2009年10月4日日曜日

インフルエンザウイルス感染後の細菌感染に注意!

やはり、これまでの季節性インフルエンザと同様の機序での、新型インフルエンザウイルス感染後の細菌感染症→重篤化→死亡のシナリオがあるようです。

インフルエンザウイルス感染症は、「ウイルスそれ自体」の感染・増悪での「ウイルス性肺炎」もあってよいのですが、頻度としては「ウイルス感染後の細菌感染症」による重篤化→死亡のほうが頻度が多いとブログ作者は考えておりました。

そんな中での、ニュースです。

新型インフル、米の死者 3割細菌感染

(YOMIURI ONLINEより)

「5月~8月に新型インフルで死亡した77人から組織を採取して検査したところ、22人が肺炎球菌などの細菌にも感染していた。 肺炎球菌は、免疫力が落ちると増殖、肺炎を引き起こし、患者が死亡する一因となる。」(「」内上記引用です)

上記記事では、「肺炎球菌」が問題となっておりますが、通常肺炎を起こしにくいとされている「ブドウ球菌」の肺炎もインフルエンザウイルス感染後には頻度が上昇することがわかっております。

この調査では、あくまでも「検出されたのが3割」ですので、死亡前に有効な抗菌剤投与されていて検出できなかった症例もあったであろうことが推測できます。

肺炎の治療では、有効な抗菌剤をいくら使用されていても、残念ながら細菌感染後の「肺の炎症」そのものを抗菌剤でなをなおすことはできません。肺に感染を起こしていた細菌は抗菌剤でやっつけられても、細菌の置き土産の「肺の炎症」はなかなか改善されません。なので、亡くなった後に調べても細菌感染の証拠が見つからなかったけれども生前には細菌感染があった症例もあるかと思われます。

市中肺炎の一般的に頻度の多い「肺炎球菌」「インフルエンザ桿菌」などに加えて「ブドウ球菌(MRSAもブドウ球菌)」もエンピリックにカバーすることを考慮するべきですが、そうなるとやはり「グラム染色」などがこれまで以上に重要な役割を果たすかもしれません。

気管内挿管による人工呼吸管理されている症例では、挿管チューブからの良質な喀痰が得られる可能性が高くなりますが、その際に、抗菌剤投与下である場合には、その影響も十分に考慮して抗菌剤を選択する能力が求められます。

常日頃からのトレーニングが大切ですね。

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