2009年10月28日水曜日

第58回日本感染症学会東日本地方会学術集会

今週末、2009年10月30日金曜日、31日土曜日は

第58回日本感染症学会東日本地方会学術集会+第56回日本化学療法学会東日本支部総会の
合同学会開催です。

さいたま赤十字病院呼吸器内科からも1演題発表させていただきます。
さいたま赤十字病院呼吸器内科レジデントのエースが発表予定です。

演題名:Rhodotorula mucilaginosa菌血症の1例

聞きなれない菌名かもしれませんが、酵母様真菌の一菌種です。

コロニーがピンクっぽい特徴的なものなので、サブロー培地でコロニーを観察すると、プロの眼ではすぐに推定できるそうですが、ブログ作者の眼では、わかりませんでした。

担癌患者さんや、免疫不全状態の患者さんで、CVカテーテル挿入中にカテーテル血流感染症の形で発症することの多い真菌だそうです。

死亡率は12-14%程度、しかし、真菌性眼内炎を発症すると高率に失明にいたる怖い菌種です。

抗真菌薬の選択には注意が必要で、皆様がしばしば使用される「アゾール」や「キャンディン」系の抗真菌剤は無効なことが多いみたいです。

(アゾール系:フルコナゾール、ミコナゾール、ボリコナゾールなど)
(キャンディン系:ミカファンギン、キャスポファンギン、アニデュラファンギンなど)

そこで、Rhodotorula Spp.を考慮した場合には、アンホテリシンBが使用されます。
文献上も多くがアンホテリシンBで治療されており、in vitroでの薬剤感受性も良好です。
現在日本でも、リポソーマルアンホテリシンBが使用可能となっておりますので、治療薬としてはこちらが主流となるでしょうか。

注意点は、CVカテーテル血流感染での真菌感染症が多いため、エンピリックに使用される頻度の多い「ミカファンギン」や「フルコナゾール」が無効の可能性が高い点ではないかと思います。

血液培養で酵母様真菌が検出されたら、それは非常事態です!!必ず、最終菌名の同定まで心がけるように努力いたしましょう!!

興味のある方、お時間の許す方はは是非、私どもの演題発表を聞きにきてください。
皆様のご意見をいただければ非常に勉強になるかと思います。

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