さいたま赤十字病院研修医の皆様も多数、聴講されておりました。
本日のお話は、初めて「感染症診療の原則」をお聞きになる先生方には、結構難しい内容が多かったのではないかと思います。
全体を通じて、青木先生が言いたかったことは、「みんなでよってたかって、抗菌剤イイカゲンに使っているもんだから、もう有効な抗菌剤無くなりかけているんだよ」ということかと推定しております。
(あくまでもブログ作者の推定ですので、間違っていたら御了承ください)
上記の問題は、もう遠い未来のお話ではなく、近未来には本当に、「有効な抗菌剤が無い!!」という感染症の脅威が差し迫っていると考えたほうがよいのかとブログ作者も思っております。
ここで、「有効な抗菌剤がない!!」と言っているターゲットとなる細菌は「好気性グラム陰性桿菌」と言われるグループの菌種です。
具体的な菌名を挙げると、「大腸菌」「クレブシエラ」「緑膿菌」「アシネトバクター」「セラチア」「エンテロバクター」「シトロバクター」などなどです。
「緑膿菌」や「アシネトバクター」は細菌、ニュースなどでも問題となったことがあるので「多剤耐性緑膿菌(MDRP)」とか「多剤耐性アシネトバクター」とかをどこかで見聞きされたヒトもいらっしゃるかもしれません。
こういった菌種に有効な、新規の抗菌剤の開発がほとんど進んでいない状況が「感染症業界」では問題となっております。
なので本日、一番大切だと思った格言を記載させていただくと...
「重症であることと求められる抗菌剤のスペクトラムの広さは直接関係無い」by Dr.青木
日本呼吸器学会の「成人市中肺炎診療ガイドライン」でも、重症や超重症では「カルバペネム+α」などの抗菌剤が推奨されております。でもよくよく見ると、原因菌種別にも抗菌剤選択のアプローチがちゃんと記載されており、「肺炎球菌肺炎では重症でも、ペニシリン系」がちゃんと推奨されております。
おそらく、青木先生のメッセージの対象のひとつに我々「呼吸器内科医」があるのではないかと、聴講していて心に「グサッ」とくるものもありましたが、いろいろな病院の呼吸器内科医の市中肺炎に対しての抗菌剤の使用方法が、ビックリするほど「画一的」となっていて、なんでもかんでも同じような抗菌剤の選択になっているような気がしてなりません。
挙句には、市中肺炎の「クリニカルパス」とか言って、あまり「アタマ」を使わずに、「ウチの病院では、クリニカルパスでこの『○○ペネム』を最初に使うことになっているから的な抗菌剤の使用方法がまかり通っていることに、同じ呼吸器内科医として至極残念に思います。
(いろいろな異なる背景を持つ「患者」を画一的な診療方法でひとくくりにする「クリニカルパス」という考え方がブログ作者は以前からどうも納得できないでおります。)
また、最近多い考え方(ブログ作者も最近までそうだった)は、
「”De-escalatuon"するから、別に”Broad”な抗菌剤最初に選んでもいいじゃん」
という考え方です。まあ、De-escalationするためには、きちんと「培養」を採取して、原因菌を同定し薬剤感受性をチェックするという健康な感染症診療のスタンスが無いと”De-escalation"できないわけですから、まだまだマシな方かと思っておりましたが、この点にも警鐘を鳴らしておられました。
細菌検査室での抗菌剤「耐性」”R”判定が必ずしも「治療失敗」には、つながらないという点も非常に大事な抑えておくべきポイントかと思います。
感染症診療の原則は”NARROW IS BEAUTIFUL”By Dr.青木ということなのでしょう。
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