2009年7月25日土曜日

感染症診療の原則 byDr.青木

結局、時間的な問題があり、事前に申し込んでおいた、「中野新橋」駅から歩いていく、傍ファイザーの営業所で「若手医師セミナー2009」を聴講いたしました。


TOPページでわざわざさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの記事へのリンクも張って頂きまして大変恐縮いたしております。ありがとうございました。

さて本題ですが、青木眞先生の「感染症診療の原則」の講義は、1回聞いただけではおそらく「よくわからない」と思います。

事前知識なしで、一度聞いただけで「オレはわかった!!」というヒトがいたら、ものすごく「偉大な人」か、もしくは「微妙な人」かもしれません。

ブログ作者は、「感染症診療の原則」のお話を聴講する前に

・「抗菌薬ガイドライン」青木眞著、三輪書店(売り切れそう?)

・「レジデントのための感染症診療マニュアル第一版」(もうそろそろ売り切れ?)

を読んでいました。
青木先生の教科書といえば、最近は「レジデント~第2版」なのでしょうが、あまりに膨大なため、初期研修医が初めて読むにはちょっとツラスギます。

ブログ作成時点ではまだジュンク堂には1冊あるようですが(2009年7月25日午前0時20分時点)
上記の「抗菌薬ガイドライン」はとても「薄い」のに、内容の「濃い」とても通読しやすい教科書です。

初版が1996年2月発行とのことですので、ブログ作者が医師となるはるか?前に出版された教科書ですが、いまだに私の本を研修医の皆様にお貸しして読んでいただいております。(最近病棟に見かけなくなりましたが、どなたかお持ちでしたらひっそりと病棟の書棚にお返しください)

この「抗菌薬ガイドライン」の冒頭部分には、「感染症診療の原則」のイイタイコトのエッセンスが凝縮されているかと思います。全部で127ページですが、おそらく多くの読者が1週間以内で通読できてしまうかと思います。ちょっと内容的に古くなっている点もあるかもしれませんが、まだまだこの内容で結構イケルとブログ作者は思っております。なにより「通読できた!!」という達成感はいいものです。

10回以上「感染症診療の原則」を聴講していると、いろいろと考えながら聞くことができるようになります(なったきがしております)。
本日は青木先生のClinical pearls=「格言」を重点をおいて聴講いたしました。

本ブログで「格言」を羅列するのは、青木先生から「著作権侵害」と言われても困りますので、ひとつだけご紹介させていただきます。

「感染症診療の力は培養が「陽性」の時よりも「陰性」のときに現れる」by Dr.青木

培養で「生えてきた」ものをターゲットに抗菌剤を選んで、治療方針を建てるのは、まあ教科書をみればある程度トレーニングを積んでいればできるかもしれません。
しかし、自分が自身をもって「肺炎」と診断し、初期治療を開始した後に、「培養陰性」となった場合、どうやってその後の治療方針、抗菌剤の選択、治療期間の決定を行っていくのでしょうか?

一番頻度の多い「肺炎球菌」の肺炎だったのか?「肺炎球菌尿中抗原」でさえ100%は信用なりません。(発病当初は偽陰性となること、また、肺炎球菌感染症後約3ヶ月程度は偽陽性となる可能性のあること)。当初の「肺炎」という診断すらはたして正しかったのか?(他の病態で胸部画像上『浸潤影』を来たす疾患は山ほどあります)。

培養「陰性」の感染症診療はなかなかヤッカイであることがご理解いただけるかと思います。

まあ、こうしたことも日ごろから「自分で考える」トレーニングを積んでこそわかってくる問題かと思います。

初期研修中にしっかりとした「自分の考え方」を身につけるためには、やはり「自分の意見」をしっかりもって、指導医にいろいろと「意見を言ってみる」ことをしていくとよろしいかと思います。
「自分の意見・:考え方」をもって診療していれば「地引網診療」にはならないような気がしております。

私のような「指導医」はその場で全部答えが出るわけではありませんが、一緒に問題解決を図ることで、指導医のレベルアップにもつながっていくのではないかと思います。

ファイザー(株)の皆様の多大なるご支援があって開催されている「若手医師セミナー」

せっかくなので、皆様参加されては如何でしょうか?

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