2010年5月23日日曜日

世界初のがん予防ワクチン~B型肝炎ウイルスワクチン~

日本のワクチン業界は、今「子宮頸がん予防ワクチン」といろいろなところで記載されている


ヒトパピローマウイルスワクチン:「HPVワクチン」の話題が一番盛りあがっているのでしょうか?


「子宮頸がんワクチン」というインパクトのある呼称で、いろいろと普及に勤めたり、公費での接種に結びつけたりする努力をされているようです。


http://cervarix.jp/index2.aspx
(上記でグラクソスミスクライン社のサーバリックスWEB SITEにつながります)


「がん発症を予防するワクチン」としては、実は、10年以上も前から、有効性が確率されているワクチンがあります。


「世界初のがん予防ワクチン」であり、しかも10年以上も前から「日本」で使用されていたワクチンがあるなんて皆様御存知でしたか?


それが、「B型肝炎ウイルスワクチン」なのです。


世界初のがん予防ワクチンは、WHOのWEB SITEにその記載があります。


http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs204/en/
(上記URLでWHOのB型肝炎WEB SITEに接続します)


以下WHO WEB SITEからの引用です。


ポイント
Hepatitis B is a viral infection that attacks the liver and can cause both acute and chronic disease.
B型肝炎はウイルス感染症で、肝臓を障害する。そして、急性もしくは慢性の病態双方をもたらし得る。

The virus is transmitted through contact with the blood or other body fluids of an infected person - not through casual contact.
B型肝炎ウイルスの感染経路は?
  ・血液、体液の接触をとうしての感染で、カジュアルな接触では感染しない

About 2 billion people worldwide have been infected with the virus and about 350 million live with chronic infection. An estimated 600 000 persons die each year due to the acute or chronic consequences of hepatitis B.
20億人のヒトがB型肝炎ウイルスに感染した既往があり、3億5千万人が慢性感染状態にあると推定。毎年60万人が急性or慢性のB型肝炎感染に基づく原因で死亡されていると推定される。

About 25% of adults who become chronically infected during childhood later die from liver cancer or cirrhosis (scarring of the liver) caused by the chronic infection.
小児期にB型肝炎に感染した慢性感染状態の方のウチ、25%の方々が後に肝臓がんや肝硬変症などで死亡される。

The hepatitis B virus is 50 to 100 times more infectious than HIV.
B型肝炎ウイルスはHIVよりも50~100倍感染しやすい。

Hepatitis B virus is an important occupational hazard for health workers.
B型肝炎ウイルスは医療関連労働者の職業感染症として重要である。

Hepatitis B is preventable with a safe and effective vaccine.
B型肝炎は「安全」で「効果的」なワクチンにより予防が可能な疾患。

Hepatitis B is a potentially life-threatening liver infection caused by the hepatitis B virus. It is a major global health problem and the most serious type of viral hepatitis. It can cause chronic liver disease and puts people at high risk of death from cirrhosis of the liver and liver cancer.
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスによって引き起こされる潜在的に生命の危険性をもたらす肝臓感染症である。
世界的に主要な健康問題で、最も重大なタイプのウイルス肝炎である。
B型肝炎ウイルスは、慢性肝疾患の原因となりえ、人々を肝硬変症や肝臓がんによる「死亡」のリスクへと導く原因となりうるのである。

Worldwide, an estimated two billion people have been infected with the hepatitis B virus (HBV), and more than 350 million have chronic (long-term) liver infections.
世界中で、20億人がB型肝炎ウイルスに感染していると推定されており、3億5千万人以上が(長期の)慢性肝感染状態にあると推定されている。

A vaccine against hepatitis B has been available since 1982. Hepatitis B vaccine is 95% effective in preventing HBV infection and its chronic consequences, and is the first vaccine against a major human cancer.
B型肝炎ワクチンは1982年から利用可能となっている。
B型肝炎ウイルスワクチン接種により、95%がB型肝炎感染症そのものや、引き続き生じてくる満千的な病態を予防することが可能であり、
「主要なヒトのがんに対する最初のワクチンである」

HIVよりももっと、ず~っと感染しやすいウイルスであるB型肝炎ウイルス。

しかも、ワクチンが1982年にはすでに開発され、10年以上も前から日本でもこのワクチンが使用可能となっていたことを皆様御存知でしたでしょうか?

いまも日本中で、B型肝炎ウイルス感染から長い年月を経て発症する肝硬変症・肝臓がんへといたる患者さんが多数いらっしゃいます。

その原因となる「B型肝炎ウイルス」に感染することを予防するワクチンがあるなら、それを国が責任を持って国民全てに接種するのが、本当のB型肝炎対策の基本なのではないでしょうか?

WHOもしっかりと「安全性」「有効性」を示しているB型肝炎ウイルスワクチン。
皆様、是非この機会にまずは、「B型肝炎」は『ワクチンで予防可能な疾患』である事実を認識してください!

子宮頸がんワクチンとして、「HPVワクチン」を公費接種する動きがありますが、それよりも優先して「B型肝炎ワクチン」を先に公費接種するべきだとさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は考えております。
(もちろんHPVワクチンも公費接種できれば理想です)

一般の方々はもしかしたら、お怒りになるかもしれませんが、医師や看護師などの医療従事者の大多くはすでに「B型肝炎ワクチン」を接種されております。
なぜ、医療従事者が一般の方々にB型肝炎ワクチン接種を推奨しないのか研修医の頃から疑問に思っておりました。
自分たち医療従事者だけが、B型肝炎ワクチンの恩恵に預かっていていいのか?
広く一般市民の皆様にもB型肝炎ワクチンのメリットが享受できる時代が速やかに訪れることを希望いたします。

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