2009年4月28日火曜日

パンデミックインフルエンザ

メキシコからはじまったブタ?インフルエンザのヒトへの感染は,ヒトからヒトへの感染を生じているようです.日本ではまだ報告されていませんが,いつきても対応可能なように日ごろから準備が必要かと思います.
さいたま赤十字病院全体呼吸器内科でもパンデミックインフルエンザに備えて,皆で知恵を出し合って対策を考えております.
もし,熱が出たりしてニュースになっているインフルエンザかも?と思ったらとりあえず最寄の保健所に至急御相談ください.そこで,疑わしいときには特定の医療機関を紹介していただけるのではないかと思います.(詳細は厚生労働省HPや保健所にお問い合わせください)
当院は残念ながら陰圧室(結核などの空気感染などに対応出来る入院部屋)が無いため,空気感染を生じる可能性のある患者様については入院が難しい病院となっております.まだ話題のインフルエンザがどのような感染経路なのか完全には明らかになっていませんが,とりあえず最初の時期は感染症対策を十二分にして対応していくしかないかと思います.

もしパンデミックインフルエンザが日本にやってきてしまったら
①仕事に従事する人が減少する→電気・ガス・水道などの公共物が止まってしまう可能性もある?
②輸入に頼っている食料,燃料,資源などが手に入らない
③外に出歩いてインフルエンザに感染するのがコワイ
        →食料,水などの備蓄もある程度必要でしょうか.
④それでも街中に出ないといけない.
       →必ずマスクをして,なるべく人ごみを避ける.満員の通勤電車はご法度か?
⑤TV・インターネット・ラジオなどで情報を得る
       →電気が万が一使えないときにはラジオは唯一の情報原となる可能性あるため,
        日頃使わないラジオの確認や電池の準備も大切.
⑥夜電気がつかないときのために懐中電灯なども準備(電池も)

こう考えてみると,大震災に備える準備とパンデミックインフルエンザ対策は似ているなあと思います.
ただ,大震災とパンデミックインフルエンザの最大の違いは「誰も助けに来てくれないかも」という店でしょうか.おそらく日本がパンデミックインフルエンザが問題となっている時点では世界中の多くの国々も同様の状況でしょうから,誰も助けてはくれないかもしれません.
自分の身は自分で守るしかありません.まだ間に合いますから色々と準備をしておきましょう.

2009年4月20日月曜日

第83回日本感染症学会総会

今週は,第83回日本感染症学会総会が4/23-24に新宿の京王プラザホテルで開催されます.
さいたま赤十字病院呼吸器内科も毎年演題を提示させて頂いておりますが,今回は
「診断治療に難渋したCryptococcus curvatusカテーテル関連血流感染症の1例」
を発表させていただきます.

2009年4月13日月曜日

長引く咳は要注意!!

最近,芸能人の方が「肺結核」と分かって入院治療されているというニュースがありました.
さいたま赤十字病院も以前は「結核病棟」がありました.(が今はありません)
肺結核は,患者さんの咳や痰のなかに含まれる「結核菌」の飛沫核が空気中に飛んで,それを吸い込むことにより感染する病気です.このため,知らない間に結核菌を吸い込んでいる可能性は多くの人にあります.結核菌を肺に吸い込んでも皆が肺結核になるわけではありませんが,十分に注意する必要はあります.
1年に1回は胸部レントゲンを撮る!!これは肺癌の検診目的だけではなく,無症状でも否定できない肺結核を見逃さないためにも是非必要な検査です.

また「2週間」以上長引く咳症状は要注意です!!
肺結核もそうですが,肺癌や他の肺疾患や心疾患などでも長引く咳症状が出ることがあります.

長引く咳症状のある方は是非,お近くの医療機関で胸部レントゲンなどの検査を行ってください.
「肺結核」が疑われた際には,「結核病棟」をもつ専門の医療機関に御相談ください.
(さいたま赤十字病院では「結核病棟」がないため肺結核の診療は行っておりません.ご了承ください)

2009年4月10日金曜日

さいたま赤十字病院入口

写真はさいたま赤十字病院の正面玄関です。
ドラマなどでも撮影に使われたことがあるらしいです。
入口は立派ですが、中身はいかがでしょうか?
皆様のご評価次第かと思いますが。今後は病院紹介写真もブログに掲載していきたいと思います。

2009年4月6日月曜日

新人スタッフのデビュー

4月は日本では新年度のスタートです.
病院に限らず,どこの職場でも新人さんがデビューするのではないかと思います.
(筆者は病院の事情しかしりませんが)
さいたま赤十字病院も新たなスタッフを迎えて,現在いろいろなところを見学されているのではないかと思います.
病院は医師・看護師,検査技師,放射線技師,事務職員など様々な職種の新人を向かえ大忙しです.
特に患者様を直接診療させていただく新人スタッフが今週末~来週にかけて,病棟や外来で患者様を担当させていただくことがあるかもしれません.
新人スタッフだと「採血失敗しないかな?」とか「点滴うまくいくかな?」と患者様もいろいろ気を使われることと思いますが,全てのスタッフは皆,新人の時期があり,患者様にいろいろと教えていただき成長してまいりました.どうか温かい目で新人スタッフを見守ってあげてください.

2009年4月1日水曜日

ワクチンによる予防医療

さいたま赤十字病院呼吸器内科では予防医学にも力を入れております。

慢性呼吸器疾患をお持ちの患者様や65歳以上の患者様は是非ワクチン接種を積極的に行っていただき、予防可能な疾患については是非ワクチン予防に取り組んでいただきたいと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科で施行しているワクチンは主に2種類です。

①インフルエンザワクチン

②肺炎球菌ワクチン

①のインフルエンザワクチンについては、65歳以上の皆様には自治体のワクチン補助などをしようしてワクチンを受けていただいている皆様多数いらっしゃるかと思います。64歳未満の皆様でもCOPD(慢性閉塞性肺疾患=肺気腫や慢性気管支炎)、間質性肺炎、肺癌、他の慢性疾患をお持ちの方は是非接種されることをお勧めいたします。インフルエンザワクチンを接種下からと言って必ずしもインフルエンザにならないというわけではありませんが、インフルエンザ感染を契機とした重篤な疾患で命にかかわるような病状となることを減らせることが研究でわかっています。(簡単にいうとインフルエンザ感染により死亡するリスクを減少することができる)。インフルエンザウイルスはインフルエンザ自体もコワイかもしれませんが、それによって生じる細菌性肺炎などで命にかかわる病状となる方が高齢者の方では多いことがわかっております。少しでも重篤な病状となる方が減るように是非ワクチン接種を毎年お願いいたします。

②肺炎球菌ワクチン
「肺炎球菌」というのは、一般的な肺炎を起こす最も頻度の高い細菌です。肺炎の原因の25~30%程度を占める細菌で非常に強い毒性を持つ細菌です。特に、胃がんの手術などで脾臓を摘出されている方や、もともと先天的に脾臓の機能が弱い方、ステロイドなど免疫抑制剤を使用されている方などでは敗血症をきたし、非常に重篤な感染症をきたすことがあることがわかっております。
さいたま赤十字病院でも年に数人非常に重篤な肺炎球菌肺炎・敗血症の患者様を治療させていただきますが、集中治療室の先生方と協力してもなかなか救命できずに最後を迎えてしまう患者様がいらっしゃり、ワクチンによる予防の重要性を感じている次第であります。
肺炎球菌ワクチンは一部自治体ではワクチン費用の補助があるところもあるようですが、当院のあるさいたま市では現在肺炎球菌ワクチンに対しての助成はないかと思います。自治体の助成があると皆様がよりワクチン接種を受けやすい環境を整えられるか思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科では肺炎球菌ワクチンの接種を行っております(予約制です)が、ワクチン接種は基本的に自費診療になります。費用につきましては内科外来までお問い合わせください。

百日咳疫学調査

本日からさいたま赤十字呼吸器内科はあらたにレジデントの先生1名、常勤医1名を加えてより充実したスタッフで診療、臨床研究などに従事してまいりたいと思います。

現在、順天堂大学のスタッフの皆様が行っている「百日咳の疫学調査」にさいたま赤十字病院呼吸器内科も参加させていただいております。
「咳の症状が2週間以上続く」とか、「自分の周囲のヒトが百日咳といわれた」など咳症状が続く患者様は、百日咳の検査に是非ご協力いただけますようお願いいたします。

百日咳とは?
百日咳は百日咳菌による呼吸器感染症で咳症状や喀痰症状などが長い間(2週間以上)続く病気です。
多くの方は幼少期に百日咳ワクチンを3回接種されていますが
(DPTワクチンDiphtheria Pertussis Tetanus combined )成人期以降、免疫力が弱くなっていき、百日咳菌に感染してしまうのではないか?といわれていますが、実際のところどれくらいの成人が百日咳になっているのかデータがありません。今回、順天堂大学の感染制御科の先生方がよくわかっていない成人の百日咳がどれくらい広がっているのかなどのデータを収集して調査をされています。さいたま赤十字病院呼吸器内科でもこの調査に加わり、データの収集を行っております。長引く咳・痰などの症状で百日咳が心配な患者様はぜひさいたま赤十字病院呼吸器内科に受診して百日咳疫学調査にご協力いただけますようお願いいたします。

ちなみに、百日咳は「クラリスロマイシン」「エリスロマイシン」などの「マクロライド系」といわれる抗菌剤が治療に奏効するといわれておりますが、実際には診断治療が遅れることが多く、治療が難しくなる場合も多いのが実情です。疫学調査の結果、百日咳の診断治療がさらに一歩進んでいけば咳で苦しむ患者様の診療の手助けになるかもしれないと期待しております。