2009年12月6日日曜日

第19回IDATENインタラクティブケースカンファレンス勉強内容その①

昨日は、第19回IDATENインタラクティブケースカンファレンスで勉強させていただきました。

非常に盛りだくさんの内容でしたが、なんとか全部とうして勉強することができました。

それでは恒例?の、勉強内容をupしてまいります。

①「新型インフルエンザA(H1N1):これまでの日本の対応と今後の課題」
  東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野:押谷 仁先生

・日本における新型インフルエンザA(H1N1)をめぐる「安全神話」の形成と崩壊

・学校・学級閉鎖は新型インフルエンザ感染拡大防止(遅延)にはかなり有効だったのか?
 アメリカはじめ諸外国では行われていなかった学校・学級閉鎖。日本独自のインフルエンザ感染拡大予防策。ただし、その代償として新型インフルエンザ感受性者は多数残存してしまう。

・多くの国で、感染蔓延期から遅れて最初の死亡者が発生。

・12月3日現在で日本の死亡者数94名

・人口10万人あたり死亡者数は各国で大体3~10程度。日本は10万人あたり0.2人(11月時点で)。

・(死亡者の)年齢の中央値が諸外国では20~30才.日本は8歳!(感染の拡大が若年層に偏っているためか?)。

・日本でなぜ死亡率が低かったのか?
    ・タミフル・リレンザ早期治療?
    ・入院管理などの早期対応?
    ・疫学的特長が違うだけ?

・日本では、これまでは罹患者が5歳から14歳程度がほとんどをしめている。

・オーストラリアでは、各年齢層満遍なく入院患者がいた。

・アメリカでは若い成人が例年より入院している。

・メキシコでは30-40才台の重症症例が多い。

・オーストラリアで亡くなっているのは40歳~50歳代以降が多い

・日本でも死亡率は30歳代以降で高くなる!

・日本でも、成人層の入院患者は致死率が高い?

・若年層は罹患率は高いが死亡率は低い。40歳以上特に高齢者では罹患率は低いが重症化率は高い。
  ↑上記については、さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでも以前、季節性インフルエンザのグラフを提示させていただきました!!
若年層は罹患者数は多いものの死亡率は低い。逆に、高齢者では罹患率は低いものの死亡率が高いというものでした。同じようなことが今回のパンデミックインフルエンザ2009(ブログ作者はパンフル2009と呼ぼう!と提唱しております)でもいえるのかもしれません。この点は歴史が証明してくれるでしょうから、あまりイイカゲンなことは言えないのですが。

・日本では積極的に学校閉鎖をしている数少ない先進国のひとつ。

・学校閉鎖で、地域や家庭への感染拡大が防げたのか?

・地域での感染拡大防止により高齢者施設への感染拡大を防げた?遅らせた?

・しかし、11月以降、0-4歳の層の感染拡大→家庭での感染拡大期に入っているか?
・5歳~14歳の層の新規感染者数は頭打ち。
・子供から親が感染する時期になっている。成人層への感染拡大が今後生じてくるのか?
・これまでは、未成年者の感染者が多かった。→学校閉鎖・学級閉鎖が関係している?

 押谷先生はおっしゃっていませんでしたし、フロアの皆様も言及されておりませんでしたが、日本は諸外国よりマスクの使用率が高いのでは??と思っております。

これも成人層での感染拡大を遅延させた一機序なのではないかと個人的に「思っている」ことです。あくまで思っているだけで、だれも肯定も否定もできないのですが。

・これからは、ワクチン接種と感染拡大の競争!!
・重症症例では、ICUのベット確保と人工呼吸器不足の問題。
 ↑これに加えて、しっかりとした「呼吸管理」が可能なスタッフの確保も大事でしょう!!
  いくら、「場所」と「モノ」があったって、それを使いこなす「ヒト」がいなければ宝の持ち腐れですよね?

・H1N1Aソ連型は駆逐されるか?H3N2A香港型は残る?
・高齢者へのワクチン接種不足の問題:季節性も含めて!
・妊婦へのワクチン接種の考え方
・日本は感染症の疫学者・公衆衛生専門家が少ないことが問題。臨床家と疫学者がコラボレーションすることが大事。
・タミフルの二次感染予防に有効なのか???

とりあえず、長くなったので、新型インフルエンザについての押谷先生の御講演を元に、ブログ作者の文責で上記記載させていただきました。

不確実なことは書くな!!と言われれば其れまでなのですが、みなが不確実要素しか知らない時点では、そういった情報も公開することに意義があるのではないかと思っております。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

疫学が易学になってます。重箱のすみをつつきようで本当にすみません。 by近所の透析医(googleアカウントもってないので匿名にしました)

呼吸器内科 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
易学と疫学では意味がぜんぜん違いますので、至急訂正させていただきます。
今後も是非コメントをお寄せください!