世の中「抗菌薬耐性菌」の話題が結構頻繁に出てくるようになりました。
「◯×病院で、抗菌剤が効かない~~菌が検出されました!」
なんて、ニュースがテレビや新聞・ネットなんかの情報に流れることもそれほど珍しくありませんね。
で、そういった「耐性菌」が検出された病院って「悪い」病院なんでしょうか?
さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、「耐性菌」が検出されたとマスコミをにぎわす病院は、実は「良い」病院なのではないか?と考えます。
ここで言う、「良い」or「悪い」の判断軸は「感染制御」という視点からのモノです。
感染症業界は大きく分けて、感染症患者さんそのものの診断治療に携わる「感染症診療」屋さんと、
病院の院内感染対策や、個人・集団・社会の感染対策を主に扱う「感染制御」屋さんに大きく分けられます。
今回問題にしている「抗菌薬耐性菌」の問題も「感染制御」屋さんにとってとても興味深い領域になるかと思います。
で、「耐性菌」が検出された(と報道される)病院がなぜ、感染制御屋さんの視点からは「良い」病院である可能性があるかというと・・・
「耐性菌」が検出されたという「事実」をしっかりと「把握」することが可能なシステムがしっかりと形成されているからかと思います。
「何言っているんだ?『耐性菌』なんて病院内に居ない方がいいに決まっているだろ!」
というお叱りの言葉も聞こえてきそうですが、そもそも「耐性菌」を検出すら出来ていない病院が「山」のようにたくさんあるのではないかと、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は推定いたしております。
適切な「細菌検査」を行わなければ、そもそも「抗菌薬耐性菌」は検出することさえ「できない」代物なのです。
だから、しっかりと抗菌薬が効かない「耐性菌」を検出出来ている病院、しかもそれを隠すこと無く「マスコミ」の皆様が報道出来ている病院というのは、「感染制御」屋さんの視点からはある意味「良い」病院と言えなくも無いのではないかと考えております。
そういった、ことがわかると「耐性菌を”ゼロ”にする魔法」も薄々気づかれるのではないでしょうか?
そうです!「細菌検査を行わない」ことで、「抗菌薬耐性菌」を見かけ上”ゼロ”にすることが可能なわけです!
あくまでも「見かけ上”ゼロ”」にするだけで、本当は「耐性菌」が蔓延しているのかもしれません・・・
しかし、そもそも「細菌検査」を実施しなければ、「耐性菌検出」の「証拠」すらのこりませんから、「診療記録」上は「耐性菌”ゼロ”」なんてマジックが可能になるんですね・・・
ただし、「培養(適切な細菌検査)なくして、正しい感染症診療無し」という原則を崩して、被害を被るのは患者となる皆様です。
入院中に「熱」がでたり、「ショック」(血圧低下)になったのに、「血液培養」などの適切な細菌検査がなされないために、原因が特定できず、わけわからない間に永遠の眠りについてしまった患者さん・・・
そんな患者さんがどれだけいらっしゃるのか、ブログ作者にはわかりません。
どのような検査・治療をしても「100%」救命することは困難なのは確かです。
しかし、「血液培養」などの「適切な細菌検査」によって、目の前の患者さんにどういった「微生物」が悪さをしているのか(もしくはしていないのか?)を知ることはとても重要なことであることはご理解いただけるかと思います。
その過程で検出された「抗菌薬耐性菌」ですから、検出されただけ「まだマシ」と考えていただけると幸いです。
「耐性菌を”ゼロ”にするとてもコワイ魔法」皆様ご理解いただけましたでしょうか?
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