もしかしてe-mailでテストするの?とか思われた方々。残念ながら不正解です。
E-TESTとは、細菌に対する抗菌剤の検査室での有効性の指標となる、MICを測定するための検査方法です。
さいたま赤十字病院でも少し前からMRSAの菌血症の治療にバンコマイシンの詳細なMIC測定の為に院内導入致しました。
まだまだ聞き慣れない先生方も多くいらっしゃるようですので、実際の検査写真を上に掲載致しました!
培地上に置いてある短冊みたいなのがE-TESTのスティックです。スティックに数字が書いてあり、一定時間培養後にMICの数値を読み取ります。
なんでさいたま赤十字病院でMRSA菌血症に詳細なMIC測定が可能なE-TESTを導入したのか?
日本の多くの病院と同様に、MRSAのバンコマイシンに対するMICは以前より測定しておりましたが、そのMIC最小値は”2以下”というかなり大雑把な結果しか出ませんでした。
近年、MRSAの治療に際して、”バンコマイシンのMICが2以下”という大雑把な測定結果では、治療が上手くいかないという症例が多数報告されるようになってきました。
そこで、もっと詳細なバンコマイシンMIC測定が必要ではないか?
バンコマイシンでMRSA菌血症を治療するには、MIC1以下である方が良いのではないか?
バンコマイシンはAUC/MICというPK/PDパラメータで有効性の判定ができると言われており、このAUC/MICが350-400を超えないとバンコマイシンでのMRSA菌血症の治療は難しいといわれております。
このAUC/MICの分母にあたらバンコマイシンのMICが2以上ではもはやこの"350-400"という数値は越えられない壁となってしまうため、実はそれ以下のどのくらいのMICなのかを詳細に測定する必要性がありました。
このため、このたび、MRSAが血液培養で培養差れた場合に、バンコマイシンの詳細なMIC測定のために”E-TEST"を導入させていただいたというわけです。
実際には、0.5刻で、0.5、1.0、1.5、2.0。。。とかなり細かく判定できるようです。
実際に、ブログ作者もバンコマイシンE-TESTを使用して、MRSA菌血症の治療をすでに始めておりますが、従来のバンコマイシンMIC2以下という結果よりも、より自信をもって治療の望むことができております。
まだまだ、MRSA感染症は院内感染症の大御所といった感がありますから、今後も注意深く診療してまいりたいと思います。
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