日本ではまだまだ、専門家の不足などから「診療」と「制御」がごっちゃになっている感じがありますが、今後は上記を明確に分けて考えていくのではないかと思っております。同じ感染症でも全く違う分野なのですが、一般の方々にはなかなか理解に苦しむのかもしれませんが。
感染症診療はひとりひとりの感染症「患者」の治療を担当する、診療科で、一方、感染制御では「集団」「社会」の感染制御・防衛を扱っていくことになります。
「集団」というのは、小さい単位ですと、各病院・病棟レベルになりますし、もう少し大きな視点で見てみると、国全体や世界全体の問題も絡んできます。
抗菌剤は、相手が「生きている」「変化する」という点が他の疾患と根本的に異なる点かと思います。
相手が「変化する」とは、同じ病原体でも、同じ治療が効かない・効かなくなるという事態が生じることを意味しております。
簡単に言うと「抗菌剤耐性菌の出現」といえるかもしれません。
この「耐性菌」の出現を防ぐ方法のひとつとし抗菌剤の適正使用が推奨されております。もちろん基づく抗菌剤の適正使用のみでなんでもうまく行くわけではないことは以前ブログでも記載させていただいているとうりですが。
そんな中で、PK/PD理論に基づいた投与設計で、これまでより売り上げを伸ばした抗菌剤「クラビット」のニュースを拝見したので紹介させていただきます。
第一三共4-9月 クラビットの売上9.3%増
(ミクスonline WEB SITEより)
「第一三共が10月30日の発表した10年3月期第2四半期(4-9月)血算では、5月にジェネリックが発売された抗菌剤クラビトの国内売上高は前年同期より9.3%増の214億円の増収となった。耐性菌の抑制効果を狙いに高用量(500mg)製剤を7月に発売し、徹底した販促をかけたことが奏効し、当初計画を4億円上回った。通期では前年より2.3%増の計画を変えず440億円を見込む。 」「」内引用です。
ジェネリック医薬品が発売開始された、薬剤は通常売上高は減少することが多いのですが、この「クラビット」についてはPK/PD理論に基づく投与設計改訂、添付文書改訂でなんと前年より売り上げが伸びているというのですから驚きです。
また、クラビットについては、静注剤型の承認申請も先月末に行ったようですので、
(上記URLで医療系剤WEB SITEにつながります)
まだまだ、フルオロキノロンの世界では巨人「クラビット」の時代が続いていくのかもしれませんね。
とても多く使用されている「クラビット」などのフルオロキノロン系抗菌剤。注意点も多々あるのも事実です(耐性菌出現、副作用、抗結核菌作用、薬剤吸収の問題などなど)
フルオロキノロンの適応については、充分に必要性を考えて使用していく姿勢は大事にしていきましょう。
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