2010年3月2日火曜日

βラクタマーゼ検査


さいたま赤十字病院細菌検査室の皆さまに、お願いしてβラクタマーゼ検査をどのように行っているのか?を教えて頂きました。

具体的にどのようにβラクタマーゼテストを行っているのか?

薬剤感受性検査の機械から、ペニシリナーゼやβラクタマーゼのチェックをするようにという指示・案内が表示された菌株に対して上記写真のテストを行っているようです。

たとえば、ブドウ球菌でペニシリンG感受性かもしれないという菌株については、ペニシリナーゼのチェックをするようにという指示が機会より出て、それを受けてその菌株で上記テストをしてペニシリナーゼ陰性を確認できたものだけをペニシリンG”S"と報告しているそうです。

また、アンピシリン耐性のインフルエンザ桿菌に関しても同様にβラクタマーゼテストをするよう指示が出るらしく、もしβラクタマーゼ陰性であれば”BLNAR”ということになるみたいです。

上記写真は、さいたま赤十字病院で採用している、「βラクタマーゼ検査用剤 P/CアーゼテストーN『ニッスイ』」
というβラクタマーゼチェックのキットです。

添付文書によると、「本品は、β-ラクタム環が分解したときに生じる酸性物質を、予め添加してあるpH指示薬の変色で捉え、β-ラクタマーゼ産生の有無を判定するアシドメトリー法による検査剤である。アシドメトリー法では基質としてペニシリン及びセファロリジンを使用するが、一部のペニシリナーゼはセファロリジンも分解することから両酵素の判別は困難であった。本品はセファロリジンにペニシリナーゼを特異的に阻害するクラブラン酸リチウムを添加し、セファロリジンを分解するペニシリナーゼの酵素活性を抑えることで、β-ラクタマーゼ産生の判定を容易にした検査剤である。」
と記載してます。

被検菌を試験紙に接種し、室温に30分放置。色が黄色にかわっていれば陽性ということみたいです。上記写真ではセファロスポリナーゼ陽性となっております。

ESBLも上記のような簡便なテストがあれば、良いのですが。。。

もし内容に誤りがございましたらコメント欄などでご指摘ください。

2 件のコメント:

感染症勉強中 さんのコメント...

都内の病院で細菌検査を担当している検査技師です。差し出がましいようですが少し気になったためコメントいたします。
アシッドメトリー法によるβラクタマーゼ検出は感度が低いことが知られています。特にstaphylococcusなどのグラム陽性菌で使用するのは少し感度不足というのが私の認識です。この場合のβラクタマーゼ検出にはより感度の高いニトロセフィン法が良いと思います(日本BDもしくは関東科学が市販しています、以前の検討ではこの2つは性能に差が見られました、導入時には事前検討をお勧めします)また、ニトロセフィン法であっても陽性菌では判定時間は1時間をしっかりとることが大切です。これらのkitと同等に簡易な手技でESBLを検出する方法として「シカベータ(関東科学)」が市販されています、もちろんシカベータ陰性DDST陽性となる株も存在(逆もあります)するためこの検査も万能ではありません。

呼吸器内科 さんのコメント...

感染症勉強中先生

大変勉強になるコメントをいただきまして大変ありがとうございました。
ニトロセフィン法につきましては、多摩感染症セミナー勉強内容でも記載させていただいております。さいたま赤十字病院でのβラクタマーゼチェックもニトロセフィン法でできるかどうか検討させていただきます。
「シカベータ」というものでのESBLチェックも当院細菌検査室スタッフの皆様に提案してみようと思います。
今後ともコメントなどいただけましたら幸いです。