2009年10月10日土曜日

薬剤感受性検査のポイントと落とし穴!by 佐竹幸子先生

本日、2009年10月10日に新宿京王プラザホテルで開催されました、
第83回日本感染症学会総会サテライトセミナーに参加いたしてまいりました!!

杏林大学呼吸器内科の先生方の、ご苦労・ご準備で非常に勉強になる会でした。

本日の勉強内容のおさらい(日常臨床で記載内容を使用される場合には、教科書などで再確認をお願いいたします)

☆薬剤感受性検査のポイントと落とし穴!!:群馬大学佐竹幸子先生
   ・Enterococcus SPP.はセファロスポリン、ST合剤、クリンダマイシンは臨床的に無効!!検査室で”S”と判定される場合があるが、(しかも”S"と報告される場合すらあるが)ゼッタイに臨床症例での使用はしてはならない!!ブログ作者注:Enterococcus SPP.に使用可能な抗菌剤は:PCG、ABPC、リネゾリド、VCMなど

①Salmonella SPP. Shigella SPP.には1st、2nd cephalosporin、セファマイシン系は無効!!
 検査室から上記薬剤が”S"と報告されても臨床での使用はしない。
 上記菌種が血液培養から検出されたら:ABPC、Fluoroquinolon,ST合剤、Chloramphenicol(まず使わない)、3rd cephalosporin。

②ESBL産生が問題となる菌種は:PEK
  Proteus mirabilis,Escherichia coli,Klebsiella penumoniae
  ESBL産生が推定される状況は?→3rd cephalosporinやAZT、PIPCなどにひとつでも”R""I"の薬剤があればESBL産生が疑わしい!!→安全に治療可能な薬剤は「カルバペネム系」
 ブログ作者注:おそらく「カルバペネム系」の数少ないゼッタイ適応菌種のひとつか?

③BLNAR:βラクタマーゼ陰性ABPC耐性インフルエンザ桿菌
  3rd cephalosporinの適応菌種?セフトリアキソンでの治療可能。
 インフルエンザ桿菌は3種類に分ける→ABPCが有効な「βラクタマーゼ産生しないタイプ」、ABPC/SBTが有効な「βラクタマーゼを産生するタイプ」(日本では数少ないそうです)、BLNAR:βラクタマーゼ産生しないのにABPCが効かないタイプ(PBPの変異による耐性)

④ampC調節遺伝子の変異→発現による獲得耐性機序を有する菌種
 ・Enterobacter SPP.、Citrobacter SPP.、Serratia SPP.
 当初は3rd cephalosporinなどに感受性を示すが、しばらく抗菌剤治療を継続していると、ampC遺伝子が発現して獲得耐性となってしまう菌種!!

⑤Salmonella SPP.の治療がFluoroquinoronesでうまく行かないときには?
 Nalidixic acidの感受性を調べて、”R"であれば、Fluoroquinoroneによる治療はうまく行かないかも。

以上で、薬剤感受性の勉強内容のブログ作者的ポイントまとめ終了です。

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