皆様は”CLINICAL PEARL"という言葉をご存知でしょうか?
”CLINICAL PEARL"とは、必ずしもEVIDENCEに基づいたものではないけれども、先人の鋭い「観察力」と「知恵」、これに基づく長年の「経験」がもたらした、後世代への「たからもの」なのではないかとブログ製作者は考えます。
本書のPEARLの一例を挙げますと
「慢性閉塞性肺疾患の患者でばち指が認められたら、胸部CTスキャンを撮りなさい。肺癌の可能性がある」
というフレーズがありました。(本書p021)。
解説には、「慢性閉塞性肺疾患ではばち指は稀。そのため、ばち指があらたに出現すれば「肺癌」を考慮するように」ということのようです。
おそらく、この内用に臨床研究に基づいた明確な”EVIDENCE"はないのでしょう。しかし、先人の「観察」「知恵」「経験」がもたらした「教訓」的な言葉なのではないかと思っております。
筆者はまだまだ経験が浅いため、このような「ばち指」での「肺癌」の発見はしたことがありませんが、これをこれを読んでからは「ばち指」とはどのような所見か?「ばち指」っていったいどうやって診断するのか?などに興味を持ち、先にご紹介した「ウイリス先生」の本で「ばち指」について勉強したりと、知識の幅が確実にひろがりました。
本書の題名にもなっている「ティアニー先生」の御講義は、もう4年前?位になるかもしれませんが新宿の傍三角形ビルの一室で開催されていた勉強会で一度だけ効くことができました。
症例検討会形式での講義でしたが、知識の幅がとても広く、また初学者にも鑑別のポイントをわかりやすくご教授いただけたのを記憶しております。
今回ご紹介させていただいた「ティアニー先生の診断入門」はこの本だけで完結するような診断学の全てがつまったような本ではありません。
本書は、私のようなきちんとした「診断学」をまともに勉強使用としてこなかった者にとって、とても痛いところを突かれているように感じる本であると思います。もちろんこれから診断学を一から勉強使用とする人にとっては、私のように「道」をそれた医師人生を歩まないようにするためにも通読されることをお勧めいたします。
さいたま赤十字病院呼吸器内科スタッフはこれからも呼吸器「診断」の勉強をもっと進めて行き、より優れた医療の提供をできるようにしてまいりたいと思います。
「優れた医療」はなにも最先端の「医療機器」だけがもたらすものではありません。
「優れたスタッフ」の育成こそが「真」の良い医療を提供する基礎になるものと信じております。
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