その中で、三井記念病院 呼吸器内科の国頭英夫先生の御講演を聞くことができました。
「イレッサ」(Gefitinib)を中心に、最新の肺癌化学療法の話題と、国頭先生の見解を聞かせていただきました。
本日勉強させていただいたことは
①EGFR mutationのある非小細胞肺癌にイレッサは有効
②EGFR wild typeの非小細胞肺癌にはイレッサは無効?
③腺癌以外の組織型(扁平上皮癌など)でもEGFR mutationがあればイレッサ有効?
④「タキソテール」:ドセタキセル(DOC)はAsianに効きやすい?
⑤肺癌治療の真のEnd Pointは?
・Overall survival
・Quality of Daily life
・Cost
とのことでした。とくに、最後のEnd Pointをどこにおくのか?については、国頭先生のご意見に賛成いたします。病気を「治す」ことがほとんど不可能と考えられる「非小細胞肺癌進行期(StageⅢB~Ⅳ)については、いかに”QOL"を維持した状態で「生存できるのか?」が大切かと思います。
ずーっと病院のベットに縛られた状態での「生存」がはたしてよりよい選択なのか?
また世界経済の不安定な時期であるからこそ「コスト意識」も肺癌治療にも必要なのではないかと思います。肺癌治療に無尽蔵な「コスト」をかけるのも難しいかと思います。要は有意義な「コスト」のかけ方が求められているかと思います。
肺癌治療は非常にEvidence Basedな領域で、とても洗練された診断・治療方法が確立されたとても興味深い領域であると思います。日本中どこでもある程度「標準治療」がうけらられる数少ない疾患のひとつとも思っております。こういった点は「感染症」も見習うべきではないかと思います。
(「感染症」は日本中で標準的な治療が行われているとはとても思えないような状況かと思います。)
それと同時に進行肺癌は「治らない病気」の代表選手でもあります。
肺癌に人間の「知恵」と「工夫」がどれだけ対抗できるのか?
これからも「ヒト」と「肺癌」のバトルは続いていくのではないかと思います。
2009年7月1日からヨーロッパでも「イレッサ」が正式に承認されたとのこともお聞きいたしました。
ブログ作者は、イレッサ発売後数年で「イレッサは市場から消えるかも...」と本気で思っておりました。
日本の肺癌診療・研究に携わってきた人々の尽力で生き残ってきた肺癌治療薬「イレッサ」の今後の状況を注意深く見守って行きたいと思います。
さいたま赤十字病院呼吸器内科では「薬剤性間質性肺炎」や「皮疹」「下痢」などの副作用に十分注意しつつ、非小細胞肺癌治療の選択枝のひとつとしてこれからも「イレッサ」を使用していくことになるかと思います。
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