入院する患者さん「全て」に胸部レントゲンをとることは必要か?
さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者の上記質問に対する回答は”YES"です。
それは何故か?
日本は結核の「中蔓延国」です。肺結核もそれほど珍しいことでは残念ながらありません。
なので、「骨折で入院するのに『胸部レントゲン』なんて必要ないジャン!」ということはできないのです。
入院時に撮影する「胸部レントゲン」の最大の意義は
「活動性肺結核を見逃さないこと」
とさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はいつも研修医の皆様や他科の先生方にお話いたしております。
入院患者さんの中には「免疫力の低下」している患者さんが多数いらっしゃいます。
このような病院のなかで「結核が広まること(院内感染)」を防止するためというのが最重要ポイントと考えます。
入院患者さんの中には「免疫力の低下」している患者さんが多数いらっしゃいます。
このような病院のなかで「結核が広まること(院内感染)」を防止するためというのが最重要ポイントと考えます。
入院時の胸部レントゲンを
「肺結核を見逃さないために撮影する」
という理解をしていただくと、「もしかして結核?」とおもったらすぐに呼吸器内科医に相談することができるのです。
胸部レントゲンだけで、肺結核がすべてわかるわけではありませんが、救急外来などでは、「意識障害」などがあり、「咳・喀痰」などの症状を聴取することが困難な患者さんも珍しくはありません。
また、「ひとりぐらし」の患者さんが増加していて、家族や周囲の方に患者さんの症状を聞きたくても「誰もいない・・・」なんて状況も非常に多くなっております。
だからこそ「胸部レントゲン」が大切なのです。
「胸部レントゲン」を診る前に「入院」そのものは決定して良いのですが、入院する「場所」は決定してはいけないと言っております。(個室が必要かどうかの判断のため)
もちろん呼吸器内科医以外の先生方「結核かもと疑うこと」以上のことを求めるのは難しいと思います。
「もしかして『結核』?」という「眼」で入院時胸部レントゲンをみていただければ必要かつ十分なのではないかと考えております。
さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ読者の皆様で、「なんで必要のない胸部レントゲンなんて撮らなきゃいけないの?」とこれまで御感じの方々がいらっしゃいましたら、発想を上記のように”CHANGE"していただけましたら幸いです。
患者さんたちにお願いしたいのは、入院時の胸部レントゲンの最大の目的が
「肺結核の除外」
である以上、それ以上の詳細な評価を求めるのは臨床医にとっては「ムズカシイ」ということになります。
ですから、「このまえ入院時に胸部レントゲン撮ったから今年は「肺癌検診」受けなくても良い」
という考え方は危険であることをご理解ください。
「肺癌検診」の胸部レントゲンと「入院時胸部レントゲン」は「目的」が違うからです。
実は、入院時胸部レントゲンは十分な条件で撮影されていないことも良くあります。
体位が「寝た」状態であったり、「呼吸停止」ができていなかったり、「吸気不十分」であったり。。。
このような「十分でない条件の胸部レントゲン」で詳細な評価をすることはムズカシイのです。
皆様のご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。
1 件のコメント:
レントゲン以外でも同様ですが検査は結果が医師の目を通らないと、時に「施行せず」より悪い状況となります。 撮影しても退院までフィルムを一度もみてない事例は稀ならずしばしばです。 他科の更診に出向いて結核が見逃されてる?見てない?ケースも時に経験しました。 結核で入院した方の、他科で直近に撮影され異常なしと断言されたフィルムをみて唖然とした経験もあります(どうやったら、この巨大な空洞を異常なしといえるのだろうか?・・と)。 内科のCFで入院時に巨大なSOL(SCCでした)があり1年前の入院時のフィルムで大きなSOLが写っていた事例もありました(主治医が見てなかったのです)。 そのため内科に限り、入院時のフィルムは担当チームの医師が判読しない限り病棟に送らないシステムを施行したこともありました。 見逃しも怖いけど撮影しても見ないのは、もっと怖いです。 by通りすがりの透析医
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