2010年5月29日土曜日

魔法のバイタルサイン

昨日は、2010年度第一回の若手医師セミナーに参加させていただきました。

https://secure.pfizer.co.jp/rseminar/index.php
(上記URLクリックでファイザー若手医師セミナーWEB SITEにつながります)

筑波大学の徳田安春先生が、バイタルサインをメインに、内科救急診療の基礎的事項をお話されておりました。

患者さんが重症かどうかは、検査結果をまっていては「遅すぎる」場合がしばしばあります。

救急搬送されてくる患者さんでは、それこそ病院到着「前」の救急隊からのバイタルサイン情報で、前準備が必要だったりもします。

呼吸器内科では、「気管支喘息重積発作」や「緊張性気胸」「肺血栓塞栓症」などで、緊急の処置・対応が必要な患者さんが救急搬送されてくる場合が多々あります。

場合によっては、「歩いて」上記のような重症患者さんが来院される場合も少なくありません。

救急車で来院される場合には、ある程度「バイアス」が働いて、「重症かも」と想定して対応するのでまだよいのですが、歩いて外来にいらしたときに、重傷度評価の能力が問われることがしばしばあります。

「歩いてきた患者さん」≠「軽症」

の原則?がありますが、救急外来では、しばしば『救急車』で来院された患者さんを「優先」してしまい、自力で歩いて来院された患者さんが「後回し」になる可能性をはらんでおります。

そこで、大事なのが「バイタルサイン」となります。

多くの救急医療機関では自力で来院された患者さんはまず、看護師の皆様がバイタルサインや簡単な病歴を取っていただき、トリアージを行っていただくことが多いのです。

この、最初にとられる『バイタルサイン』で、優先して診療させていただいた方が良い患者さんかどうかを見抜けるチカラがトリアージナースの皆様に求められているのでしょう。

また、近年、在宅診療・訪問診療が盛んになってきており、さいたま赤十字病院呼吸器内科でも近隣の在宅医療診療所や訪問看護ステーションにおねがいして在宅診療を依頼しております。

在宅ではいろいろな検査機器など使用するのはなかなかムズカシイ状況ですので、病院などに救急搬送するかどうかはやはり「バイタルサイン」で評価されることが必要なのではないかと思われます。

てっとりばやく、しかもなんの医療機器も必要とせず、測定できるバイタルサインってなんでしょうか?

さいたま赤十字病院』呼吸器内科ブログ作者の考える大事なバイタルサインは?

①意識状態:GCSやJCSで数値化!

②呼吸回数:20回以上は頻呼吸。30回以上は重大な疾患隠れている?

③脈拍:多すぎずのも少なすぎるのも大変!

④頚静脈:第5のバイタルサイン:徳田先生のお話で始めて知ったバイタルサイン!
(難しく考えずに、頚静脈(外頸静脈)が怒張しているか、虚脱しているかだけでも役に立ちます!)

上記4つは、時間と場所を選ばず評価可能な「魔法のバイタルサイン」かと思います。

病院の救急外来であれば、血圧計やSpO2モニター、体温計などいろいろな医療機器によるバイタルサインの評価が可能です。

しかし、在宅では、いろいろな医療機器がなかったり、こわれていたりしてはかれなかったりするバイタルサインがあります。

また道でだれかが倒れていたりしたら医療機器なんてなかったりするでしょう。

そんな状況でも①意識状態、②呼吸回数、③脈拍、④頚静脈 の4つの「魔法のバイタルサイン」はいつでもだれでも評価可能(トレーニングは必要ですよ~)なのです。

しかも、パッと見で、わかるものばかりですのでものの1~2分で、超重症患者さんは慣れてくればすぐに見分けることができるかと思われます。

さいたま赤十字病院のように3次救急医療機関では、いろいろな医療機器が使い放題?のためそれほど困らないのかもしれません。(それでもバイタルサインは大切です)

限られた医療資源しかない環境では、自分の五感(と時計)だけですぐに測定可能なバイタルサインの評価・利用方法に習熟していることはとても有力な武器となるのではないでしょうか?

次回は病歴と身体所見のお話のようです。

大事な内容は何回聞いても勉強になるものです。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、青木先生の「感染症診療の原則」のお話をいろいろなところで10回以上お聞きいたしておりますが、何回きいてもあらたな発見があるから不思議なものです。

よく研修医の皆様に「メモをとらない!」ようにお話いたしております。

メモをとっている時間があれば、お話をよく聞いて、その場で覚える努力をしたほうが手っ取り早いと考えております。

忘れちゃうんじゃない?という疑問にたいしては・・・大事なことは繰り返しなんども聞く機会があるから大丈夫!と説明いたしております。

そうです。なんどもなんども繰り返し同じ話を聞くこと。それが一番の勉強法なのではないか?とさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はつねに考えております。

皆様の明日からの勉強にすこしでもお役にたてれば幸いです。

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