2009年6月10日水曜日

医療技術の進歩と経済

日本の医療技術は、世界でも有数のものである(と筆者は思っております。)

医療技術は、日々進歩していき、多くの病気の治療方法が開発されてきました。

一昔前なら、どうしようもなかった病気に対して、あらたな治療薬・治療法が開発されることは、その疾患をもつ患者様や周囲の人々にとってはとても「良いこと」であるかもしれません。でも、社会全体の問題となると、必ずしも喜ばしいことばかりかというと難しい問題があります。
こういったことを述べると、「病気が良くなるのはいいことじゃないの?」といわれるかもしれません。
もちろん病気の新しい治療法方が開発、実用化されるのは良いことも多いのですが、問題はその「コスト」にあるかと思います。

例えば、「肺癌」に対して新たに開発された抗がん剤があると仮定します。
「この抗がん剤を使用すると、あと6ヶ月しか生きられないと予想される人が2ヶ月もより長生きできて平均8ヶ月生きられるようになります」。患者様は大喜びです。「6ヶ月」から「8ヶ月」に2ヶ月も命が延びる可能性があるわけですから。
しかし、その薬剤は2ヶ月延命するために100万円もの「コスト」がかかるものでしたら皆様どうお考えになるでしょうか?しかも、「自由な時間」での2ヶ月間ではなく、病院にひたすら通ったり、入院したり「副作用」に苦しんだりして「抗がん剤治療」を継続することで得られる「2ヶ月間」です。

このコスト「100万円」を例えば「肺炎球菌ワクチン接種」の費用に回すと、約100人の患者様が肺炎球菌の予防接種を受けられることになります。(さいたま赤十字病院では約8000円(+消費税)の自己負担で肺炎球菌ワクチン予防接種を施行させていただいております。)
また、季節性インフルエンザワクチンならさらに倍の約200人の患者様に予防接種が可能です。
同じ「100万円」という医療費をかけて、たった1人の患者様の命を「2ヶ月」延ばすのが必要か?
100人の患者様に「肺炎球菌ワクチン接種」を行ったり、200人の患者様に「インフルエンザワクチン接種」を行うほうが有用か?いろいろな意見があると思います。

人それぞれの周囲・環境で意見が違うとは当然思いますが、日本経済が非常に厳しくなっている状況であり、今後もおそらく医療費にかける「お金」がそれほど増えていかないのであれば、もうそろそろ全ての人が「先端技術による最新医療」を受けられるようにすることは困難となってきているように感じております。
「そんなんじゃコマル!!」、「常に最先端の医療を全ての人が平等に受けたい!!」ともし思われる方は是非近々行われるであろう「国政選挙」で自分の一票を「医療にコストをかける人・政党」に投票するようにお願いいたします。

ブログ筆者はこのままの医療費ではおそらく「今」の医療よりも「未来」に受けられる医療は確実に「劣悪」なものとなると思っております。
高齢化社会で「患者」となる可能性のある人は右肩上がりに増加するのに「医療費」が抑えられたら。。。どうやっても「高度な医療」が難しいです。「今」病院にかかっている人は幸せだと思います。
「未来」の人が病気になっても幸せな医療が受けられる社会をブログ筆者は希望いたしております。

「未来」の人々のためには「今」行動することが求められております。

こういったことは、「医療」も「地球環境問題」もおんなじですね。

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