2010年2月6日土曜日

第25回日本環境感染学会総会での勉強内容

2010年2月5日金曜日、第25回日本環境感染学会総会に参加させていただきました。

非常に活気のある学会で、ちょっと混みすぎている感じもありましたが、寂しいよりは全然よいのでしょうか。

ただし、運営の方法については主催者の皆様に再考頂きたい点があります。

ランチョンセミナーや、一部の講演が「チケット」制となっており、チケットが無いと「はいってはダメ」というのは理解に苦しみます。
お弁当などは「いりませんから」といっても「ダメ」と言われてしましました。。。
弁当の個数や座席数に限りがあるのは分かりますが、ずーっと並んでいたのに「チケット無いから入れません」というのは勘弁していただきたいです。
ディズニーランドの「ファストパス」みたいに、座席数300なら、半分の150はチケット制、残り半分は先着順(並んでいた順)とかにしていただければ改善可能と思います。
次回の環境感染学会では上記の点の改善を強く望みます。

それでは、勉強内容のご紹介です。

抗菌薬適正使用のプレゼンテーションから
・緑膿菌TAM値(Time above MIC)とMEPM耐性化率は負の相関あり!
・TAM値を高くすると有意に耐性化率低下するか?
・耐性菌をださないためのTAM値はどの程度か?
・PK/PD理論は耐性菌出現の抑制効果も今後は証明されるか???
・上記ご講演は一般演題のものでしたが、治療をするという目的からさらなるレベルアップをして、「耐性菌出現の抑制」にPK/PDが使えるかもしれないというエビデンスになりそうで非常に注目です。


自治医科大学感染制御部 森澤先生ご講演「手指衛生」
・通常の手指衛星はアルコール含有察式消毒剤がスタンダード
・例外は「CDAD・ノロウイルス」
 ・Clostridium difficile関連疾患
  ・流水と石鹸による手洗いが必要:入院症例の下痢症状では必ず念頭に置く
 ・ノロウイルス
  ・感染対策には手指衛生が極めて重要である
  ・ノロウイルスの感染性を消失させるには次亜塩素酸ナトリウムで消毒
  ・ウェルセプトというあらたな製剤はin vitroでウイルス不活化効果強いか?
・患者をケアする前後では必ず手指衛生を図る!
 ・GLOBAL PATIENT SAFETY CHALLENGE:CDC
 ・CLEAN CARE IS SAFER CARE
・MRSAの分離頻度は日本が圧倒的に高い:60~70%
・NICUとMRSA:帝王切開でうまれた子供:手術で無菌環境で生まれてきた。常在菌叢が医療従事者から伝播するか?
・医療提供体制の国際間比較
 ・米国や他国と、医療提供耐性が全く異なるのだから、「そのまま」を持ち込んでも無理があるという話
・自治医大のNICUでの取り組みの紹介
 ・高頻度接触表面のチェック
 ・各個人ごとに手指消毒用アルコールを持っていただき、使用量=減少量をチェックする!!
 ・勤務帯毎にどれくらい減少しているかチェックする
 ・個人管理をするとアルコール消毒剤の使用量が5~7倍使用量増加
・COMPLIANCEからADHERENCEへ(遵守→習慣へ):やった方がイイからやるという動機づけを
・手袋をつけてさえいれば良いのか?
・Acinetobacter baumannii
 ・病院環境中に幅広く生息する
 ・乾燥環境でも長期間にわたって生存できるため院内環境に広まりやすい
・高度多剤耐性A.baumannii=XDRAB
 ・現在使用されている抗菌剤がほとんど効かない菌
・現場の意識が向上することが極めて重要である
・医療現場の手袋で強調したいこと
 ・手袋は処置の直前に使用する
 ・手袋を着用して処置を始めたら
  例:PHS持たない、モノをとらない、PC触らない、歩きまわらない、頭髪やマスクに触らない
 ・処置が終わったら速やかに手袋を脱ぎ、手指衛生をする
・ローテク技術⇔ハイテク技術
・賢い使い方:High-Concept ⇔ 技術頼みの使い方:Low-Concept
・思考停止に陥らない医療
・いかに安い技術を賢く使いこなすかが大事!
・Hand-off:申し送り:情報とともに責任・権限を受け渡すこと
・現場と一緒になった感染管理を目指す!
・目的を共有する医療従事者がチームを結成し、患者ニーズにも柔軟に対応出来るサービス提供することにより医療安全が確保される    

毎回森澤先生のご講演は「眠くならない」お話です。
骨格は他のご講演でも聴かせていただきましたが、また違うアプローチをされていてやっぱりスゴイ内容でした。

毎回のお願いですが内容の誤りやご質問、削除依頼につきましては、コメント欄にお願いいたします。

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