肺炎球菌ワクチンは是非皆様接種しましょう!!とはいってもさいたま赤十字病院では自費で約8000円プラス消費税という決して安くは無い費用がかかるため、接種できる人は限られてしまうことが問題ですが。
さて本題ですが、アゾール系抗真菌剤は免疫抑制作用を有するのでしょうか?それともたまたまなのでしょうか?
”Routine versus selective antifungal administration for control of fungal infections in patients with cancer(Review)"
Peter C Gotzsche,Helle Krogh Johansen.
Cochrane Database of Systemic Review,Issue 4,2009
上記文献のP.7に
•The advantage of using total mortality as outcome measure is not only that it is unbiased, it may also be the most relevant one, since the drug could have important harms leading to drug relevant mortality. Ketoconazole, for example, is immunosuppressive and in all three trials in which bacterial infection were reported, these were more common with ketoconazole than with placebo:37 versus 15% of the neutropenic courses(Hansen 1987).Interestingly, this adverse effect could be a class effect related to azoles as increased incidence of bacteremias has also been reported with fluconazole,27 versus 16 patients(Schaffer 1995) and 15 versus 7(Kern 1998),and with itraconazole, 47 versus 31(Menichtti 1999).
という記載がありました。
これだけで、アゾールが免疫抑制作用があるとか、細菌感染症のリスク増大とか簡単には言えませんが、注意深く経過観察したり、可能な限りワクチン接種を行うなどの努力は必要なのかもしれません。
上記論文の引用されている文献は多くが1980年代~1990年代のもので、やや古さが否めないのが残念ですが、充分に検討する必要があるのではないかと思います。
抗真菌剤の使用については、非常に多くの相互作用や副作用、またコストの問題などいろいろと考えなければならない事柄が多数あります。抗真菌剤の適応、使用については、かなり勉強・慣れが必要ではないかと思いますので、各施設の専門家に是非相談してから使用を開始されることをお勧めいたします。(とはいっても待ってられない状況も多々あるのも事実ですが)
さいたま赤十字病院では、これからもいろいろな勉強会に参加させていいただき、いろいろとご意見をいただき、さらなるレベルアップをしてまいりたいと思います。
次回の第40回Tokyo Infection Conferenceは2010年1月8日金曜日、順天堂大学で開催予定だそうです。(予定のため、詳細が決定しましたら本ブログでも掲載させていただく予定です)
2 件のコメント:
いつも勉強させて頂いております。
真菌が 細菌の発育を抑制していた可能性というのはないのでしょうか?つまり、アゾールに原因があるのではなく、真菌を治療したせい細菌の発育に都合が良い環境となった可能性です。
興味深い症例のご紹介ありがとうございました。
昔、カンジダ血症の治療後にいきなり副腎不全になった方を受け持ったことがあり、その時にフルコナゾールと副腎不全の関係について調べたことがあります。
アゾール系抗真菌薬と副腎不全の関係を示唆する文献がいくつかみつかり、一瞬、お!と思ったのですが、大体がケトコナゾールに関するものでした。どうもケトコナゾールはコルチコステロイドと構造が似ている部分がある(この辺記憶が曖昧です。すみません)ので、弱いステロイド作用を有するようだという印象を持ちました。例えば、↓のようなもの。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3826130
ですので、フルコナゾールと免疫抑制はあまり関係がないように感じます。
コクランのレビューに関しては、原著まで当たっていませんが、抗真菌薬を投与される原因になった基礎疾患があるだろうと推測します。多くは免疫抑制状態でしょうから、そちらが交絡因子として働いている可能性があると思います。
この患者さんに関しても、クリプトコッカス肺炎、髄膜炎を起こしていますので、免疫抑制を来すような何らかの基礎疾患が隠れていたのではないかと想像いたします。HIVやステロイドの使用が主なものですが、個人的にはATLLを発症していないHTLV-1陽性患者さんでも経験したことがあります。肝硬変もリスクになるようです。この方はHCV陽性ということですが、肝硬変までは至っていなかったというところでしょうか。あと思いつくものとしては、特発性CD4減少症くらいです。
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