2009年8月15日土曜日

ナイナイインフルエンザ-ワクチンが無いインフルエンザのコワサ!!-

もうそろそろ「新型」がとれてもいいと思っているけど、日本では「新型」に慣れているので、さいたま赤十字病院呼吸器内科部ブログでも、もうしばらくの間「新型」インフルエンザ(AH1N1)と呼ばせていただきます。

時間の問題とは思っておりましたが、ついに、「日本国内での新型インフルエンザが原因での初の死者」の報道が、本日発表されました。

亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。

【新型インフル】初の死者は宜野湾市の57歳男性 心筋梗塞の治療歴 (MSN産経ニュースより)



「県によると、男性は心筋梗塞(こうそく)の治療歴があり、慢性腎不全人工透析を受けていた。9日午後から、のどの痛みなどの体調不良を訴え、10日には37度台の発熱があったため簡易検査を受けたが、結果は陰性だった。12日、透析中に39度まで体温が上昇したことから、再度簡易検査を受けたところインフルエンザA型陽性と判明。タミフルを投薬され入院したが、14日未明から容体が悪化し、15日午前6時54分に死亡した。」

という経過のようです。

まず、一般の皆様に覚えておいていただかなければいけないのは、「インフルエンザは、通常の季節性のインフルエンザでも死に至ることがある病気」であるということです。

別に「新型」インフルエンザウイルスが、恐ろしいから「死」にいたったというわけではないことは、これまでの日本国内での多数の新型インフルエンザ患者報告でも、ほとんどの方が「回復」されていることからもご理解いただけるかと思っております。

では、いわゆる「新型」インフルエンザと「いつもの」インフルエンザでは、いったいなにが違うのか??

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は「ワクチンが無い!!」ことと、「免疫力がない!!」ことが最大の違いかと思います。

『新型』と言われるインフルエンザウイルスは、今現在、日本国内では使用可能な「ワクチンがありません」。また、過去に「新型」インフルエンザにかかったことのあるヒトは極めて少数です。

なので、ほとんどの日本国民が「新型」インフルエンザウイルスに対して「免疫力」がないのです。

それに対して、『季節性』といわれる「いつもの」インフルエンザは、ワクチンがあるし(必ずしも全ての日本人が接種しているわけではありませんが)、毎年似たようなインフルエンザウイルス株が流行するため、過去の感染により「免疫力」が多少なりとも備わっている点が異なります。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログの過去の記事に

「ナイナイインフルエンザ」

という、チョット微妙なタイトルの投稿がありますが、ブログ作者的には非常に良いネーミングかと思っております。

ワクチンがナイ」、「免疫力がナイ」インフルエンザ。「ナイ」「ナイ」インフルエンザです。

「新型」インフルエンザとかいうから、よくとらえどころの無いネーミングなのだと思いますので、もしマスコミの皆様で、本ブログをご覧いただいている方々がいらっしゃいましたら、是非「ナイナイインフルエンザ」という言葉を使ってください。

ただし、「ナイナイインフルエンザ」ウイルスは、しばらくすると必ず「アルアルインフルエンザ」に変化します。これは、ゼッタイに起こる変化ですので安心してください!!

「アルアル」インフルエンザに変わる理由その①
ワクチンが皆様の、体に「新型」インフルエンザに対する「免疫力」を形成します!!
毎年、。さいたま赤十字病院呼吸器内科でも「インフルエンザワクチン」を必要な方々に接種させていただいております。ただし、今年は多くの「皆様」が「ワクチン接種したい!!」と医療機関に殺到することが予想されます。

どのようにインフルエンザワクチン接種者を選定するのか?これまでの諸外国(特にアメリカ)からの報告で、「新型」インフルエンザウイルス感染症になると命にかかわる重症の方々のグループが、ある程度特定されております。
例えば「妊娠中の女性」、「呼吸器・心疾患」、「肝・腎疾患」など基礎疾患のある方々です。
今回の方も「慢性腎不全で透析中」との報道でした。

なので、こういった「ハイリスクグループ」と呼ばれる人々を優先して「ワクチン接種」を勧めていくことになるかと思います。

「アルアルインフルエンザ」に変わる理由その②
おそらく、しばらくすると、「新型」インフルエンザウイルス感染症は日本国内でも「大流行」することになるでしょう。

そうなると、一度感染して「回復」された方々は、もう「新型」インフルエンザに対しての「免疫力」を獲得されている状態となるため、次の感染では「免疫記憶」が働き、以前の感染よりも症状が軽くなる、もしくは回復が早くなることが予想されます。
こういった人々ばかりの状態となれば、もうそれほどコワイウイルスではありません。

ただし、これは「一度かかったらもうかからない!!」と言っているのではありません。免疫記憶は残っても、時間とともに、インフルエンザウイルスに対しての免疫力は低下していくことがわかっております。なので「毎年」ワクチン接種を行っているのですね。とはいえ、極少ないレベルでは「免疫記憶」が残ると考えられていますので、やはり一度かかってしまえば、もう「アルアルインフルエンザ」といってよいかと思います。

正しい知識と理解が「新型」インフルエンザウイルスによる「パニック」を回避する唯一の手段です。

さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログでは、一般の市民の皆様、医療従事者の皆様などに「正しい情報」を提供することをこれからも心がけていきたいと思います。

とはいえ、なにぶんブログ作者もまだまだ勉強中の身です。

もし、間違っている点や不備な点がございましたら遠慮なくコメント欄やメール等でご指摘いただけましたら幸です。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

知識のない私でもよくわかる内容でした^^
世間ではまだまだ新型インフルエンザに対する(季節型インフルエンザも)知識が浸透していないので、多くの人が興味を持って、正しい知識を身につけたらいいのではないかと思います。

呼吸器内科 さんのコメント...

匿名さん

コメントありがとうございました。

医療従事者だけでなく、広く一般の方々にも正しいインフルエンザの知識の普及を図ることが大切だと思っております。

今後もインフルエンザ関連の記事を掲載いたしますのでよろしくお願いいたします。