2009年12月15日火曜日

平成21年度院内感染対策講習会勉強内容(その①)

①院内感染関連微生物:舘田一博先生:東邦大学医学部微生物・感染症学

・勉強させていただいたことのポイント

 ・セラチアやエンテロバクター、シトロバクターなど腸内細菌群の一部は低温(1~4℃)でも発育する!
  輸液を事前調整して、冷蔵庫に保存していても輸液中で増殖してしまう恐れアリ!要注意。

 ・緑膿菌は大問題!特にカルバペネム、アミノグリコシド、フルオロキノロンの3剤に耐性を獲得している  多剤耐性緑膿菌”MDRP”の拡大

 ・緑膿菌:水回りに注意!乾いた環境では生存困難。
    コンタクトレンズ保存液、モップ、スニーカー、野菜・果物、加湿器など
    内視鏡の先端、シャワーヘッドなども死角

 
 ・健常人の便中に緑膿菌保菌:2.6~24%:腸管からのBacterial translocationに注意!

 ・細菌の抗菌剤耐性化機構
    ・抗菌剤の不活化酵素の産生:βラクタマーゼなど
    ・作用点の変異:PBPの変化など
    ・抗菌剤の排出:Efflux機構
 ・pre-MDRP:2剤耐性菌に注目!
 ・カルバペネム+キノロン耐性菌の増加!→MDRPへ
・Bacterial translocation:腸管→門脈を介して肝臓へ:その後全身性敗血症:内因性感染
   ・感染源が不明な時は上記を常に考慮
   ・カンジダ、マイコバクテリウムアビウム:HIV、MRSA、腸内細菌の一部
   ・監視培養
   ・選択的腸管内殺菌:Selective Digestive Decontamination
・ムコイド型緑膿菌:アルギネート:菌体外多糖産生:貪食抵抗性、補体殺菌感受性あり、全身感染は起  こしにくい(慢性感染):敗血症にはなりにくい?
 ・細菌の要塞:”バイオフィルム”形成:カテーテルの抜去が必須
・アシネトバクター
   ・ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌
   ・自然界に広く分布
   ・乾燥に抵抗性、低温でも増殖
   ・VAPの重要な病原体
   ・多剤耐性菌の増加:カルバペネム耐性のアシネトバクターに注意
・市中感染型アシネトバクター:今後、脅威になってくる?
   ・東南アジアで蔓延?
   ・日本でも発症あり。
・CA-MRSAの増加
   ・「とびひ」増加CA-MRSA 51%
・VRE:バンコマイシン耐性腸球菌

 ・VRE:鶏に成長促進剤:アポバルシン投与:バンコマイシンとアポバルシンが構造似ている
 ・プラスミドを介した耐性遺伝子の伝播
 ・環境(食肉・魚)への抗菌剤の使用が新たな耐性菌をもたらすのか?

今日はここまでにします。また明日勉強させていただいた内容とともにご報告いたします。

上記文章は、講習会での勉強内容を記録させていただきましたが、ブログ作者の聞き間違いなどあるかもしれません。実地臨床で活用される場合には、必ず教科書などでご確認の上、自己責任でご利用いただけますようお願いいたします。
内容的に間違いのご指摘や、ご意見ご要望はコメント欄に記入いただけましたら幸いです。

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