2009年8月19日水曜日

「強い」「弱い」というのはいかがなものか?新型インフルエンザ襲来

当初「新型」インフルエンザが日本中の話題をさらったときから、「強い」だの「弱い」だのといった言い方で「新型」インフルエンザを報道する日本のマスコミの皆様が多数いらっしゃいます。

また、「意外に『強力』」との報道です。

致死率0・5%…新型インフルは意外に強力


(YOMIURI ONLINEより。いつも大変お世話になっております)

「チームは、米国とカナダで今年5、6月までに新型に感染し、遺伝子診断を受けて確定した患者数と死者数を使い、独自の手法で計算。新型の致死率は、通常の季節性インフルエンザ(0・1%)より高く、世界で100万人以上が亡くなったアジア風邪(0・5%)並みと推定された。」

致死率が、0.5%と通常の季節性インフルエンザより5倍も高いと、読者が受け取る可能性の高い記載内容ですが、ここで賢明なさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの読者の皆様は単純な「季節性」インフルエンザと「新型」インフルエンザの比較は全く意味をなさないことを考えないといけません。

ブログ作者はおそらく、死亡率は公平な視点で見ると「季節性」と「新型」はそれほど変わらないのではないかと考えております。0.1%と0.5%では5倍違うように見えますが、通常の「季節性」インフルエンザは毎年「ワクチン」による予防がかなりしっかりとなされており、致死的な状況にいたることが予想される、「透析患者」や「高齢者」、「小児」、「心肺疾患保有者」などはおそらく日本では「ワクチン」を接種されている人々が多いのではないかと思います。

「ワクチン」による予防がなされている「季節性」インフルエンザとワクチンがまだ無い「新型」インフルエンザを同様に比較しても無理がありますね。

「新型」インフルエンザだって、当初報道されていたように「海外旅行」にいけるような若者や元気な人、「スポーツ系部活動の可能な高校生」などでは、「死者」の報告はありませんでした。
もちろん今後、感染者が莫大な状況になれば当然「健康」な方々らも残念ながら亡くなられる方々が出る可能性はありますが、やはり低いかと思います。

現在報道されているように「ハイリスクグループ」の方々がやっぱり死亡リスクが高いと考えるのが妥当でしょう。

なので「季節性」と比べて「5倍」も死亡率が高い!!と声高に報道するのは、一般の方々にいたずらに恐怖心を煽ってしまう感じがしてチョット嫌な感じを抱きました。

まあ、「インフルエンザ」について皆様に関心を持っていただくのはとても良いことですから、報道はしてほしいのですが、内容については「パニック」を誘導する可能性を潜在的に秘めているニュースなだけに慎重にしてほしいところです。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの読者の皆様はインフルエンザウイルスについては、「強い」だの「弱い」だのと言った議論ではなく、「免疫力」が「アル」か「ナイ」かの議論が正しいことはご理解いただいておりますね。

それにしても、本文中には「強力」なんて言葉一言もでてこないのに見出しにのみ
「新型インフルは以外に強力」とか使うのも微妙ですね。
専門家はだれも「強力」とか言ってないようです。

それにしても早く「新型」インフルエンザワクチンが接種できるようになってほしいです。

さいたま赤十字病院呼吸器内科で接種が可能になりましたらまたブログでもお知らせするかもしれません。(宣伝可能であればです)

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