後もし続けることでしょう。

人間は「賢く」対応していかないとあなどれない「微生物」に負けてしまいますよ。

市中肺炎の講演をしました

昨日2009年7月3日にさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ管理人は
「第4回与野・浦和地区喘息・呼吸器疾患懇話会」で公演をさせていただくという貴重な経験をさせていただきました。

クローズドの勉強会でしたので、ブログ読者の方々にはアナウンスできませんでしたことをご了承ください。
準備していただきました幹事の先生方、スタッフの皆様、大変ありがとうございました。

テーマは「外来での肺炎診療の基本原則」ということでお話させていただきました。

普段「病院」という空間で肺炎診療をしていると、安易に「採血」「レントゲン」「CT」などの検査を行い、検査に頼っている自分がいることをあまり認識せずにどんどんと患者様を「検査漬け」にしてしまっていることがあります。
とくに救急外来という限られた「場所」「時間」「人的資源」の場所では「検査」をより多くやってしまっていることが多い気がしております。

もちろん必要な検査は当然行うべきですし、それを躊躇するのもどうかとは思います。
ただ、ろくに診察もしないで「先に採血とレントゲン撮って見ようかな?」というような姿勢での診療は厳に慎むべきではないかと思います。

今回は開業されている実地医家の先生方、研修医の先生方もいらっしゃる勉強会でしたので、なるべく「検査抜き」でどこまで肺炎診療を行っていけるのかを自分なりのテーマとしてお話させていただきました。

「市中肺炎」という極めて、COMMONな疾患であるからこそ、問診と身体所見でどこまで迫れるのか?というのは勉強していて非常に楽しくスライド作成できました。

頻度が多く遭遇する疾患であると自分なりの診療姿勢が早期に確立してしまい、決まりきった方法での診療になってしまいやすいかと思います。
各領域で、よく遭遇する病態・疾患についてももう一度見直してみると見えてくる面白い・興味深い事柄もいろいろとあるのではないでしょうか?

ブログ読者の皆様にも機会がございましたら是非、お話させていただきたいと思います。

2009年7月1日水曜日

何に「お金」と「時間」をかけるべきか?

日本だけでなく世界中で不況により、いろいろな問題が生じているようです。

特に「雇用問題」は非常に重要な問題で2009年5月には日本の失業率が5.2%となったとのことです。

各国別に見てみても日本だけでなく、世界の多くの国々が失業率の急激な上昇に苦しんでいる姿が浮かび上がってきます。

(社会実情データ図録:下記WEB SITE参照ください。各国別の失業率の経時的推移のグラフが参照できます)

では「医療業界」はどうでしょうか?いろいろなところで「医師不足」や「看護師不足」などのニュースが日々報道されておりますが、世界中で雇用情勢がここまで悪化している状況で本当に「医療業界」は人手不足なのでしょうか?

ブログ作者は「医師」が足りないとは感じておりません。それよりも今、初期研修を終了した医師が就職先を探そうとしてもなかなか難しい現実があるのではないか?と推察いたしております。

いくら、「有名研修病院」で立派に初期・後期研修を終了しても「働く場所が無い」という現実がすでに目の前にあるのが現実ではないでしょうか?

もしかしたら直近の「今」は医師が足り無そうに見えるかもしれませんが、おそらく5年後、10年後には相当な数の「医師」が就職難民となることが考えられるのではないかと思っております。

なぜ今後「医師」あまりとなることを予想しているのか?

一番の原因は「医療機関の倒産・縮小」があげられるかと思います。
毎年のように「医療機関の倒産」の件数が増加していっています。

「2008年度老人福祉事業者・医療機関の倒産はともに過去最高、帝国データバンク調査」NIKKEI BP NETより


毎年医療機関の倒産件数が増加→医療機関の確実な減少→必要な医療従事者「医師」「看護師」数の減少

という構図が目の前に迫っているかと思います。

こういった厳しい時代にどのように「生き残る」か?

ブログ作者の答えは「自分の能力・価値を高めること」です。
「医師」という職業は、同じような仕事をしていて、同じような経験年数を重ねていても実力は千差万別です。ある人はなんでも仕事をこなす「スーパードクター」、またある人は何にもできない「窓際ドクター」なのです。

今はまだ社会情勢が「医師不足」との甘い認識のため、医師の能力にそれほどかかわらず仕事がある状況かもしれません。
しかし、先ほども述べたように、「未来」には「医師あまり」の状況がそれほど遠くなくやって来るとブログ筆者は考えております。そのような時代に生き残るには如何すればよいのか?

今のうちから
「自分にお金と時間をかけること」

をお勧めさせていただきます。「自分にお金をかける」とは?
例えば、「英語」の勉強をする、「さまざまな勉強会に参加する」「自分で医学書を買って勉強する」「いろいろな資格を取る」「エステに通って美しさに磨きをかける」「スポーツクラブに通って体力を増強する」などなどです。

もし「医療レベルが同じ」医師が2人いたら、どちらを選ぶか?
それはおそらく「医学以外」の部分も当然評価対象となるでしょう。
また医療の世界で大事な能力として他人との「交渉能力」があります。交渉相手は「患者様」だったり、同僚の「医療従事者」だったり、「製薬会社の人」、「弁護士の先生」だったりします。また、お役所や警察署の人々とも接触のある仕事ですので「交渉能力」は高いに越したことはありません。

ときかく「自分の能力・価値を高めるために『お金』と『時間』をかけること」はこれからの厳しい社会を生き抜くためには非常に大切なことではないかと思います。

さいたま赤十字病院での初期・後期研修は皆様の「能力・価値」を高めることに役立つことを目指して進化していくように日々努力を重ねてまいります。
是非さいたま赤十字病院に見学にいらっしゃってください。