本日は、「特発性肺線維症の診断と治療」について、神奈川県立循環器呼吸器病センターの小倉高志先生のWEBでの御講演を拝聴いたしました。
インターネットの普及と発達によって、さいたま赤十字病院内の一室で、このような講義がリアルタイムで聴講できる時代になりました。よのなか便利になったものです。
特発性肺線維症というのは、なかなかヤッカイな病気で、呼吸器内科医も頭を悩ますことの多い非常に難治性の病気です。しっかりとした治療方法が確立していないため、何をやってもどんどん進行していって、ビックリするくらいに早くにお亡くなりになる方もいます。
本当にビックリするぐらい早い進行の場合もあり、病院に来て数日~1週間程度で永眠される方もいて、なんともつらい病気だったりもします。
まず「特発性」とはなにか?原因が不明もしくははっきりしない病態のアタマに「特発性」とつけることが多いです。なので、「特発性肺線維症」とは「原因がはっきりしない肺が線維化してしまう病気」となります。
症状としては、「労作時の息切れ」、「空咳」などでしょうか?かなり進行するまで自覚症状は無かったりしますので、発見される機会は「胸部レントゲン検診」だったりします。
さいたま赤十字病院でも、呼吸器内科に紹介される「特発性肺線維症」の方は、おおくは、他の病気でかかってたまたま胸部レントゲンやCTで指摘されたり、息苦しくて近くの医院・病院にかかって「レントゲン異常」を言われたりする人がほとんどかと思います。
稀に呼吸苦で救急車で来院されますが、極稀です。
この特発性肺線維症の治療方法はこれまで、「ステロイド」±「免疫抑制剤」という治療法方しかありませんでした。しかも、なんと「免疫抑制剤」は「健康保険の適応なし」という恐ろしい状況です(現在もそうか思いますが、最新情報をご存知の方はコメント欄にお願いいたします)。
しかも、治療をしても、残念ながら長生きは望めないときていますからなかなかシビアな病気です。
もっとシビアなのはこういった病気を、世間一般の人々が「知らないこと」です。
「特発性肺線維症」はまたの名を「特発性間質性肺炎」とも呼ばれます(厳密な意味では違うかも知れませんが)。
そうなると特発性間質性「肺炎」の「肺炎」の部分だけ聞きなれた言葉ですので、「肺炎」なら「抗生物質」でなおるじゃん!!といわれてしまいますが、ことはそう簡単ではありません。
特発性肺線維症=特発性間質性肺炎には抗生物質は全く「無効」です。
ステロイド±免疫抑制剤でも、使わないよりマシな程度かもしれません。いずれにしてもなかなか治癒は望めない病気であることを知っていただきたいともいます。
この治癒がなかなか望めない病気に、あらたな治療選択枝として「ピレスパ」が登場いたしました。
本日の小倉先生の御講演で「ピレスバ」の治療ポイントとしてお話されていたのは、
・軽症・中等症の患者:めやすは%VCが70%以上
・胸部CT(HRCT)でスリガラス陰影の比較的多いこと
・副作用の胃腸障害・食欲不振や光線過敏症に耐えうるヒト
・長期に継続可能な方に
とのことでした。(実際には10のポイントとしてお話されていたものを抜粋してます)
さいたま赤十字病院ではまだまだ「ピレスパ」の処方件数は少ないですが、「どんどん処方します」というスタンスではなく、呼吸器内科スタッフ皆で慎重に検討して、この人には「ピレスパ」が良いかもという方にのみおすすめしていこうかと思っております。
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