2010年3月31日水曜日

さようなら~~

本日で2009年度は終了となりました。

2009年度は終了ですが、幸い「日本終了」ではありませんからそれほど騒ぎ立てることも無いのではないかと思います。

さいたま赤十字病院からも、他の様々な組織・機関と同様に多数の方々が去っていくようです。

さいたま赤十字病院での人生は如何でしたでしょうか?

「イヤな思いでしか無いよ~」とか、「辛かった・・・」とか思うこともあるかと思いますが、時が立つにつれて「マイナスイメージ」の思い出は自然に消えていくから不思議です。

せっかくですからさいたま赤十字病院に対する「良い想い出」=「プラスイメージの想い出」を大事にもっていていただけるといいのですが・・・それは去る方々次第ですので強制はできませんね。

冒頭に「日本終了」ではないので騒ぎ立てることはないと書かせていただきましたが、もしかしたら「日本医療終了」の足音はそれほど遠くないところまで近づいてきているのかもしれません。

「これからの日本医療をなんとか支えていってください」などと言うことを、さいたま赤十字病院から去っていく皆様に押し付ける気もさらさらないのですが、少なくともさいたま赤十字病院で学んだこと・身につけたことは他の医療機関にいかれても実践していただきたいと思います。

日本医療を救うためにはどうすればいいのか?

簡単な様で、実は非常にムズカシイ事なのですが、「正しい(と自分が信じる)」医療を日々実践しつづけることが日本医療を救うことにつながるのではないかとさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は考えております。

世の中、「正しいと信じること」を実践することが、どれだけ「大変」なことになってしまっているのか・・・

医療従事者人生がながくなればなるほど、実感されていることなのではないかと思います。

まあ、上記の内容は別に医療業界の事だけではなく、すべての業界に通じることではないかと思いますが・・・

たとえば、さいたま赤十字病院でも今では、「血液培養2セット4本採取」はスタンダードになっていて、現在血培2セット採取率が95%以上となっております。
2セット採取という事実だけではなく、血液培養採取セット数自体も3年前には1ヶ月あたり120~140セット程度でしたが、現在は1ヶ月に400~500セットが採取されるようになっております。
でも、初めからそんないうまく言ったわけではありません。
「血培2セット採取」と言っても、言うだけでは広がるはずはありません。
医師を対象に勉強会で、「なぜ血培2セット採取が必要なのか?」についてお話させていただいたり、実際に血培採取されるナースの皆様に血液培養勉強会を開催させていただき、採取方法のビデオを作成しそれを供覧していただいたり・・・
いろいろな工夫・努力があって初めて「正しいと信じる『血培2セット採取』の実践」が可能となったわけです。

「血液培養2セット採取」という「正しい(と信じる)こと」を実践するだけでも、何年間もの長い時間と労力がかかります。

「正しい(と信じる)こと」を医療業界で実践することはだれのためなのか?

それは「患者さんのため」なのです。

これまで「正しくない(と感じる)こと」を医療で実践していたのなら、それで「不利益」をうけるのは「患者の皆様」なのです。。。
長い目で見て「患者さんの利益」になる「正しい(と信じる)医療」は必ず普及していくはずです。


日々の医療現場で自分が「正しい」と思っていることを実践できる環境をつくっていくこと。

さいたま赤十字病院で身についた(ハズの)「正しいと(信じる)医療」を、他の施設にいかれても是非実践していってください!

ただし「正しいこと」は日々変化していく可能性があります。ここがなかなか理解されず、「正しいこと」を実践するのをムズカシくしているのではないかと思います。

10年前に「正しいこと」は、現在も「正しいこと」とは必ずしも言えません。

なので、いろいろな情報に敏感になり、常に今現在自分が行っている医療行為は「ホントウに正しいの?」という視点で自分を見つめ直していくことが求められております。

最後になりましたが、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、さいたま赤十字病院を去っていく皆様が「エラく」なっていろいろなところで皆様のお名前などをお見かけすることが夢です。

「あいつ昔はドジばっかしてたのに・・・優秀な医者になったなあ~」とか言えるようになることがブログ作者の「希望」です。

私の「夢」や「希望」を去っていく皆様、是非かなえてくださいね~

2010年3月30日火曜日

第104回医師国家試験合格・不合格発表

2010年3月29日に、医師国家試験の合格・不合格発表があったようです。

第104回医師国家試験結果など
http://www.tecomnet.jp/op/104/104.asp
(上記URLでテコムの医師国家試験情報WEB SITEにつながります)


よく、国家試験結果の発表を「合格発表」といいますが、実は同時に「不合格発表」でもあります。

合格率100%の試験ではないわけですから「不合格」であった受験者の皆さまもいらっしゃったはずです。

医師国家試験を含めて、いろいろな資格試験については、合格することが「仕事」につながる試験となります。
「不合格」ということは、その時点で目指す「職業」に就けないということを意味しております。

でも、別にチャンスは1回だけではありません。日本で医師になりたければ、来年度再受験すればいいだけのはなしですからね。
また、医学部卒業したからといってかならずしも「医師」にならなければいけないわけではありません。
医師国家試験など受験しなくても、研究者の道やその他の職業につく「自由」は当然のごとくあります。そういった新たな道を探してみるのも悪くは無いのかもしれません。(むしろこういう時代には医師以外の道を目指したほうが「幸福」なのかもしれません・・・)

第104回医師国家試験に「合格」された皆様へ

現在の医療をとりまく環境を考えると。「医師国家試験合格おめでとうございます~!」と手放しに喜べる状況ではないと思われます。(少なくともさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はそう考えます)

医師にならなければ、「医療ミス」と後ろ指刺されるようなことは無いと思いますし、激務に耐えるような苦痛も感じずにすんだかもしれません。
臨床医をやっているからには多くの「ヒトの死」にも直面いたします。
別の医師なら「救えた命」だったかもしれない・・・と「後悔」するような状況も多々あるかもしれません。
でも、そういう医療をとりまくさまざまな社会状況があることは承知の上で医学部に入学し「医師」をめざしてこられたのだと思います。

「医師」になってしまったのだから、そこはなんとか「一流」の医師を目指して努力して頂いたほうがいいのではないか?と個人的には考えております。

その「選択」「決断」が「成功」だったのか?「失敗」だったのか?

その答えは遠い「未来」にかならずでるものかとおもいます。

第104回医師国家試験に合格された皆様の「未来」が明るいものになることを祈念いたします!

さいたま赤十字病院で初期研修を行われる皆様へ

初期研修は「ラク」をしようと思えばいくらでも「ラク」できます。
逆に、一生懸命やろうとしたら、どこの施設でも「大変」かと思います。
どのような初期研修期間をすごされるか?でその後の「医師」としての人生は変わってくるのかな?と思います。
これからの「勉強」は他人にやらされて仕方なくやる「お勉強」ではなく、自ら進んで学ぶ志が必要な真の「勉強」となります。
いろいろなものに興味をもって、知識・経験・技術の「獲得」をされることが将来の「幸福」につながるのではないかと思います。

以前も記載させて頂きましたが、さいたま赤十字病院を研修病院として「一流」にすることが、ブログ作者の「目標」の一つと考えております。

研修病院が「一流」かどうかの評価は、その研修施設出身の「医師」で「評価」されます。

さいたま赤十字病院で初期研修終了された先生方が、他の施設にいかれて、「一流の医師」と呼ばれるような未来がくることを切に望みます。

2010年3月25日木曜日

考えるアタマ

ヒトは何かを考える時には必ず頭の中の脳を働かせているはずなのですが…

普段いろいろと考える事をしていても、脳が疲れた!とは感じないのはとても不思議に思っています。

走ったり、泳いだりすればカラダは疲れるのですが、勉強しても脳が疲れたとは皆様言いませんよね?

でも勉強したり本を読んだり時には講演を聴いたりしたときには、非常に眠くなったりしますね〜

眠気は脳の疲れのサインだったりするのでしょうか?

でも十分に睡眠とっていてもムズカシイお話聞くと眠くなるのはなんでなんでしょうかね?

呼吸器内科の魅力

日本全国に、呼吸器内科を標榜している診療科・病院がどれだけあるのか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は調べたことがないので知りませんが(知っていたらどなたか教えてください)呼吸器を専門としていても、独立した呼吸器内科を標榜している医師・医療機関はそれほど多くないのかな?と考えております。

急性期病院で「ウチは呼吸器疾患の患者さんを診療していません!」という病院はおそらく無いのではないかと思います。

「肺炎」は立派な呼吸器疾患ですから、「肺炎」を診療している医療機関は、「専門」かどうかに関わらず「呼吸器疾患」を診療している医療機関となるかと思います。
ほかにも、「喘息」や「COPD」などのCOMMON DISEASEが多いのも呼吸器疾患の特徴かもしれません。

急性期病院で、「肺炎」も「喘息」も「COPD」も診療していません!という病院はおそらく日本中にそんなに無いのではないでしょうか?

そうです。呼吸器専門医ではなくても「呼吸器疾患」は「内科医」であればある程度診療することを求められる疾患なのです。

そういう理由なのかどうかしりませんが、内科系の各専門領域でも「呼吸器」については、独立していない医療機関が多いようなきがしております。
実は、さいたま赤十字病院も、数年前までは「内科」と一括りにされてしまっていて、独立した「呼吸器内科」ではありませんでした。

現在は、スタッフ5人・レジデント2人の総勢7人で診療を行う独立した呼吸器内科として日々診療や教育・学会活動を行っております。

それでは、本題の「呼吸器内科の魅力」とはどういったものか?

まずは、先程も記載したように、COMMON DISEASEが多く、患者さんの「数」が圧倒的に多いのが特徴かと思います。外来でも入院でも患者数が内科系各診療科のなかでも多い方の診療科のため、呼吸器内科医の「必要度」は相当高いと自負いたしております。

また、3大領域にわたって様々な疾患の診療・勉強を行える!のも呼吸器内科の特徴の一つかとお考えます。

・悪性腫瘍

・感染症

・アレルギー・自己免疫疾患

肺癌、悪性胸膜中皮腫などの「悪性腫瘍」。

肺炎、肺真菌症、肺抗酸菌症などの「感染症」

気管支喘息、特発性間質性肺炎/肺線維症、膠原病肺などの「アレルギー・自己免疫疾患」

上記3大領域の疾患の患者さんが外来・入院でいろいろな「主訴」を携えて呼吸器内科にやってまいります。

「息苦しい~~!」という、同じ主訴でも、ある人は「肺炎」だったり、またある人は「癌性胸膜炎」だったり、またまたある人は「肺動脈高血圧症」だったり・・・

同じ主訴でも、いろいろな疾患が背景に隠れていて、それをまさに名探偵のごとく、診断に結びつけていく面白さは呼吸器内科医の醍醐味かもしれません。

治療学も、肺炎などの感染症での抗菌剤使用方法、肺癌の抗がん化学療法、間質性肺炎のステロイド・免疫抑制剤使用方法などなど・・・

呼吸器疾患の治療学の進歩は目をみはるものがあります。

しかも、各3大領域すべてにわたって最新の治療学にふれることができる診療科はそれほど無いのではないかと思っております。

こんな興味深い(と思っている)呼吸器内科医を是非目指してみませんか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科では、医学部学生の皆様、初期研修医の先生方の見学を随時募集いたしております。

自由度の高さは、おそらく日本一?かもしれないさいたま赤十字病では、呼吸器内科医を目指す皆様のお越しを心からお待ちいたしております。

見学希望者の皆様は下記メールアドレスに「見学希望」のメールを送信してください。
srcrespiro@gmail.com 

2010年3月22日月曜日

呼吸器疾患の一般的な解説:一般市民むけ

日本呼吸器学会のWE SITEで、呼吸器疾患の主要なものの一般市民の方むけの解説をみることができます。

http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=1
(上記URLで日本呼吸器学会WEB SITEにつながります)

呼吸器内科を受診される患者さんからの質問が多い疾患についても簡単ですが、解説が掲載されております。

特発性間質性肺炎(特発性肺線維症など)
http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=20

肺非結核性抗酸菌症(肺非定型抗酸菌症)
http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=7

上記2疾患は、呼吸器内科で比較的頻度の高い疾患ですが、説明がなかなかムズカシイ疾患でもあります。

上記WEB SITEの説明などもご参照いただけば、病気に対する理解が深まるかもしれませんね。

2010年3月21日日曜日

医療制度研究会

日本の医療制度など医療に関わる様々な問題を医療従事者の視点から考えていらっしゃる皆様のWEB SITEです。

http://www.iryoseido.com/
(上記URLで医療制度研究会のWEB SITEにつながります)

こちらの活動を頑張っていらっしゃる本田宏先生と、ツイッター上でお話させていただく機会があり、今回ご紹介させていただきました。

現状に文句をいう医療従事者はとても多いのですが、実際に”CHANGE"するために行動されているヒトがどれだけいるのかは非常に疑問なところです。

以前はやった「逃散」という方法も、もう限界かもしれません。

すでに医師には「逃散」する場所は日本国中にはないかもしれませんから。。。

語学堪能で海外に「逃散」できるヒトはよいのかもしれませんが、私を含めて日本でなんとかやっていこう、日本の医療を良くしていこうと考えているヒトは「文句」をいうだけではだめなのです。

本田宏先生は済生会栗橋病院という埼玉県の北東部に位置する栗橋町というところの病院で、副院長をされております。

さいたま赤十字病院同様、埼玉県の医療になくてはならない病院で活躍されているため、大変な医療現場(特に埼玉県)の実情をよくご存知なのかと思います。

どのような、立場、地域でも、少しでも良い方向に「改革」していこうとする「意思」を持つことが重要かと思います。
できれば、その「意思」をなんらかの形で「表明」できる「勇気」があればそれが理想かと思います。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者も本田先生方の活動を陰ながら応援していきたいと思っております。

肺ノカルジア症のまとめ

☆肺ノカルジア症のまとめ

1999年~2009年まで、日本呼吸器学会雑誌掲載
キーワード:Nocardiosis、ノカルジアで検索→Total19編うち1編は肺ノカルジア症治療経過中にノカルジア脳膿瘍発症の同一症例のため除外。以下まとめ記載します。


・日本呼吸器学会雑誌掲載論文1999年~2009年まで

・Total 18編
・掲載雑誌名:症例:基礎疾患:発見契機:ノカルジアを疑った検体検査:治療薬:入院後ノカルジアに最適な治療方法にたどり着くまでの日数

・1999;37(2):54歳男性、クッシング症候群:胸部異常陰影、気管支内採痰グラム染色所見→培養陽性Nocardia asteroides ST+IPM 不明
・2000;38(9):55歳女性:Evans症候群ステロイド内服:発熱・喀痰、咳嗽:気管支洗浄液培養陰性:CTガイド下肺生検培養陽性:Nocardia farcinica:ST+SPFX:57日間
・2000;38(11):74歳男性:生来健康:発熱、湿性咳嗽、呼吸困難:BALF抗酸菌塗沫陽性:Nocardia otitidiscaviarum:CAM+AMK:20日間
・2001;39(3):35歳男性:クッシング症候群:咳嗽、血痰:喀痰グラム染色陽性:Nocardia otitidiscaviarum:ST+PAPM/BP 35日間
・2001;39(5):70歳男性:ネフローゼ症候群ステロイド:ST予防投与あり:経皮肺吸引生検培養:Nocardia asteroides:ST:40日間
・2001;39(7):52歳女性:多発性筋炎ステロイド+サイクロフォスファミド内服、糖尿病:湿性咳嗽:喀痰グラム染色陽性:IPM/CS+MINO→ST:18日間
・2002;40(8):55歳男性:糖尿病:胸部異常陰影:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:ST+SPFX 不明
・2004;42(9):59歳女性:自己免疫性肝炎ステロイド:胸部異常陰影:CTガイド下生検グラム染色所見陽性:Nocardia nova:ST:2日間
60歳女性:急性骨髄性白血病:頭痛:血液培養:Nocardia nova:CPR
         25歳男性:骨髄移植後ステロイド内服:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia nova:ST
39歳男性:急性免疫不全症候群?:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:ST
31歳男性:骨髄移植後ステロイド内服:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:ST+IPM/CS
80歳女性:多発性骨髄腫ステロイド内服:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:IPM/CS+MINO
50歳女性:気管支喘息:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia farcinica:LVFX
               55歳男性:再生不良性貧血ステロイド内服:喀痰グラム染色陽性:Nocardia cyriacigeorgica:ST+IPM/CS
・2004;42(10):62歳女性:発熱:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:MINO:20日間
・2005;43(6):52歳女性:自己免疫性溶血性貧血ステロイド内服:胸痛・発熱:経皮生検グラム染色所見陽性:ST:不明
・2007;45(8):46歳男性:SLEステロイド:発熱・全身倦怠感:喀痰グラム染色所見陽性:Nocardia asteroides:ST:3日間
・2007;45(12):73歳男性:無気肺:胸部異常陰影:喀痰グラム染色陽性:Nocardia asteroides:ST:不明
・2008;46(12):56歳男性:糖尿病、アルコール性肝硬変:頭痛・全身倦怠感・構音障害:ノカルジア脳膿瘍契機:Nocardia farcinica:ST:43日間
・2008;46(12):76歳男性:気管支喘息吸入ステロイド:呼吸困難:気管支洗浄液グラム染色陽性:Nocardia spp.:ST:20日間
・2009;47(6):18歳男性:生来健康:発熱:胸腔鏡下肺生検グラム染色所見疑い例:UNKNOWN:ST→MINO→モキシフロキサシン:19日間
・2009;47(7):51歳男性:気管支拡張症:胸部異常陰影:気管支鏡下採痰グラム染色所見:Nocardia cyriacigeorgica +Nocardia farcinica:ST:不明
・2009;47(8):49歳女性:クッシング症候群:左胸痛:胸水培養陽性:Nocardia asteroides:ST:22日間
・2009;47(4):53歳女性:びまん性汎細気管支炎:発熱・血痰:気管支吸引痰グラム染色所見:Nocardia farcinica:ST+LVFX:46日間

☆何らかの検体のグラム染色所見が診断の契機となった症例:19症例(Total25症例中)

☆喀痰のグラム染色が診断契機となった症例:14症例(Total25症例中)

ノカルジアは培養陽性となるまである程度培養時間が必要(2日間~21日間):
肺ノカルジア症の適切な治療にたどり着くまでの時間は喀痰グラム染色所見が診断契機となったものが最も早いか?

そもそも肺ノカルジア症の早期診断は「グラム染色」などの塗沫所見の検鏡以外では、一般市中病院では困難なはずです。
大学病院などの研究施設では、遺伝子同定検査などを迅速に行うことができるのかもしれませんが、一般市中病院ではムズカシイです。
グラム染色でノカルジアを疑わせる菌が検鏡で見えても培養されてこない場合が結構あるわけですから、培養陽性だけを拾っていたのでは、もしかしたら肺ノカルジア症を見逃してしまう可能性があると考えます。逆に、コンタミネーションの可能性が十分に考えられる菌ですので、グラム染色で見えてないのに、培養陽性や遺伝子同定検査陽性のみで肺ノカルジア症と診断するのも如何なのか?と考えます。

上記は、2010年3月26日の日本呼吸器学会関東地方会の発表の為に勉強したものです。
ご参照いただけましたら幸いです。

最近ノカルジアの同定では遺伝子学的な同定が腫瘤となっております。

上記症例報告はノカルジアの遺伝子同定がほとんどなされていないため、できれば遺伝子同定をし直しての再掲載ができればいいのですが、、、なかなかそこまでは難しいのでしょうね。

2010年3月19日金曜日

カウンター30000突破!感謝いたします

本日、カウンター設置6ヶ月ちょっとで30000カウントを突破いたしました!

ここ迄これましたのも、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様が見捨てないでお越しいただいたお陰かと思っております。

大変ありがとうございました。

これからもブログ作者が興味を持ったことをいろいろと書いていこうと思います。

末永くお付き合いいただけましたら幸いです。

次は100000カウント目指していこうかな?

ケンキポーター開封後


上記写真は、嫌気ポーター開封「後」しばらくたってからの写真です。

開封「前」の写真では、一番下のゼリー状の部分が透明~白でしたが、

酸素に触れることで、ピンク色に変色しているのがわかります。

酸素に触れているので上記のような嫌気ポーターは使用不可みたいです。

青いキャップをはずしてすばやく検体を入れてすぐにふたをする。

5秒以内に行うとOKのようですが、慣れていないと手間取って酸素が入ってしまいそうです。

ケンキポーター開封前


上記写真は、嫌気ポーター開封「前」の写真です。

一番「下」の部分にゼリー状の物質が入っておりますが、嫌気状態が保たれていると、

その部分が透明~白っぽくなっています。

ケンキポーター


嫌気ポーターってご存知でしょうか?

さいたま赤十字病院では、胸水、腹水などの細菌検査には上記の嫌気ポーター

を用いております。

どういった場合に嫌気性菌感染症を疑うか?とか言っているとややこしいため、胸水・腹水などではほぼ全例に嫌気ポーターを使用しております。

嫌気ポーターという名前ですが、好気性菌の検出にも使用できますので、嫌気ポーターのみの提出で通常は問題ないのかと考えていましたが、血液培養ボトルに腹水・胸水を入れて原因菌検出感度を上げる工夫をされている施設もあるようです。
(当院の消化器内科でも一部血培ボトル使用されております)

2010年3月17日水曜日

第501回呼吸器臨床談話会のご案内



毎月第4金曜日に開催されております、呼吸器臨床談話会。

今回は、さいたま赤十字病院呼吸器内科からも演題を出させていただきます。

皆様、是非ご参加いただき、診断名を当てていただけましたら幸いです。

この勉強会での症例提示は、画像診断がポイントとなる症例が多いのですが、

そこはさいたま赤十字病院呼吸器内科らしく?変化球でいこうと考えております。

診断学の「基本」を押さえていただければ、自ずと診断につながるのではないかと考えます。

第501回呼吸器臨床談話会のご案内


日時:平成22年3月26日金曜日 午後6:30~

場所:上記地図をご参照ください:最寄り駅は三越前です
東京都中央区日本橋本町2-2-6
田辺三菱製薬株式会社 10階 101会議室

参加費:1000円:お弁当がでますよ

司会:杏林大学 呼吸器科 皿谷 健先生

症例提示施設

①さいたま赤十字病院

②杏林大学

③杏林大学

お弁当の用意の都合上、前日までにご出席人数を下記田辺三菱製薬学術課の土屋様のメールまでご連絡するようにお願いいたします。

問い合わせ窓口
・田辺三菱製薬株式会社
東京支店 医薬部 学術課 土屋様
参加申し込みメール:mtpc.danwakai@cc.mt-pharma.co.jp

おそらく、参加申し込みは、各後施設の田辺三菱製薬MRの皆様に直接お伝えされた方がはやいかもしれません。

杏林大学呼吸器科は、一度に2症例も提示されるんですね。
有名な呼吸器科には患者さんがたくさん集まってくるという証拠かもしれません。

共催 呼吸器臨床談話会
田辺三菱製薬株式会社


パンデミックインフルエンザワクチン余ってます・・・

輸入ワクチンが大量に余る可能性があるようです。

ニュースサイトによると、ノバルティス社とグラクソ・スミスクライン社の両社から、1000億円以上もかけて輸入された、パンデミックインフルエンザワクチン。。。

合計9900万回接種できるだけの量があるとのことです。

今、さいたま赤十字病院でも、「新型インフルエンザワクチン」は忘れ去られた存在になっております。

でも、皆様去年の5月頃をよ~く思い出してください。

世界中が「新型インフルエンザ」や「ブタインフルエンザ」という言葉に恐れおののいていました。

また9~10月頃には早くワクチンできないのか?とか、ワクチン接種できるようになったらすぐに接種して欲しいと言う人々が、毎日たくさん病院に訪れておりました。

「大人気」だったはずのパンデミックインフルエンザワクチン。。。

もうほとんどの皆様が見向きもしなくなってしまった存在ですが、せっかく高いお金を出して輸入したワクチンですからそのまま廃棄されるなんて勿体無いことはしてほしくはありません。

そもそもインフルエンザワクチンというものは、接種後どのくらいの期間「有効」なものなのでしょうか?

http://www2.takedamed.com/content/search/doc1/pdf/127.PDF
上記URLでタケダインフルエンザHAワクチン添付文書PDFにつながります

上記インフルエンザワクチンの添付文書からの引用が下記です


「インフルエンザHAワクチンを3週間隔で2回接種した場
合,接種1箇月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する。
接種後3箇月で有効予防水準が78.8%であるが,5箇月では
50.8%と減少する。効果の持続は,流行ウイルスとワクチン
に含まれているウイルスの抗原型が一致した時において3箇
月続くことが明らかになっている。基礎免疫を持っている場
合は,ワクチン接種群における有効予防水準は,3箇月を過
ぎても維持されているが,基礎免疫のない場合には,効果の
持続期間がさらに1箇月近く短縮される」

ということは、そもそも、昨年末に接種された日本製のワクチンは、3週間間隔で「2回」接種された場合には5ヶ月後には50%程度に減少してしまうということのようです。

ほとんどの成人の方々は、日本製のワクチンを「1回」接種されただけですから、5ヶ月以下程度しかワクチンによる免疫力が維持できていないのでしょうかね?

なので、「私は昨年新型インフルエンザワクチン接種しました!」という人々も、実はすでに新型インフルエンザに対する免疫力がかなり低下してきている人々がいるのではないか?と推測されるのではないかと、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は危惧いたしております。

しかも、昨年の「新型」インフルエンザは「夏」でもお構いなしに流行しておりました。

そこで、余っていると言われている輸入「パンデミックインフルエンザワクチン」せっかくですから有効活用すればよいのではないか?とブログ作者は考えます。

どうせ余っていて「廃棄」される可能性があるのなら、被接種者の自己責任の元で、「タダ」で接種できる機会を作っては如何でしょうか?

「無料」で接種していただく代わりに、副反応などのデータ収集に協力していただき、これからのインフルエンザワクチンの臨床研究に貢献していただくというのは如何でしょうか?

「そんなコワイワクチンは接種できません。。。」というヒトは接種しなければ良いだけかと思います。


輸入ワクチンが日本製インフルエンザワクチンよりも副作用が強い「イメージ」を持たれているようにも見受けますが、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者もワクチンそのものすらみたことが無く、ましてや接種された患者さんに感想など効く機会は全くないため、ほんとうに副作用がどれくらい生じるのか?わかりません。

アジュバンドという添加物が入ることにより、どれくらい有効性が増しているのか?副作用がどれくらいなのか?興味がつきない輸入ワクチン。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は、接種させていただく機会があれば是非とも接種してみたいと思っております。


そういえば、当初、ワクチン余ったら、発展途上国にワクチン援助するとか言う話はどうなったのでしょうかね???

2010年3月13日土曜日

辛そうで辛くない少し辛いラー油


名前のセンスが抜群によく、惹かれてつい買ってしまいました.

焼き餃子にかけて早速食べてみましたが、「辛そうで辛くない少し辛いラー油」だけで十分に食べられる味付けとなっております。
にんにくの香りが強いため、そこら辺はすこし気遣いが必要かもしれませんが。

醤油などを追加しないでもほどよい味付けとなるため、もしかしたら塩分を控えることにも役立つ魔法の調味料かもしれません。

「効きそうで効かない少し効く薬」とかだとちょっと困りますが、この「辛そうで辛くない少し辛いラー油」は高血圧症などで、塩分制限をしなければいけない方とかにもしかしたら役立つのかもしれません(あまり根拠無く書いているので、間違っていたら教えてください)

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はしばらくの間ハマリそうな感じです。

2010年3月10日水曜日

なぜ入院時胸部レントゲンをとらなければいけないか??

入院する患者さん「全て」に胸部レントゲンをとることは必要か?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者の上記質問に対する回答は”YES"です。

それは何故か?

日本は結核の「中蔓延国」です。肺結核もそれほど珍しいことでは残念ながらありません。

なので、「骨折で入院するのに『胸部レントゲン』なんて必要ないジャン!」ということはできないのです。
入院時に撮影する「胸部レントゲン」の最大の意義は

「活動性肺結核を見逃さないこと」

とさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はいつも研修医の皆様や他科の先生方にお話いたしております。

入院患者さんの中には「免疫力の低下」している患者さんが多数いらっしゃいます。
このような病院のなかで「結核が広まること(院内感染)」を防止するためというのが最重要ポイントと考えます。

入院時の胸部レントゲンを

「肺結核を見逃さないために撮影する」

という理解をしていただくと、「もしかして結核?」とおもったらすぐに呼吸器内科医に相談することができるのです。

胸部レントゲンだけで、肺結核がすべてわかるわけではありませんが、救急外来などでは、「意識障害」などがあり、「咳・喀痰」などの症状を聴取することが困難な患者さんも珍しくはありません。
また、「ひとりぐらし」の患者さんが増加していて、家族や周囲の方に患者さんの症状を聞きたくても「誰もいない・・・」なんて状況も非常に多くなっております。

だからこそ「胸部レントゲン」が大切なのです。
「胸部レントゲン」を診る前に「入院」そのものは決定して良いのですが、入院する「場所」は決定してはいけないと言っております。(個室が必要かどうかの判断のため)

もちろん呼吸器内科医以外の先生方「結核かもと疑うこと」以上のことを求めるのは難しいと思います。

「もしかして『結核』?」という「眼」で入院時胸部レントゲンをみていただければ必要かつ十分なのではないかと考えております。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様で、「なんで必要のない胸部レントゲンなんて撮らなきゃいけないの?」とこれまで御感じの方々がいらっしゃいましたら、発想を上記のように”CHANGE"していただけましたら幸いです。

患者さんたちにお願いしたいのは、入院時の胸部レントゲンの最大の目的が

「肺結核の除外」

である以上、それ以上の詳細な評価を求めるのは臨床医にとっては「ムズカシイ」ということになります。
ですから、「このまえ入院時に胸部レントゲン撮ったから今年は「肺癌検診」受けなくても良い」
という考え方は危険であることをご理解ください。

「肺癌検診」の胸部レントゲンと「入院時胸部レントゲン」は「目的」が違うからです。

実は、入院時胸部レントゲンは十分な条件で撮影されていないことも良くあります。

体位が「寝た」状態であったり、「呼吸停止」ができていなかったり、「吸気不十分」であったり。。。

このような「十分でない条件の胸部レントゲン」で詳細な評価をすることはムズカシイのです。

皆様のご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

さいたま赤十字病院での結核診断方法

「結核」というと、皆様「肺結核」を想定される方々が多いと思いますが、実は結核菌がヒト感染症を起こす臓器は、体中全ての臓器にわたります。

もちろん、侵入門戸としての「肺・呼吸器」感染症が頻度としては多いかと思われますが、「肺外結核」というのもそれなりの患者さんがいることはアタマに置いておかなくてはならないかと思います。

先日の日本呼吸器学会関東地方会で私どもが発表させていただいた演題では:脾臓結核でした
http://www.jrs.or.jp/home/uploads/photos/575.pdf


☆ 病理組織標本の遺伝子検査で確定診断した脾結核の一例
さいたま赤十字病院 呼吸器内科1)、さいたま赤十字病院 病理2)、
岐阜大学 大学院 医学系 研究科 病原体制御学分野3)

「症例は78 歳女性。1995 年にC 型肝炎を指摘。2008 年9 月肝細胞癌を認め、肝部分切除術を施行。2009 年8月、1 年半前より認めていた脾臓の低吸収域が増大。可溶性IL2 レセプター上昇から悪性リンパ腫が疑われ、脾臓摘出術が施行された。脾門部リンパ節、脾実質内にLanghance 型巨細胞及び乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め、脾臓のパラフィン切片からPCR 法により結核菌と診断した。稀な症例と思われ報告する。」

人間の体中に感染する可能性のある病原体「結核」ですが、感染制御の観点からはヒト~ヒト感染の可能性が最も高くなる「肺・気管支・喉頭」などの結核の早期発見が大切なのでしょうか?

ちなみに、一般的には、「肺結核」よりも「気管支・喉頭結核」の方がより感染が広がりやすいと言われているかと思いますが如何でしょうか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科で遭遇する頻度の高い「結核」は「肺・気管支結核」と言うことになりますが、「気管支結核」については、それほど頻度が高くなく、「肺結核」がやはり圧倒的に多いかと思います。

また、たまに「粟粒結核」という全身の血流感染症としての「結核」にも遭遇いたします。
膠原病・リウマチ領域の治療薬や、免疫抑制状態の患者さんで「粟粒結核」の頻度がそれなりにあるかと思われます。

では、本題の「さいたま赤十字病院呼吸器内科ではどのように診断しているか?」ですが、、、

①喀痰症状のある患者さんでは、可能な限り喀痰抗酸菌塗沫・培養検査を実施する

②自覚症状がない患者さんで、胸部画像(レントゲン・CTなど)で肺結核が否定できない場合には、
・早朝空腹時の胃液採取:夜間就寝中に喀痰を意識しないで飲み込んでいるので:呼吸器由来検体の扱いです
・誘発喀痰:3%高張食塩水20mlをネブライザーで吸入して誘発喀痰採取
・胸部画像の定期的なフォローアップ:数週間~数カ月単位で
・参考所見としての「クォンティフェロンTB-2G」検査の実施

③各種臨床状況から「肺・気管支結核」を強く疑うも他の検査で確定診断がえられなければ・・・
・気管支内視鏡検査での組織・微生物学的診断(ただし検査スタッフの結核感染のリスクがあるため、その他の検査でどうしても診断できない時のみに施行)

という感じです。
クォンティフェロンTB-2G(QFT-TB2G)検査は、だいぶ普及してきたように思いますが、クォンティフェロンTB-2G検査「陰性」の肺結核患者さんの経験もしばしばありますし、逆にクォンティフェロン「陽性」の活動性肺結核以外の病期(肺癌など)も経験いたしております。

あとは、肺野の孤立結節影(まあるい病変)で、「結核?」vs「肺癌?」(もしくはその他?)が問題となって、手術切除してみたら「結核」だった(逆に「肺癌」だった)なんて経験もよくいたしております。

得られた検体をどのような検査項目に提出するか?やどのように保存しておくか?も実は大切です。

喀痰や胃液、気管支洗浄液などは
・塗沫:チールニールセン法:さいたま赤十字病院細菌検査室で施行
蛍光法:こちらの方が感度高いですが、当院では外注検査
・培養法:小川培地:試験管の中にライトブルーの斜面培地が入っていてそれに塗布
結果がでるのが結構遅い4~8週間程度:院内で可能
MGIT法:液体培地による方法:小川培地よりも検出スピードが早い1~6程度
さいたま赤十字病院では外注検査  
・結核菌の遺伝子を直接検出剃る方法:PCR法など:保険適応の「縛り」がきついため慎重に
(結構保険で「切られる」ことが多いため、喀痰そのものから提出するのはよほど自信があるときのみになります。通常はMGIT培養陽性検査や小川培地陽性検査の「菌株」を用いて遺伝子同定検査を行っていただいております。

組織検体
・病理学的検査:乾酪壊死を伴なう類上皮細胞肉芽腫などの証明:実は結核菌と証明できるわけではありません。。。
・組織の結核菌遺伝子検査:ここで重要なのは、組織の「全部」をホルマリン漬けにしてしまうと、後に「もしかして結核?」と組織結果がでてきてもなかなか遺伝子検査に検体を使うことができなくなってしまいます。なので、「もしかして結核?」ということを頭の片隅においておいて、はじめからホルマリン漬けにしない検体を一部とっておいて、別に保存しておくなどの工夫が必要かと思います。

重要なこと

・喀痰抗酸菌塗沫陽性≠肺結核

・胸部レントゲン所見結核っぽい≠肺結核


という点かと思います。臨床症状・所見、胸部レントゲンなどから「肺結核」を疑い、喀痰などの検体で抗酸菌「塗沫」検査を提出。
結果、「先生!ガフキー2 号です!!」とか言われると、[オーッ結核だな!」と早とちりしてしまうことが、いまでもしばしば見受けられます。。。

しかし、抗酸菌=結核ではありません。。。結核以外の抗酸菌の存在(非結核性抗酸菌といいます)も常に頭に置いておかないと痛い目にあうことがあります。。。


ご意見・ご感想などありましたらコメント欄にお願いいたします。

2010年3月8日月曜日

見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・

「感染症診療の原則」という日本の感染症業界のリーダー的存在のブログで

「集団結核:複数の医療機関が見落とし」という記事が掲載されていました
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/4e674bff830227f62a428ffc23d3b042
(上記クリックで「感染症診療の原則」WEB SITEにつながります)

ニュースの一部に「誤診した医療機関」という言葉と、「レントゲンを撮れば結核だとわかるのに」という記載がありました。

http://sankei.jp.msn.com/life/body/100308/bdy1003081640000-n1.htm
(上記クリックで産経ニュースWEB SITEにつながります)

こういった「言葉」がさらに医療機関が「胸部レントゲン」を撮影することを遠ざけているということが
わからないようでは、今後もこのような症例が増加してくのではないかとさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は危惧いたしております。

それはどういうことか?

おそらく、医師の多くは、「2週間以上咳症状がつづけば『結核』を疑う!」ということは「常識」としてインプットされているかと思います。

しかし、胸部レントゲンを撮影して、自分が万が一所見を「見逃し」したら、それこそ「大問題」になりかねません。

「胸部レントゲン写真」は文字どおり「証拠写真」として残り、訴訟となれば裁判の「ネタ」にされかねません。

こうなると、自己防衛としては、なるべく「胸部レントゲン」を撮影しないという方法をとらざる終えない医療機関・医療従事者もあるかと思います。

名づけて「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」です

しかし、そのような風潮でよいのか?

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はそのような寂しい状況を「仕方がない」と諦めてしまうのもどうかと思います。

どのようにすれば胸部レントゲン読影の「見逃し」をすくなくすることができるのか?という点に着目するべきかと思います。

有名な胸部画像のスペシャリストの先生でも、100%「見逃さない」読影というのは困難であるとお聞きしたことがあります。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者だって、もちろん「見逃し」を絶対にしないなどという自信は全くもってアリマセン(自慢することではありませんが。。。)

でも、いろいろな方法で「見逃し」を減らす「努力」はしております。

一、レントゲンはなるべく複数で読影する

二、可能な限り過去に撮影されたレントゲンと比較読影する

三、他に頼れる医師がいない場合には、一日(もしくは一週間)に撮影されたレントゲンを集めて、あとで再読影する

以上です。
「一」については、診療所の先生方のなかには「うちはひとりでやっているんだからだれにも頼れないよ・・・」ということで、なかなか実現難しいかもしれません。
しかし、「二」や「三」の方法は、どの医療機関でも実現可能かと思われます。
とくに「二」については、「過去」に比較する画像がなくても「未来」に比較する画像を撮ることはできるかと思います。症状がよくなければ、数週間~数ヶ月後の「未来」に再度胸部レントゲンを撮影して比較するのです。「結核」などの炎症性疾患であれば「未来」に撮影した画像と、「過去」の画像との比較で「違い」を指摘可能なこともありえます。

忙しい外来診療の最中に、胸部レントゲンを撮影して、患者さんから「どうですか?」と急かされて読影した結果が「100%」の結果をだせなくてもある意味「当然」なのではないかと思っております。

だからこそ、その日(もしくはその週)に撮影された画像を、後にゆったりとした時間のなかで「再読影」することの意義はとても大きいのではないかと思います。

こんな考え方を教わった胸部画像の尊敬する先生の御本を下記にご紹介させていただきます。

http://www.amazon.co.jp/%E8%83%B8%E9%83%A8%E5%86%99%E7%9C%9F%E3%81%AE%E8%AA%AD%E3%81%BF%E6%96%B9%E3%81%A8%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%BF%E6%96%B9-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E9%9B%85%E5%8F%B2/dp/487962263X

まあ、「レントゲン撮れば結核とわかる」かというと、実はそんなに簡単な訳は無い!とブログ作者は思っております。

時間がたって、「典型的」な所見がでれば「肺結核」と予想できるかもしれませんが、初期の画像変化を見抜けるかどうかはそれこそ「神業」なのかもしれません。

そりゃあ「6ヶ月」も経過した結核なら見逃しにくいかもしれませんが・・・

もちろん、「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」だけが診断の遅れとは考えておりません。

胸部レントゲンで「肺結核」を「疑う」ことはできても「確定診断」にはゼッタイにならないからです!

「肺結核」の診断は、「喀痰」や「胃液」などの呼吸器由来検体からの「結核菌の証明」が必要だからです。

いくら「胸部レントゲン」で「肺結核っぽい・・・」と言っても、それはあくまで「っぽい」だけで「確定診断」ではありません!!

なので、胸部レントゲンを撮影しなくても、臨床症状から「肺結核」を疑い、喀痰抗酸菌検査で「結核」と診断することは理論上可能なのです。
気管支結核なんかは、胸部レントゲン「正常」に見えて、喀痰からのみ結核菌が証明されるなんてこともありますからね。

もちろん「胸部レントゲン」を撮影することが「肺結核診断」につながる可能性を否定するものでもありません。

今回さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者が提唱させていただいた「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」。

これも、現代医療の「歪み」の一つなのかなあ?と想う次第です。。。

皆様のご意見をコメント欄にいただけましたら幸いです。

2010年3月6日土曜日

人類は麺類by日清

医師に限らず、忙しいなか日々休息時間もとれずに日夜働いている人々が日本中にいらっしゃいます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者も初期研修中はそれこそご飯を食べる間もなく働いていた時代が有りました。

今でも当直などで晩御飯にありつけないときもあります。

そんな忙しくて大変な中でもお湯を注いでスグに食べられるカップヌードルは空腹だけでなく心も満たしてくれるありがたい存在です!

そんなカップヌードルの基になるインスタントラーメンを発明した安藤百福さんの生誕百年記念のカップヌードルをいただきました!

なんと100円の超特価です〜

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログを訪れていただいている多くの皆様が一度はカップヌードルのお世話になっているのかな?とか考えながらカップヌードルおいしくいただきました。

カップヌードルは働くみんなの見方ですね

2010年3月3日水曜日

初期研修医・呼吸器内科レジデント(後期研修医)募集中!

さいたま赤十字病院では、初期研修医の皆様を毎年募集しています。

来年度は8人の方々が初期研修予定のようです。

3月~4月上旬は、大学生の春休みシーズンにあたるようで、見学の学生の皆様が多数いらっしゃいます。

さいたま赤十字病院呼吸器内科でも、随時見学者を受け入れております。

また、来年度の呼吸器内科レジデント(後期研修医)希望の方むけの見学も随時可能です。


詳しくは、下記WEB SITE(さいたま赤十字病院公式HP)の臨床研修(初期・後期)をご参照ください!
http://www.saitama-med.jrc.or.jp/iryou/index.html


問い合わせ先

さいたま赤十字病院 人事課
TEL:048-852-1111(内線2213)
E-mail
jrc.sh-jinji@jcom.home.ne.jp

初期研修医をご希望の学生の皆様は上記さいたま赤十字病院人事課にお問い合わせください。
さいたま赤十字病院呼吸器内科のレジデントを考慮した見学をご希望の初期研修中の先生方は、上記人事課宛、もしくはブログコメント欄、下記メールアドレス宛にご連絡ください!
srcrespiro@gmail.com

多数の皆様の御見学をお待ち申し上げております。

2010年3月2日火曜日

信州の感染症的な生活:ブログのご紹介

「信州を感染症から守りたい」

今回ご紹介させていただくブログの管理人の先生にいただいた名刺に上記のメッセージが入っていて、正直びっくりいたしました。

真剣に感染症診療・感染制御学に携わっている御姿勢が、うかがえるかと思います。

信州の感染症的な生活
http://blog.goo.ne.jp/shinshu-infection

上記ブログでちゃっかりさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの記事をご紹介いただいちゃいました。。。

右下の推奨サイト集に入れておきますので、皆様ぜひお立ち寄りくださいね

βラクタマーゼ検査


さいたま赤十字病院細菌検査室の皆さまに、お願いしてβラクタマーゼ検査をどのように行っているのか?を教えて頂きました。

具体的にどのようにβラクタマーゼテストを行っているのか?

薬剤感受性検査の機械から、ペニシリナーゼやβラクタマーゼのチェックをするようにという指示・案内が表示された菌株に対して上記写真のテストを行っているようです。

たとえば、ブドウ球菌でペニシリンG感受性かもしれないという菌株については、ペニシリナーゼのチェックをするようにという指示が機会より出て、それを受けてその菌株で上記テストをしてペニシリナーゼ陰性を確認できたものだけをペニシリンG”S"と報告しているそうです。

また、アンピシリン耐性のインフルエンザ桿菌に関しても同様にβラクタマーゼテストをするよう指示が出るらしく、もしβラクタマーゼ陰性であれば”BLNAR”ということになるみたいです。

上記写真は、さいたま赤十字病院で採用している、「βラクタマーゼ検査用剤 P/CアーゼテストーN『ニッスイ』」
というβラクタマーゼチェックのキットです。

添付文書によると、「本品は、β-ラクタム環が分解したときに生じる酸性物質を、予め添加してあるpH指示薬の変色で捉え、β-ラクタマーゼ産生の有無を判定するアシドメトリー法による検査剤である。アシドメトリー法では基質としてペニシリン及びセファロリジンを使用するが、一部のペニシリナーゼはセファロリジンも分解することから両酵素の判別は困難であった。本品はセファロリジンにペニシリナーゼを特異的に阻害するクラブラン酸リチウムを添加し、セファロリジンを分解するペニシリナーゼの酵素活性を抑えることで、β-ラクタマーゼ産生の判定を容易にした検査剤である。」
と記載してます。

被検菌を試験紙に接種し、室温に30分放置。色が黄色にかわっていれば陽性ということみたいです。上記写真ではセファロスポリナーゼ陽性となっております。

ESBLも上記のような簡便なテストがあれば、良いのですが。。。

もし内容に誤りがございましたらコメント欄などでご指摘ください。

ブログで取り上げて欲しい内容は?:2010年3月アンケート投票受付中!

毎月、結構アタマを使ってテーマを考えている、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログアンケート

2010年3月のアンケートテーマは?

「ブログで取り上げて欲しい内容は?」といたしました!

最近は、あまりブログ作者の意見を書かずに、勉強内容や勉強会・学会などのご案内に終始している本ブログですが、皆様のご要望があればブログ作者の「イイタイコト」をまた徒然にかかせていただくこともしないワケではありません。。。

ただし、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様が望まれる内容に近いものを、なるべく提供させていただきたいですので、ここら辺でどういった内容が読者の皆様のご希望があるのか?をアンケートをとらせていただくことにいたしました。

皆様、是非右側ガジェットのアンケートに御投票のほどよろしくお願い申し上げます。


ブログで取り上げて欲しい内容は?


選択肢で遊んでいるといわれますが、これがなかなか苦労して作成しているんですよ。。。

今回も複数の選択肢を選んでいただくことが可能なシステムとなっております。

皆様お気軽にアンケート回答お願いいたします。

2010年3月1日月曜日

2010年2月アンケート結果発表:あなたは誰ですか?

2010年2月さいたま赤十字病院呼吸器内科アンケート結果の発表です

アンケート内容は?:あなたは誰ですか?
でした。
さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログをどのような皆様が訪れていただいているか?
の調査目的でした。
では結果です!
 
さいたま赤十字病院職員 9 (6%)

患者 9 (6%)
患者家族 3 (2%)
一般市民 13 (9%)
学生 5 (3%)
看護師 3 (2%)
薬剤師 12 (9%)
検査技師 8 (6%)
勤務医 39 (29%)
開業医 5 (3%)
研修医・レジデント 12 (9%)
マスコミ関係者 1 (0%)
医療業界関係者 5 (3%)
製薬会社社員 12 (9%)
地球人 8 (6%)
宇宙からの訪問者 7 (5%)

現在までの投票数: 131

投票終了

以上でした。
勤務医の皆様が29%と多数を占めていましたが、逆に言うとこのブログの内容にも関わらず、勤務医以外の皆様が多数訪れていただいている状況というのがとても興味深く感じました。
 
医師グループ(勤務医・開業医・研修医・レジデント)を合わせても、41%と半分以下です。
 
医療・病院関係者がやはり多数をしめているものの、バラエティに富んだ皆様が本ブログを訪れていただいている姿がわかり、ほんとうにありがたいことだと実感いたしております。
 
今月もアンケート内容を考え中ですので、皆さま引き続きご協力の程よろしくお願い申し上げます。