2009年7月12日日曜日

「患者さま」撲滅運動に賛同いたします

先日ご紹介させていただいた「偽善の医療」(里見清一 著)ですが、すぐに手に入れて読ませていただきました。

おそらく、多くの医療従事者が本音では思っていることで、なかなか「言葉」に出して言うことができないでいたことを「ズケズケ」と書いてくれていて非常に興味深く読ませていただきました。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログは、とくに対象者を限定したブログではございません。

読者の皆様には「医師」「看護師」「薬剤師」「研修医」などの医療従事者もいれば、「一般市民の皆様」や「さいたま赤十字病院呼吸器内科のかかりつけの皆様」などいろいろな方がいらっしゃいます(と思っております)。

そのため、時には「研修医向け」に勉強会で得た知識を自分なりに解説したり、また「患者」となる人々むけに疾患・病態の簡単な解説をしたり、「一般の人々」向けに、現在の医療問題についてブログ作者の意見を書かせていただいたりしております。

当然のことながら「さいたま赤十字病院呼吸器内科」のスタッフは7人いるため、各々がいろいろな人生を歩んできており、ブログ筆者の意見と必ずしも同じではないことはご理解いただきたいと思います。

と前置きしておいてですが、この「偽善の医療」の第1章の「患者様撲滅運動」にブログ筆者は賛同させていただきます。(と書いてますが、これまでの過去のブログでは、患者「様」と記載させていただいてますし、他のスタッフはそれほど「様」づけで呼んでいませんでしたが、ブログ筆者はいつも「様」づけで読んでいました)

どうして「患者様撲滅運動」に賛同するのか?

やはり、「医療はサービス業ではない!!」とうことが挙げられます。もっと言うと「サービス業に成り下がってはゼッタイにいけない!!」のです。

こういうことを書くと「医療はサービス業なのでは?」という反論が聞かれそうですが、この点についてはさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでも以前触れております。

患者「様」と呼ぶ背景には何があるのか?おそらくそのウラには「お金」が隠れているのではないかと思います。(著者も指摘されておりますが)。そのため、「美容整形」「自費診療」の医院はおそらく「患者様」ということは正しいのではないかと思います。
要は「お金を払ってくれる『患者様』」です。

「医師」が自分の技術を、高いお金を払って買っていただける「お客様」=「患者様」にだけに提供していいのでしょうか?

多くの人々がこの意見に、おそらく”NO”ではないでしょうか?

この点に、医療が根本的に「サービス業」になれない理由があるのではないかと思います。
もしアメリカのように「医療」が「サービス業」となれば、当然「サービス業」を提供する医師は、より高い「お金」を払ってくれるヒトを対象に「商売」するようになるでしょう。(事実アメリカはそのような部分もあるようです)

「サービス業」の世界では、より「高いお金」を出していただける「お客様」により良い「サービス」を行うことで「利益」を出している業界です。高級ホテルでも、高級車の販売店でも、高級レストランでも同様なのでしょう(ブログ筆者には縁のない世界ですが...)

今現在の日本は幸「国民皆保険」の制度の下で、お金のある無しにかかわらず、ある程度一定のレベルの医療が受けられる、世界でも稀に見る高度医療社会です。これをなんとか維持してこれたのは、日本が第二次世界大戦後に、世界でも類を見ない「高度経済成長」があったからかと思われます。

やはり「医療」と「お金」はきっても切れないものであるのもこれまた事実であると思います。

今、日本経済が世界のトップクラスから転げ落ちる(かもしれない?すでに惨敗?)状況では、この医療体制を維持していけるのか?

「金持ちが自分のお金を使って、最良の医療を受ければよく、そうでない人はそれなりの医療で」

「全ての日本国民が平等な医療を受けられるようにするべき」

それを決めるのが、しつこいようですが「衆議院議員選挙」なのではないでしょうか?

ブログ筆者はどちらの意見でもよいと思っております。

ただ、患者となる国民の皆様が自分達の多数意見で決めることですから、結果が出てからゴチャゴチャ言うのではなく、しっかりと候補者や政党を見極めて投票してください。

選挙に参加しない人は論外です。

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