2010年1月29日金曜日

「新規薬剤を含めた抗インフルエンザ薬の使用適応について」

2010年1月25日に日本感染症学会が「新規薬剤を含めた抗インフルエンザ薬の使用適応について」を発表いたしました。


上記URLで日本感染症学会のWEB SITEにつながります。

内容は、患者の重傷度をしっかりと評価すること。安易にペラミビル「ラピアクタ」を使わないという感じでしょうか?

ペラミビル商品名「ラピアクタ」は、静注という投与経路の点で画期的な抗インフルエンザウイルス薬です。

これまで、重症の患者さんでも、むりをして内服するか、経鼻胃管などで無理やり投与するなどの方法しかありませんでした。

これが、静注で投与可能となったことは、非常に画期的なことかと思います。

また、内服薬の問題点として、症状が良くなった後に、「飲み切る」ということの難しさ、いわゆる「コンプライアンス」の問題がありました。静注薬の剤形ではこの「コンプライアンス」の問題も解決可能かもしれません。

ただし、静注に伴なうデメリットとしては、この提言でも指摘されていますが、インフルエンザ患者さんが、病院・診療所に一定時間とどまって、点滴静注を受けなければならないという点かと思います。

また、世界に先駆けての発売とのことですので、忘れてはいけないのが「副作用」のチェックです。

同じように世界に先駆けて発売した「イレッサ」は当初、過剰過ぎる期待感から安易に使用され、「薬剤性肺炎」により少なからず犠牲者をだした経験があります。(イレッサはその後EGFR遺伝子変異の有無をチェックして使用するという画期的な薬剤として復活いたしましたが)

新しい薬剤を必要としている患者さんは、私ども医療従事者の目の前にいつ訪れるかわかりません。
いつでも使用可能となっていることはとてもありがたいことですが、まだ「未知」の薬剤であるため、やはり「慎重」な投与姿勢が求められます。
また、発売当初3ヶ月~半年間くらいは、副作用情報に十分注意していきたいものです。

まとめ
・インフルエンザウイルス感染症の診療の最重要ポイントは?→重傷度の判定!!
   ・重傷度の規定因子
     ・呼吸状態:呼吸回数、SpO2、PaO2、PFratioなど
     ・血圧:ショックプレゼンテーションは即入院考慮!
     ・意識状態:意識障害を伴っていればインフルエンザ脳症やその他意識障害をきたす疾患の       鑑別を!
・抗インフルエンザウイルス薬の選択は?
  ・バイタルサインが安定していれば→タミフルorリレンザもしくは無投薬での十分な経過観察も選択 
   肢の一つか?
  ・経口や吸入ができない→ラピアクタを考慮(ただし今後の薬剤情報に十分に注意)

なにかございましたら是非コメント欄にお願いいたします。  

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