2009年6月13日土曜日

ANTIBIOGRAM

昨日2009年6月12日金曜日、さいたま感染症勉強会特別企画Ⅱが開催されました。
自治医科大学さいたま医療センター集中治療部の讃井先生のご尽力で大庭先生をお招きしての人工呼吸器関連肺炎、院内・施設内肺炎診療についての御講演でした。

非常に多数の参加者に御聴講いただきまして大変ありがとうございました。

今回私が再認識させていただいたのは、”ANTIBIOGRAM"のお話でした。

院内肺炎で抗菌剤をどのように選択するべきか?
その答えが”ANTIBIOGRAM”にあります。

”ANTIBIOGRAM"とは何か?

院内感染症で問題となる菌種に”SPACE"といわれる菌種があります。
S:Serratia marcescens:セラチア
P:Pseudomonas aeruginosa:緑膿菌
A:Acinetobacter baumanii:アシネトバクター
C:Citrobacter Spp.
E:Enterobacter cloacae
などのグラム陰性桿菌軍団です。こういった菌種が肺炎や敗血症を来たすと治療に難渋することが知られておりますが、”SPACE”のなかでも代表格が「緑膿菌」と「アシネトバクター」になるかと思います。
こういった菌種については、医療機関毎もしくは同一医療機関内であっても病棟毎に抗菌剤の感受性が異なってくることがわかっています。なので、「緑膿菌ならこの薬剤」と決めてかかっても、残念ながら施設によっては、有効性が低い可能性があるのです。
このため、自分のところの緑膿菌はどのような薬剤に感受性があるのかをあらかじめ把握しておいて、緑膿菌がターゲットとなるような、院内感染症や免疫不全状態の感染症のときに治療失敗の可能性が低いと考えられる抗菌剤を選択できるようにする方法です。
ただ、この”ANTIBIOGRAM"も定期的に更新する必要があります。たとえば、「今」はピペラシリンがとても感受性がよいからといって、ピペラシリンの処方頻度が増加すると、今度はピペラシリンの耐性菌が増加するなどということが生じてくるからです。
さいたま赤十字病院細菌検査室も定期的に当院の”ANTIBIOGRAM”を院内WEB上に参照できるようにしておいてくれています。しかし、実際に有効活用されているかどうかは?な状況です。
これからは、”ANTIBIOGRAM"の活用にも力を入れていこうと思います。

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